厚生年金,厚生年金基金,違い
(写真=Thinkstock/Getty Images)

厚生年金と厚生年金基金との違いをご存知だろうか。同じ「厚生」という言葉が使われていることから、混同している方もいるかもしれない。しかし、厚生年金と厚生年金基金は全くの別物である。

まず、厚生年金とは公的年金である。公的年金とは、加入する義務のある年金制度である。一方、厚生年金基金は私的年金と呼ばれるカテゴリーである。私的年金とは、公的年金の対になる言葉であり、任意で加入する年金制度である。

しかしながら、任意とは言え事業主(会社)が厚生年金基金に加入している場合には、強制的に厚生年金基金にも加入することになる。今回は、わかるようでわからない厚生年金と厚生年金基金の違いについて解説していく。


厚生年金基金とは

そもそも「基金」とはどういう意味か、あなたは説明できるだろうか。

基金とは、ある目的のため、積み立てなどにより準備された資金のことを指す。つまり、厚生年金基金とは企業が従業員の老後のために基金を設立し、老後の生活の安定を図ることを目的としている。一般的には「企業年金」と呼ばれているものは、この厚生年金基金である。

国民年金は、基礎年金と呼ばれ「1階部分」と表現される。厚生年金は、さらにその上に上乗せする「2階部分」と言われる。厚生年金基金は、さらにその上の「3階部分」なのである。

厚生年金との違い

厚生年金の加入は、会社に勤めている方は加入する義務がある。一方、厚生年金基金は事業主である会社が、厚生年金基金に加入しているかどうかで、加入するかが決まってくる。

掛金は厚生年金と同様、被保険者と企業の折半となる。企業側の負担を増やすことも可能である。この折半という部分は、厚生年金に加えさらに上乗せ部分を会社が負担してくれるということなので、大きなメリットの一つであると言えるだろう。

また、先に説明したように厚生年金が公的な年金制度であるのに対し、厚生年金基金は私的年金である。厚生年金基金に加入している場合には、加入していない人に比べ多くの年金を受け取ることができる。

厚生年金基金制度廃止の背景と影響

2014年4月1日より、改正厚生年金保険法が施行された。正式には、「公的年金制度の健全性及び信頼性確保のための厚生年金保険法の一部を改正する法律」という名称である。

これを説明するにはまず、「代行割れ」という言葉を知る必要がある。代行割れとは、年金資金の総額が給付に必要な額を割り込んでしまうことを言う。厚生年金基金は、厚生年金の一部を国に変わって代行しているのだ。

つまり、資金の運用が上手くいかず、基金運営の安全性が危ぶまれている状態である。

そのような代行割れ基金を特例解散制度により、5年以内の解散を促すことになったのだ。また、代行割れをしていない基金に関しては、存続もしくは代行返上か基金を解散し、他の制度に移行することとなった。ただし、10年経過後には厚生年金基金を全廃することも検討されている。

すでに厚生年金基金を受給している方は、まず「代行部分」の金額を把握してほしい。基金が解散した場合でも、代行部分については国により保証されることになっている。基金存続の場合には、これまで通り受給される。解散後に新しい制度へ移行する場合には、代行部分は国から、基金部分については一時金として分配されるか、新制度から支給されることとなる。

現在の加入員の代行部分については、基金が代行割れであっても国から代わって支給されることになるので、影響はないと言える。しかし、基金独自の給付部分については、基金によって異なるが場合によっては0円となることもあるので、事前の自身の加入内容を確認しておくことをお勧めしたい。

厚生年金基金を一時金として受け取るメリット・デメリット

今まで厚生年金基金に加入していたが、転職などにより脱退した場合にはどうなるのだろうか。

その場合、一時金というかたちで支給を受けることができる。一時金を選択しない場合にはそのまま企業年金連合会より、加入期間に応じた金額が年金として支給されることになる。ただし、加入期間が3年以上10年未満である必要な要件となっている。

一時金を受け取るメリットとしては、まとまった金額を受け取ることができる点であろう。しかし、一時金を受け取った場合には厚生年金基金の受け取りはできなくなる。自身の貯蓄額や、将来設計に応じて選択することが必要だ。一時金で受け取る方が、金額が少なくなるということも考えられるので、十分注意したい。

厚生年金基金における注意点

ここまで厚生年金基金について見てきたが、最後にいくつかの注意点について解説しておく。

まず、厚生年金基金を受給するためには申請が必須である。過去に加入していた期間を含め、受給前に自身の加入期間を必ず確認しておこう。そして、漏れずに申請をすることで初めて受給が開始する。

また、退職し一時金ではなく年金支給を選択する場合にも注意が必要だ。その企業が将来、自身が年金を受け取る際に倒産していないかが、何よりポイントである。それを予測するのはなかなか難しいが、支払っていた保険料が無駄にならないように、慎重に選択をしてほしい。

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