米ネバダ州での太陽光発電をめぐって、ウォーレン・バフェット氏率いるNVエナジーとテスラのイーロン・マスクCEO率いるNVエネジーの間で、2013年から続いていた熾烈な戦いは、バフェット氏の勝利で幕をおろしたようだ。
政府の支援と消費者への還元で大成功したマスクCEO
マスクCEOは太陽熱発電所としてネバダ州の価値に早くから注目。2006年に「ソーラーシティー(太陽熱の街)を築き上げる」という野望のもと設立した太陽光発電会社、ソーラーシティーは、時代の波にのって瞬く間に従業員数1万3000人の大企業に成長を遂げた。
ソーラーシティーを大成功に導いたのは、米政府による支援制度と消費者への利益還元制度によるところが大きいと思われる。
当時環境保護プログラムの一環として、米政府によって民間や企業への太陽光熱設備用補助金制度が設けられていたほか、消費者は敷地内に設置した太陽光パネルから発電した電力を、無制限に電力会社に売ることが認められていた。
利益を追求するバフェット氏の横ヤリで逆風に
需要と供給のバランスが絶妙にとれたこの環境ビジネス戦略に横ヤリを入れたのは、バフェット氏のバークシャー・ハサウェイだ。
食品から金融まで多彩な事業分野で天才的な投資の才覚を発揮するバフェット氏は、ハサウェイの主要事業分野の1つであるエネルギー部門で所有していたミッドアメリカン・エナジー・ホールディングスに、2013年NVエナジーを買収することによってネバダ州へ乗り込んだ。
新たにバフェット氏の傘下となったNVエネジーは、ネバダ州公益当局に新料金を含めた規制法の改正を要請。当局がこの要請をのみ、消費者の電力販売に制限が設定されたほか、販売料金も75%をカット。さらに設備料金の方は大幅に値上がりし、消費者の多くが設備導入のローンとともに残されるかたちになった。
ネバダ州での事業縮小 大幅な人員削減
当然ながらソーラーシティーは規制の見直しを求め、当局はもちろん消費者や雇用者を巻き込んでの戦いが繰り広げられていたが、最終的にはバフェット氏が完全勝利をおさめた。
窮地に追いやられたソーラーシティーは昨年12月、ネバダ州での太陽光電力の発電、供給および設備導入からの撤退を正式発表。従業員550人の解雇カットを余技なくされる結果となった。
しかし当局の判断を「大きな過ちである」とし、「今後もネバダ州の消費者の声として戦っていくつもりだ」と、利益重視のNVエナジーと交戦を続ける意思をあらわにしている。(ZUU online 編集部)
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