大手銀行にとってトランプ氏は味方なのか敵なのか

もう一つ、複雑な位置づけにあるのは大手銀行だろう。

トランプ政権の誕生で大きな要となるのは、「ウォール街改革・消費者保護法(金融機関の巨大化によるリスクを防止する目的で、2014年にオバマ政権が導入した金融規制強化法)」の廃止だ。

この改革により、2007年から2008年の「サブプライム住宅ローン危機」で明るみにでたような無謀な投機から、銀行は完全に封じこめられている。

JPモルガンのジェームズ・ダイモンCEOは改革直後、顧客に宛てたレポートの中で、新改革による規制の強化が、どれほど利益創出にマイナス作用をおよぼすかについて、切々と書きつづっている。

トランプ氏がこの改革の強い反対派であり、大統領に就任したあかつきには、「ほぼ完全に廃止する」と公言していることから、トランプ政権は銀行にとって大歓迎と思いきや、実はトランプ氏は大の反大手銀行派としても有名で、大統領就任後は徹底的な銀行潰しに取りかかる姿勢を示している。

一見両極端な印象を受けるが、原油解放案同様、ここでもトランプ氏の本来の目的は、大手銀行の保護ではなく、大手銀行の利益創出を促進すると同時に、絶対的な監視下に置くところにあるのではないかと憶測される。

いずれにせよトランプ政権の誕生は、ウォール街改革の廃止と高金利をもたらすことは間違いないが、数えきれないほどの副作用が待ちかまえていそうな気配は否めない。(ZUU online 編集部)

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