ストレス,ビジネスパーソン
(写真=PIXTA)

そろそろ年度末。期末の追い込みで業務が増えた、異動が決まって引き継ぎや引っ越しの準備で大忙し、連夜の送迎会で寝不足、などなど3月はビジネスパーソンにとっては忙しい時期の一つですね。

忙しくなってくると、倦怠感や疲労感、イライラを感じたりすることが増えることが多いと思いますが、その原因が忙しさだけではない、というのはご存じですか?

我々が思っている以上に、気候の変化は人体に大きな影響を与えています。冬から春、夏から秋など季節が移り変わるときには、気温、日照時間、雨量、湿度、気圧など、外界の環境は大きく変化します。その変化に対応して身体の調子を整えているのが自律神経です。

しかし季節の変り目のような環境の変化が大きい時期には、自律神経がその変化に対応しきれなくなることがあり、それが体調不良や、メンタルの乱れにつながるのです。

そのため、ビジネスマンにとって、3月は仕事の面でも、身体面でもストレスが大きい、非常に過酷な時期と言えます。前置きが長くなりましたが、今回はそんな季節の変わり目にこそ活用できる、ビジネスパーソン向けのストレス対処法に関する情報を紹介いたします。

どのくらいストレスを感じている? まずはストレスの「見える化」が大事

調査会社のマクロミルが実施した調査では、働く男?1000?に対して「あなたは普段ストレスを感じていますか」と聴いたところ、84%がストレスを感じていると答えており、ビジネスマンにとってストレスは非常に身近なものであると言えます。

こうしたストレスを日常的に感じている状態で、改めて意識して対処法を実践していくためには、自分がどれくらいストレスを感じているか、ストレスの程度を客観的にチェックすることが重要です。

そのためのツールとして、最近注目を集めているのがウェアラブル端末とスマートフォンのアプリです。

ウェアラブルとは、wear(着る)+able(できる)を合わせた造語で、身につけて持ち歩くことができるコンピュータのこと。主に衣服状や腕時計状で身につけたまま使えるものを指します。製品としては、メガネ型のGoogle glassや時計型のApple watchが有名です。

米調査会社IDCによると、ウェアラブル端末の世界出荷台数は、2015年に計7610万台で14年の約2.6倍に増加、今後5年間で年平均23%増のペースで成長し、19年には1億7340万台に達し、世界中で利用シーンが増えると考えられています。

さて、このウェアラブル端末ですが、現在、健康管理用としては腕時計型のものが数多く販売されています。身につけることで、内蔵のセンサーが健康に関するデータを計測し、自身の健康状態を数値化することができます。

昨年10月にSONYから発売された「SmartBand 2 SWR12」は、身に着けているだけで睡眠の時間や質、毎日の消費カロリーといったデータだけでなく、つけている最中に感じたストレスの大きさやそのストレスからの回復度合いも計測することができます。

一方で、スマートフォンのアプリについては、ウェアラブル端末のように身に着ける必要がなく、知りたいときに短時間でストレスを計測できる気軽さが強みです。

例えば、昨年3月のリリースされたアプリ「COCOLOLO」と使うと、30秒で自分のストレスを計測することができます。このアプリは、東京大学発のNPO法人WIN(ウェアラブル環境情報ネット推進機構)のコア技術を活用しており、スマートフォンのカメラを使って、指先の血液の色(輝度)の微妙な変化をとらえ、そこから「心拍のゆらぎ」を解析することで、ストレス・リラックス、疲労の具合から、現在の状態を8つのタイプに分類することができます。

このアプリについては、累計ダウンロード数が75万を超える人気アプリであり、昨年末に50人以上の企業で実施が義務化された「ストレスチェック」での活用も期待されています。
気候や気温の変化による、自分の状態の変化に自分で気づくのはとても難しいので、こうしたウェアラブル端末やアプリを使ってストレスを「見える化」して、自分の現在の状態を把握しておくことは、仕事の生産性を上げたり、人間関係のトラブルを防ぐ上でも重要であると言えます。

季節の変り目のストレス対処には「セロトニン」が必要

先述の通り、季節の変わり目には自律神経が乱れることで、肉体的にも精神的にもストレスがかかる状態になります。

この自律神経の乱れを改善するために重要だと言われているのが「セロトニン」です。

セロトニンとは『ノルアドレナリン』や『ドーパミン』と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つで、自律神経など人間の精神面に大きな影響与えます。心身の安定や心の安らぎなどにも関与することから『幸せホルモン』とも呼ばれているセロトニンですが、運動不足、昼夜逆転の生活リズムなどの不規則な生活によって不足しやすくなるとも言われています。

今回は、忙しいビジネスマンがセロトニンを正常に分泌させるために必要な5つのポイントを紹介します。

ポイント(1)「セロトニンの生成に必要な栄養を摂る」

セロトニンは、ビタミンCや食物繊維といった栄養素ではないので、食べ物から直接摂ることはできず、体内で合成する必要があります。その材料となるのが「トリプトファン」と「ビタミンB6」で、トリプトファンは、セロトニンの材料となり、ビタミンB6は、セロトニンの合成を助けます。
これらの成分が多い食べ物を多く取る方が、トリプトファンとビタミンB6を含む食べ物は、下記の通りです。

◎トリプトファンを含む食べ物
ヨーグルト、プロセスチーズ、豆乳、納豆、赤身魚、ごま、そば、バナナ、白米、肉類 ……など

◎ビタミンB6を含む食べ物
鶏ひき肉、牛肉、とうがらし、にんにく、ピスタチオ、きなこ、まぐろ ……など

ポイント(2)「リズム運動をする」

スクワットや階段の昇り降り、ウォーキング、深呼吸、自転車をこぐなど、一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニン神経が活性化すると言われています。こういった運動を5分以上、さらに、長期間継続して行うとさらに効果的です。

また、このリズム運動には、食事中の「噛む」という行為も含まれています。よく噛んで食事をすることも、実はストレス対策としては非常に有効ですので、「運動はちょっと・・・。」という方は、まずは食事はよく噛んで食べることを心がけてみてはいかがでしょうか。

ポイント(3)「朝日を浴びる」

セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があり、太陽の光(または、同様の非常に強い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されます。
そのため、日中部屋の中にばかりいて太陽光を浴びないと、セロトニンの分泌のバランスが崩れやすく、自律神経の不調につながります。

このように、食生活や生活習慣をちょっと気を付けるだけで、ストレスを軽減することができます。肉類、大豆類を食べる、食事中はよくかむ、階段で移動する、一駅手前で降りて歩いて通勤する、などちょっとしたことが、季節の変り目のストレス対処には非常に効果的です。

自分の気づかない間にストレスを感じている、身体、心と上手く付き合って、忙しい3月を乗り切って、よい春を迎えたいものですね。
高橋広嗣(たかはし・ひろつぐ)
フィンチジャパン代表取締役。早稲田大学大学院修了後、野村総合研究所経営コンサルティング部入社。経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルタントとして活躍。2006年「もうひとつの、商品開発チーム」というスローガンを掲げて、国内では数少ない事業・商品開発に特化したコンサルティング会社『フィンチジャパン』を設立。昨年には新たにコンテンツマーケティング事業を立ち上げ、耳×ヘルスケアに特化した自社メディア「 耳福庵 」の運営も行っている。著書に『半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法』がある。

【オススメ記事 PR】
「従業員からの支持率が高いCEOランキング」
世界の15歳調査、お金のリテラシーが一番あるのは「中国」
トップ企業は時給7000円超 「上場企業の時給ランキング2017」
「長く快適に働ける」企業トップ20 1位の企業「転職は厳しい」の声も
お金を稼ぐには地理を学べ 代ゼミの名物地理講師が説く「経済を地理から学ぶべき」理由