盛り上がりを見せるネット空間

今回の件では、芸能、娯楽系のネット空間は大いに盛り上っている。日本での最新報道は、週刊誌や憶測記事も含めてほぼ忠実に伝えられている。

「木村拓哉は解散に不満。恥ずかしいし、誰も支持しないだろう、と発言。」「木村はジャニーズ事務所との関係が最も良い。」「中居正広は目前の環境がよく、グループ活動を必要としていない。」「香取慎吾のおじゃMAPは視聴率低迷中。」「SMAPは以前のように確実に視聴率を稼ぐ存在ではない。」「木村は孤立、香取は独自路線へ。」等々。

次は「微博」からのユーザーコメントを紹介する。「なぜ今解散する必要があるのか、SMAPに裏切られた気分だ、傷ついた、泣きたい。」という主に女性ファンの声が6割以上を占める。あとは「グループとは解散するものだ、1人の方が活躍できる。」といったもの、芸能マスコミのようにジャニーズ事務所とメンバーの確執を分析するもの、こんなことどうでもよろしい、などである。日本のスポーツ紙見出しやテレビ画面が多数アップされ、マニアックな空間を形成している。

活動停止した中国系グループは?

解散騒動の前例はどうなのだろう。40代の女性たちに「解散または活動停止した中国系で、印象に残っているグループは?」と聞いてみた。するとBEYOND(香港)、F4、小虎隊、飛輪海(台湾)、花儿楽隊(中国)などの名が挙がった。純国産は1つだけである。

衝撃を受けたのはBEYONDだという。日本で事故死したリーダーは実は偽者だった、など多くの都市伝説が語り継がれたらしい。他のグループにはとくに思い入れはないと言う。

またネットで発見した「中国の解散10大組合(グループ)」というサイトを見てもらったところ、ほとんど知らない、と言う。日本同様、年代による認知度の差は大きい。年代を超越したインパクトを持つのは、やはり海外勢になる。他の商品同様、国産品は全く人気がない。

SMAPは平和のイメージ?

SMAP解散は世代を超えたトピックとして、うまくネット空間のツボにはまった。

リオ五輪は中国勢不振で盛り上がらず、昨年の天津大爆発のような恐ろしい大事故もない。中国政府はこのまま杭州のG20首脳会議(9月4~5日)を無事成功させるまで、何としても何のトラブルも起こって欲しくない。習近平主席はホストとして世界平和の守護者を演じるつもりだ。

こうした中、SMAP解散は罪のない平和な話題として関心を集めた。5年前のコンサートのように日中友好の演出とはいかないが、今の中国には好都合だったかも知れない。(高野悠介、現地在住の貿易コンサルタント)

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