(写真=PIXTA)
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日本は2014年から3ランクダウンの18位

汚職・腐敗の防止を目指す国際NGOのトランスペアレンシー・ジャパンが発表した腐敗認識指数(CPI)の2015年版ランキングで、日本は前回(2014年)から1つスコアを下げ75点を獲得、168カ国中18位となり、前回から3つ順位を下げた。韓国は37位(前回43位)で、中国は83位(同100位)だった。

CPIは世界銀行やアジア開発銀行を含む様々な機関によって行われた、汚職の調査や査定を組み合わせた指標で、国の公務員、政治家、公的部門などがどれくらい腐敗していると認識されているかを数値化したものだ。スコアは100点満点で、点数が高いほど汚職がなくクリーンであると認識されていることを示す。

1位から3位まではデンマークを始めとする北欧諸国が独占し、最下位は北朝鮮とソマリアだった。

ランキングトップ20とCPIスコア

1位 デンマーク 91点
2位 フィンランド 90点
3位 スウェーデン 89点
4位 ニュージーランド 88点
5位 オランダ 87点
5位 ノルウェー 87点
7位 スイス 86点
8位 シンガポール 85点
9位 カナダ 83点
10位 ドイツ 81点

10位 ルクセンブルク 81点
10位 イギリス 81点
13位 オーストラリア 79点
13位 アイスランド 79点
15位 ベルギー 77点
16位 オーストリア 76点
16位 アメリカ合衆国 76点
18位 香港 75点
18位 アイルランド 75点
18位 日本 75点

独シンクタンクのみ日本より韓国を高評価

日本のCPIスコアはワールド・エコノミック・フォーラムをはじめとする8つの機関の評価点を平均したものだ。日本と韓国の点数を比較すると、8機関中7機関が日本の点数が韓国を上回っており、日本はおおむね韓国よりもクリーン(汚職の度合いが少ない)であると認識されていることが分かる。

ただ1つだけ韓国に日本より高い点数を付けた機関がある。ドイツのシンクタンク、ベルテルスマン財団だ。同財団による評価では日本が57点、韓国は73点で大きく差が付いている。

理由は日本の政府が行っている経済政策が、韓国と比較して「物足りないため」のようだ。思い切った政策を打ち出せない原因として、公共部門の汚職の存在が疑われている可能性が高い。

同財団は「持続可能なガバナンス指標(SGI: Sustainable Governance Indicators)」という調査報告書を作成しており、EUとOECDに加盟する41カ国を対象に「民主政治」、「政策パフォーマンス」、「ガバナンス」の3項目を評価している。

2015年のSGIで日本は法の支配と民主的秩序を評価した「民主政治」が5.89点で41カ国中34位、経済開発や社会政策における持続可能性を評価した「政策パフォーマンス」が5.91点で22位、政策の方針を決定・実行する政府の能力などを評価した「ガバナンス」が6.02点で28位と厳しい評価を受けている。

一方、韓国は「民主政治」が5.63点で37位、「政策パフォーマンス」が6.08点で18位、「ガバナンス」が6.13点で25位と「民主政治」を除く項目で日本を上回っている。中でも「政策パフォーマンス」の差が大きく、日本の経済政策が韓国より劣っていると認識されていることを示している。

同財団はアベノミクスの「3本の矢」である「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「投資を喚起する成長戦略」はデフレ傾向に一定の歯止めをかけ、緩やかな成長と民間部門の利益を生み出したと評価しつつも、これまでに実行された構造改革は思い切りに欠けるとの見方を示している。失業率は低下しているが、非正規雇用が常態化していることや、消費税増税が消費に悪影響を与えていることを問題視している。

韓国については新しく導入された付加価値税が非常に効果的に機能しており、企業が利益を投資に回す下地ができていると評価している。また、財政が黒字傾向で、負債がそれほど多くないことや、R&Dへのサポートが手厚いことも韓国が日本より高得点を得ている理由のようだ。

中国83位「反腐敗キャンペーン」は不十分

今回のCPIで中国は順位を上げたものの、まだ83位。大統領の汚職問題がしばしば報道されるスリランカやコロンビアと同じ順位だ。習近平政権が就任以来「反腐敗キャンペーン」を行い、汚職の取り締まりを内外にアピールしているが、国をきれいな状態にするまでには長い時間がかかりそうだ。(ZUU online 編集部)

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