世界経済フォーラムがまとめた「人的資本指数(Human Captal Index)」が発表され、長く余生を楽しめる国」として5位の座を獲得した日本は、アジア圏から唯一のトップ20位入りを果たした。続いて健闘ぶりを見せたのは24位のシンガポール。韓国は30位、中国は64位だった。
この指数は21世紀におけるイノベーション、競争力、成長には、有能な人材の確保が必要不可欠であるという発想に基づいて、世界124カ国の「健全で教養のある人材を育成する能力」を評価したものだ。
第2回となる2015年版では教育、労働、育成環境、技能といった46の指標に焦点をあて、5つの年齢層別に分析している。
日本のシルバー層は世界最高レベル
出生時平均余命、教育レベルや就学率の高さなどが総合スコアを押し上げた日本は、15-24歳以外のすべての層が5位以内に入っている。なかでも65歳以上の「人的資本」は世界1位と圧倒的だ。55-64歳が2位、25-54歳と15歳以下はそれぞれ5位に。
15-24歳層は失業率こそ低く抑えられているが、長期雇用率(50%)は今ひとつ。第三次教育への進学率(37位)や職業トレーニング(60位)、 労働力率(71位)もふるわず、21位にとどまった。
教育および育成面では理数系のカリキュラムや専門分野のトレーニング、ビジネススクールの質の高さで高ポイントを獲得しているが、有能な人材の収集や確保では韓国や中国に劣っており、民間教育への支出(7ポイント中3.86)や教育施設におけるインターネットの普及率(5.33)も韓国に比べてはるか低い。
若年層の長期雇用率が世界1の韓国 育成環境の改善が求められる中国
年齢層別ランキングでは日本と対照的に、全年齢層を通して評価の低さが目立つ韓国と中国。
韓国、中国で最も人的資本が優れているのは義務教育年齢層の15歳以下(20位、55位)で、最も遅れをとっているのはシルバー層(43位、93位)だ。
韓国は25歳から54歳の働きざかりの成人のスキルが平均65.5位、労働力率が108位と、育成環境や技能では低めの評価を受けている一方で、若年層の長期雇用率は世界一だ。
中国の同年代層を見てみると中級スキルの取得者が多い(33位)せいか、労働力率は平均34.5位と高めだ。しかし高度なスキルの取得者は極端に少なく(94位)、義務教育終了後の就学率も若年層でさえ74位と、有能な人材を育てにくい環境のようだ。
人的資本指数が高い20カ国
20位 アイスランド
19位 英国
18位 リトアニア
17位 米国
16位 エストニア
15位 スロベニア
14位 フランス
13位 豪州
12位 アイルランド
11位 オーストリア
10位 ベルギー
9位 ニュージーランド
8位 オランダ
7位 デンマーク
6位 スウェーデン
5位 日本
4位 カナダ
3位 スイス
2位 ノルウェー
1位 フィンランド
(ZUU online 編集部)
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