3月第1週の東京株式市場は、前週末に開催されたG20(20カ国・地域財務相中央銀行総裁会議)で金融市場の安定に向け政策を総動員するとの声明や、米国株が製造業景況指数を好感して上昇したことから、日経平均株価も約4週間ぶりに1万7000円台を回復した。特に3月1日から4日までは今年初の4営業日連続高となった。
年初からの下げ相場で市場には割安感が広がっている。好調な経済指標や原油相場の安定で、投資家心理は改善しつつあるようだ。10日のECB(欧州中央銀行)理事会では追加金融緩和が実施される見通しで、事前の期待を上回る政策が打たれると、日本株を買い戻す機運が強まる可能性がある。
出来高上位は金融、電機が中心
それでは、今回は東証1部の今週1週間の出来高上位10銘柄のランキングを見てみよう。
(1)みずほフィナンシャルグループ <8411> 10億184万株
(2)三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 5億7460万株
(3)東芝 <6502> 2億8836万株
(4)神戸製鋼所 <5406> 2億8280万株
(5)NEC <6701> 2億5592万株
(6)マネーパートナーズグループ <8732> 1億8753万株
(7)IHI <7013> 1億8373万株
(8)日立製作所 <6501> 1億6774万株
(9)シャープ <6753> 1億6369万株
(10)野村ホールディングス <8604> 1億4419万株
※4日大引け現在。出来高は千単位で切り捨て。
出来高上位は銀行、証券などの金融株と、電機、鉄鋼、機械などの大手メーカーが中心となった。株式市場の資金の流れを正確に反映する売買代金ランキングと比べると、出来高ランキングには低位株が上位を占める点が異なる。NECを除く9銘柄が上昇した。
メガバンク株を中心に買い戻しが先行
今回は出来高上位ランキングの中から、みずほフィナンシャルグループ、東芝、マネーパートナーズグループの3銘柄を取り上げたい。
みずほフィナンシャルグループは、日本を代表する金融機関であるメガバンク3行の一角。日銀によるマイナス金利政策の導入以来、銀行株は業績悪化懸念で売り込まれた。この週は投資家心理の改善を背景に、みずほフィナンシャルグループなど銀行株に幅広く買い戻しの動きがみられた。
この週は、メガバンクの労働組合が春闘で3年ぶりにベースアップ要求を見送ると報道された。世界経済の下振れ懸念や、マイナス金利政策による利ザヤ縮小などにより銀行は収益の伸びが期待しにくい経営環境となっている。固定人件費の増加による業績へのインパクトが軽減されるため、ベア要求見送りは、どちらかと言えば株価にはプラスの材料となった。
東芝は構造改革の期待が広がる
東芝は原子力施設、半導体などを主力事業とする電機大手。会計の不適正処理問題が尾を引いている。一時、シャープと家電事業を統合する案が浮上したが、同社が鴻海精密工業の支援を受ける方向となったため、トルコの企業に売却される話が浮上している。
この週は、東芝が構造改革を進めるために必要な資金を確保するため、メーンバンクの三井住友銀行などから2000億円の追加融資を受けるニュースがあった。また、医療機器子会社の東芝メディカルシステムズの売却交渉で、富士フイルムホールディングス <4901> やキヤノン <7751> が有力候補とするニュースも流れた。いずれも東芝が構造改革を進めることは、好材料と受け止められた。
マネーパートナーズは仮想通貨関連として上昇
マネーパートナーズグループは外国為替証拠金取引の専業大手。仮想通貨関連銘柄として、おりに触れて株価が急騰する材料株の一角として知られる。4日の閣議で、仮想通貨に関する法規制の改正案が決定。仮想通貨の安全性が高まるとの見方から買いが集まり、4日にはストップ高となった。
それでなくとも、欧州や日本の中央銀行が進めるマイナス金利政策が世界中に拡大していくことになれば、仮想通貨の存在感が一段と高まることも考えられる。それだけに、今後の仮想通貨の動向からは目が離せない。(ZUU online 編集部)
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