2月第1週の東京株式市場は、急激な円高や原油価格の下落を受けて下値波乱の展開となった。日銀が決めたマイナス金利導入の好影響も長続きせず、先週5日には日経平均株価で再び1万7000円割れを余儀なくされた。業種別では、マイナス金利導入により利ざやが縮小し収益が悪化するとの理由から銀行株が売られた。また、円高により収益悪化が見込まれる電機株や自動車株の下落も目立った。もうしばらくは、底値での買いの強さを確かめるような下値模索の展開が続くことが予想される。

製造業、IT関連が上位を占める

それでは今回は東証1部の「値下がり率」ランキングを見てみよう。

(1) トクヤマ <4043> 39.41%
(2) トプコン <7732> 35.28%
(3) オルトプラス <3672> 32.75%
(4) サイバネットシステム <4312> 32.27%
(5) スターティア <3393> 27.24%
(6) IHI <7013> 26.77%
(7) タカキタ <6325> 26.72%
(8) 田淵電機 <6624> 26.26%
(9) タカタ <7312> 25.11%
(10) キャリアデザインセンター <2410> 24.25%
※2月5日現在、前週末終値との比較

2月第1週の値下がり率上位は化学や精密機器、機械、情報通信業、ITサービス関連企業で占めた。相場全体の下げがきつくなる中で、新たな売り材料が出た銘柄や、前週までに値を上げた反動で戻り売り圧力が強まった銘柄が比較的多かったようだ。

トクヤマ、多結晶シリコンのマレーシア子会社で巨額減損

それでは値下がり率ランキングから、トクヤマ、トプコン、タカタを取り上げたい。

値下がり率1位のトクヤマは、ソーダや塩化ビニール関連製品を手掛ける化学メーカー。半導体・太陽電池向けの多結晶シリコンも強みとしている。1月29日に連結子会社であるトクヤママレーシアの多結晶シリコンプラントに関して、事業計画の見直しに伴う減損損失1234億円を計上したため、売りが膨らんだ。

トクヤマは巨額の減損損失発生の経緯について「世界的な供給過剰を背景とした販売価格の著しい下落が続き、今後の価格見通しが事業計画における想定を大きく下回ることになった」と説明している。

2016年3月期に当初140億円の黒字を見込んでいた純損益は、一転して1030億円の赤字予想となった。社長や会長は役員報酬のうち半分を半年間返上する。

トクヤマは2015年3月期にも、同じトクヤママレーシアの多結晶シリコン設備に関して減損処理を行い、857億円の特別損失を計上している。前期に続き今期も減損処理を行ったことで、経営陣の判断の甘さが浮き彫りとなり、復配も遠のいた。

トプコン、公共事業減で業績予想を下方修正

値下がり率2位のトプコンは、測量やGPS関連を軸とする精密機器メーカー。同社は、もともと株式の3割程度を東芝が保有する会社だった。しかし、東芝は自社の不正会計問題発覚に伴う財務体質改善のため、昨年中にトプコン株を全株売却した。

トプコンは前週末の1月29日、通期連結純利益予想を下方修正した。従来予想では108億円だったが、60億円まで引き下げた。測量に使う主力製品「トータルステーション」が、日本国内の公共事業鈍化の影響により販売が減少した。また、M&Aを実施したIT農業分野で、投資効果が表れず、利益に影響が及ぼしているといるという。トクヤマと違って極端に大きな損失が出た訳ではないが、弱気一色の相場の中で、目新しい材料の出たトプコン株には売りが膨らんだ。

タカタ、エアバッグ問題が尾を引く

値下がり率9位のタカタは、シートベルト、エアバッグなど自動車の安全部品の世界大手。エアバッグのリコール問題が尾を引いており、1月最終週には、部品の納品先である自動車メーカーからの経営支援を受けるのと引き換えに高田重久会長兼社長が辞任するとメディアが一斉に報道した。しかし、タカタは29日大引け後に「(高田氏が)現時点で辞任する意向はない」と発表し、報道内容を否定した。エアバッグのリコール問題で業績に悪影響が出ている自動車メーカーと、タカタとは足並みが揃っていない。

1月最終週には、タカタを自動車メーカーが経営支援すると伝わったため、株価は一時660円台まで回復した。しかし、高田会長兼社長が辞任を否定したことで、2月に入り株価は5日続落。先週末5日には500円の大台を割り込んだ。

タカタが5日発表した第3四半期決算は純損益が25億円余の黒字となった。しかし、エアバッグのリコール費用は未計上で、今後費用が膨らむ可能性があることから、タカタ株は先行きへの不安感から売られやすくなっている。(ZUU online 編集部)

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