(写真=Getty Images)
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孫正義代表の肝入りでソフトバンクグループ <9984> が進めてきた「心を持つ」ヒト型ロボット・ペッパー(Pepper)。2016年の年頭所感の中で、同代表は「今後は海外でもペッパーを見る機会が出てくるでしょう」と述べ、ペッパーの国際展開の本格化に意欲をのぞかせた。

昨年の販売実績としては、ペッパーのオンライン注文を受け付け始めると、申し込みの受け付け開始から1分で1000台が完売するなど、消費者からも大きく注目されている。さらには、ペッパーの法人向けモデルの展開も始まっており、勢いづく様子を見て取れる。

それだけではない。冒頭の通り、孫代表が意欲を示しているペッパーの国際展開の本格化で、日本の人型ロボットが、海外のロボットメーカー勢と争う構図となり、ヒト型ロボットで国際販売競争を繰り広げる時代になってきている様相だ。

「ロボット」はAI、IoTと並ぶ一大有望分野

ペッパーに代表されるロボット分野には現在、フォローの風が吹いているといえそうだ。AI(人工知能)やIoTと並ぶホットなビジネスとして注目されており、特に、日本の製造業が従来から得意としてきた産業用ロボットではなく、生活空間での使用を想定した一般向けのロボットだという点でも注目だ。

孫正義代表も例外ではなく、IoTやAIなどの新しい事業分野への挑戦も積極的に進めている。併せて、同代表はニケシュ・アローラ氏を後継者に指名し、ソフトバンクグループの新役員に迎えるなど、グローバル規模で事業資産を持つ日本企業から、長期的視野で持続的に成長できるようなグローバル企業への脱皮も進めている。

感情を認識するヒト型ロボット・ペッパーはその柱の一つになるとみられており、孫代表だけではなく、市場や消費者からの今後の動向にも注目が集まる。

NTTドコモは欧州、KDDIは米国で、ロボットの事業化に挑む

ソフトバンクグループが推進する、ロボット技術のグローバル事業化に対して、競合他社もただ、手をこまねいているわけではない。ロボベンチャーへ投資したり、提携して共同で開発を進めるなど、ロボット事業を積極的に推進し、対抗しようとしているのだ。

たとえば、NTTドコモ <9437> は、ロボット開発ベンチャーのテムザックと共同で、通信機能を搭載した介護・福祉向けの電動車いす型ロボット「NRR(New Robot Rodem)」の開発を進めている。昨年11月には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、デンマークの介護・リハビリ施設で事業化に向けた実証実験を行って経緯もある。

ドコモのこのロボット開発プロジェクトがもしも、いい結果を出せば、日本発ロボット技術が欧州を経由して、日本に逆輸入される日もそう遠くないかもしれないのだ。

他方で、KDDI <9433> は、2015年8月、「KDDIオープンイノベーションファンド」を通じて、ファミリー向け知能ロボットへ出資。米国マサチューセッツ州のスタートアップ企業ジーボのロボット「ジーボ(Jibo)」の取り込みを図っているのだ。

ジーボ社は、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」を通じて、7400人超の支援者から約370万ドル(約4.5億円)の資金を調達したことでも知られている。現在、ジーボは試作量産品の製造段階に入り、ソフトウェア開発のためのキットの準備も進んでいるとのことで、ソフトバンクだけではなくNTTドコモ、KDDIの大手キャリア3社がロボット事業で鎬を削り始めた格好だ。

ライバルは新興国にアリ

ただ、ソフトバンクの往く道に立ちはだかるのは、国内のライバルだけではない。ドローン産業でも競争力をつけつつある中国を始めとする新興国のメーカーも、ロボット技術の事業化に向けて、着々と事業の展開を進めているからだ。

その一社が中国のUBTechロボティクスだ。昨年12月2日~5日、東京ビッグサイトで開催された「2015国際ロボット展」で、同社はヒト型ロボット「Alpha1S」を出品し、音楽に合わせて踊るデモンストレーションを披露しており、ヒト型ロボットという点でもソフトバンクのペッパーと摩擦を引き起こしかねない。

すでに公になっているところによれば、「Alpha 1S」は事前に動作をプログラミングすれば、音楽に合わせて踊ったり、腕立て伏せをしたりすることができるほか、スマートフォンを介して音声コマンドで操作することも可能だ。販売価格は日本のロボットの半額以下で、大きな脅威となりそうだ。

ソフトバンクグループがペッパーの海外展開を実現するためには、技術志向の日米欧企業と、低価格志向の新興国企業の双方との競争に挑む必要がある。今年は、ロボットの動向から目が離せそうにない。(ZUU online 編集部)

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