日銀は先週29日の金融政策決定会合で、国内初となるマイナス金利政策の導入を発表した。この情報にマーケットも混乱気味となり、同日の株価は文字通り「上へ下への大騒ぎ」となった。結局、為替が円安に振れたことで株式市場も買いが優勢となり、ひとまず下値不安は後退した格好となった。
配当利回り上位は、知名度の高い企業が目立つ
今回は東証1部の配当利回り(予想ベース)のランキングを見てみよう。
(1)アサツー ディ・ケイ <9747> 9.45%
(2)日本アジアグループ <3751> 5.13%
(3)デクセリアルズ <4980> 5.00%
(4)あおぞら銀行 <8304> 4.89%
(5)三井物産 <8031> 4.67%
(6)ビーピー・カストロール <5015> 4.62%
(7)京都きもの友禅 <7615> 4.55%
(8)コネクシオ <9422> 4.40%
(9)佐鳥電機 <7420> 4.38%
(10)ネットワンシステムズ <7518> 4.35%
※2月1日終値現在。会社予想ベース
上位10社は、企業規模や業種などは傾向が読めないが、一般の人にもよく知られている知名度の高い企業が比較的多い。なお、旧村上ファンド系の投資会社から株主要求を受けて名が売れた黒田電気 <7517> は、ランキング上位に位置していたが、1月29日に配当予想を下方修正したため上位10社から外れた。
アサツー ディ・ケイは余剰資本還元を強化
それでは配当利回りランキングから、アサツー ディ・ケイ、デクセリアルズ、京都きもの友禅を取り上げたい。
アサツー ディ・ケイは広告業界3位で、ダントツの高配当利回り銘柄である。ただし、決算期は12月で、利回りを算出するベースとなった年間配当(248円)は昨年12月に保有していた投資家しか受け取れない。配当政策は、中間配当が10円で固定。期末配当は101円(12年12月期)、131円(13年12月期)、561円(14年12月期)、238円(15年12月期)と、特別配当を加算し跳ね上がるケースが続いている。
同社は15年12月8日に公表したニュースリリース「業績予想および配当予想の修正に関するお知らせ」の中で、配当政策を詳しく説明している。まず、通常の配当については「年間配当の下限を20円として配当の長期安定性を図りながらも、自己株式の取得を含む年間総還元性向の目安を連結当期純利益の50%に設定すること、(中略)期末基準日配当は下限の10円または年間総還元性向50%の目安を達成する金額のいずれか高い額とすることを方針としている」と説明している。今期は1株23円に決まった。
さらに、特別配当を別枠で検討している。ROEを株主価値向上の重要指標のひとつと位置づけ「当期におきましては、一定の成長領域への投資を実施した一方で、引き続き資本の効率化に努めた結果、株主の皆様へ還元可能な余剰資本が創出できた」として、215円の特別配当を決めた。説明内容をそのまま読めば、資本の効率化を完了するまでの間、12月の期末配当で特別配当を上積みしていく方針と考えるのが妥当だ。年末にかけて配当狙いの買いが入りやすい銘柄として留意しておきたい。
上場から半年のデクセリアルズが3位
3位のデクセリアルズは電機大手ソニー系の旧ソニーケミカルが前身で、2015年7月に再上場した。ニッチな電子部品に強い高収益企業として知られている。今年1月28日に配当予想を修正し、期末配当について記念配当5円を上乗せし、32円50銭に上方修正すると発表した。中間配当も加えた年間配当は60円だ。
一方、同時に発表した第3四半期決算では、通期営業利益や純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)を減益予想に変更した。スマートフォンやタブレットパソコン、ノートパソコンの市況が悪化し、電子部品の売り上げが低迷したため。加えて、収益力強化を目指す機構改革実施についても公表した。ただ、当面は悪材料を嫌気した売りに押される可能性がある。
安定配当の京都きもの友禅、株価下落で上位に
7位の京都きもの友禅は、東京に本社を置き、振り袖を中心に販売する和服の小売店チェーン。2014年は1年を通じて、ほぼ1000円以上をキープしていたが、昨年は状況が変化。10月に業績予想を下方修正したのと前後して売り圧力が強まり、株価は800円台まで値を下げた。
中間配当12円、期末配当30円という配当を長年継続している安定配当志向の企業であるため、株価下落に伴って配当利回り上位にランクインした。
この会社は2013年以降、期末を控えた1~3月に業績予想を下方修正する動きが常態となっている。今期(16年3月期)は前述の通り、既に昨年10月に下方修正を行い、通期連結営業利益予想は3200万円と、売上高130億円の企業としてはかなり低い水準まで予想を下げている。
振り袖需要が高まる成人式での営業結果次第では、再び業績予想を下方修正する可能性もあり得る。配当狙いの投資を行う場合は、3月の期末にかけて会社から業績に関するリリースが出る可能性があることを念頭に置くべきだろう。(ZUU online 編集部)
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