厚生年金,国民年金,年金
(写真=Thinkstock/Getty Images)

年金制度は、自分が受け取る時には金額が減るのではないか、そもそもちゃんと支給されるのかという不安を持っている方は多いだろう。また、過去の年金記録問題から、年金というものにいいイメージを持てないというのが正直なところかもしれない。たしかに、現在の現役世代の方が支給される年金額は、現在年金を受給している方に比べると、はるかに劣ることになるのは事実である。

漠然とした不安は、まず年金制度を理解することで緩和されるかもしれない。今回は、年金の中でも多くの方が関係するであろう、 厚生年金 の制度について解説していく。


厚生年金とは

年金には、公的年金と私的年金が言う分類がある。私的年金は、個人が任意で加入する年金制度であるのに対し、加入の義務があるものを公的年金と呼ぶ。

さらに、公的年金制度には3つの種類が存在する。20歳以上、60歳未満の国民全員が加入する義務を負っている「 国民年金 」。公務員や私立学校職員などが加入する「 共済年金 」。そして、会社に勤務する人が加入する「 厚生年金 」である。

企業によっては、さらにその上に 企業年金 という制度を設けている場合もあるが、会社に勤務するサラリーマンは、基本的には 国民年金 厚生年金 の二つに加入していることになる。厚生年金保険の制度を通じて 国民年金 を支払っているのだ。それは「 第2号被保険者 」と分類されている。

将来、国民年金による支給である「基礎年金」に加えて、「厚生年金」を受け取ることができる。 企業年金 制度がある会社で勤務されている方はそれに加え 企業年金 を受け取ることとなる。

厚生年金と国民年金の違いとは?

国民年金は、実は全国民が同じ金額を支払っているということをご存知だろうか。平成28年は16,260円となっているが、これは段階的に引き上げられることが決まっている。

一方、厚生年金は給与額によって支払額が異なる。給与が多い人ほど、支払う金額は大きくなっていく。また、年金保険料は勤務先所在地により異なるという点はあまり知られていない。ただし、厚生年金の場合は事業者、つまり会社と折半し実際に払うものは半額になる。

国民年金が国民全員の加入を義務としているのに対し、厚生年金は「厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する人」が加入するものである。つまり、自営業の方などは厚生年金に加入することはできないのだ。

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厚生年金の加入条件とは

では、どのような人が厚生年金に加入することができるのか、もう少し詳しく見ていこう。

まず、厚生年金に加入するためには勤務先が厚生年金の「適用事業所」でなくてはならない。適用事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所の2つが存在する。

株式会社などの法人は、この強制適用事業所に該当する。それに加え、常時雇用している従業員が5名以上の個人事業所も強制適用事業所に該当する。常時雇用している従業員が5人未満の場合には、従業員の2分の1以上が賛成し、事業主が申請をし、厚生労働大臣から認可を受ければ任意適用事業所になることができる。

これらの適用事業所に常時雇用されている70歳未満の方は、厚生年金保険の被保険者となることができ、それを「 当然被保険者 」と呼ぶ。

適用事業所以外で雇用されている場合でも、70歳未満であり、事業主の賛同と厚生労働大臣の承認を受けることができれば、「 任意単独被保険者 」として、厚生年金に加入できる。70歳以上の方で、加入期間が短いため年金の受給資格を満たしていない場合には「 高齢者任意加入 被保険者」として例外的に加入が認められることもある。

アルバイトやパートの場合には、「常時雇用」という言葉が、キーワードになってくる。1日の所定労働時間が、一般社員の4分の3以上、かつ1か月の勤務日数が一般社員の4分の3以上の場合には常時雇用となり、 任意単独被保険者 としての扱いとなる。

厚生年金の受給資格とは

原則25年間以上保険料を納めたものが65歳になった時、 老齢基礎年金 (国民年金)に上乗せして老齢厚生年金(厚生年金)が支給される。また、現在は60歳以上で 老齢基礎年金 を受け取るのに必要な資格期間を満たし、厚生年金の被保険者期間が1年以上であれば65歳になるまで、特別支給の老齢厚生年金が支給されることとなっている。

ただし、年代により受け取り可能な年齢が異なっているので、確認が必要である。

2017年4月からは、25年以上であった保険料期間が10年に短縮されることが決まった。これにより、今まで受給資格を満たしていなかった方も対象となることになる。

この要件を満たし、かつ厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上であれば老齢厚生年金(厚生年金)を受け取ることができる。ただし、65歳未満のものが受給するには1年以上の被保険者期間が必要となる。

厚生年金に加入するメリット

厚生年金加入者は、義務である国民年金のみに加入している人より多く保険料を納めているということになる。毎月の給与から天引きされるため、損をしている気持ちになる方もいるかもしれない。しかし、厚生年金加入のメリットは大きい。

圧倒的な年金給付額

まず、その支払う金額に大きな差がある点が最大のメリットである。日本年金機構の資料によれば、1970年生まれの方の保険料は2,400万円となっている。年金給付は、その2.5倍の5900万円だ。国民年金のみの場合、同じ1970年生まれの方で1000円の保険料に対し、1.5倍の1500万円である。その差は、歴然だ。

また、事業所との折半であるという点もかなりのメリットと言える。

ここまでは一般的に知られているメリットであるが、 遺族年金 や障害年金という部分でも手厚いものであることは意外と知られていない。

遺族年金・障害年金

遺族年金 とは、厚生年金加入者がなくなった場合に配偶者とその子どもに対して、生活ができるよう支給される年金のことである。死亡したものの保険料納付期間が、国民年金加入期間の3分の2以上であれば、要件を満たすことになる。

国民年金加入者も、この 遺族年金 の対象とはなるが、その対象は子どもと子どものいる配偶者のみとなっている。子どもがいない配偶者には支給されないのだ。厚生年金の場合、配偶者と子どもに加え、孫、親、祖父母までが支給対象となる。

障害年金 は、加入者本人が障害を負ってしまった場合に支給されるものだ。国民年金加入者ももちろん対象とはなるが、厚生障害年金は障害1級、2級と認定された場合に加え、金額はすなくなるものの障害3級でも支給される。厚生年金に加入している間に初診日があること、一定の障害状態にあること、保険料納付要件を満たしていることが要件となる。

気をつけたい注意点

ここまで読み進めていただければ、厚生年金の大枠は把握できたのではないかと思う。次に、確実に年金を受給するための注意点をいくつか挙げていく。

年金の大前提として受給資格を満たしていても、請求をしなくては支払いを受けることはできない。所定の用紙に添付資料を付け、社会保険事務所に提出する手続きが必要である。それまでに加入記録の確認をすることをお勧めしたい。特に、転職をした方や氏名が変わった方は、国から送付される裁定請求書の加入記録に間違いがないかを確認してほしい。

雇用保険を受ける手続きをした場合、失業給付と年金の併用は認められていないため、失業給付を受けている間は年金の支給が止まることになる。

また、年金をもらい始めた後にも厚生年金に加入している場合には、「 在職老齢年金制度 」により、給与と年金の調整が行われる。給与の金額が大きい場合には、支給が停止されることもあるので、注意が必要だ。

いくらもらえる?厚生年金の計算方法とは

では、実際あなたは将来いくらの年金を受け取ることができるのだろうか。まず、保険料の計算方法から説明していく。

厚生年金の保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の両方に保険料率をかけて計算される。保険料率は、毎年9月に引き上げられ、来年2017年の9月以降は固定されることになっている。報酬月額が、19万5000円〜21万円の方は、20万円が標準報酬月額として計算される。

標準報酬の範囲は、8万8000円を1等級とし、62万円を31等級である。標準報酬は基本給だけではなく、残業手当、通勤手当などの各種手当も含まれる。

厚生年金加入者が実際に受け取れる金額の計算は、かなり複雑になっている。その理由が、国民年金が定額支給であるのに対し、厚生年金は報酬に比例した金額になっているからだ。まずは、自身の標準報酬月額を算出してほしい。次に、「本来水準方式」か「従前額保証方式」という2つの計算方法がある。

「本来水準方式」の場合

賞与を除く平均標準報酬額×乗率(生年月日により異なる)×平成15年3月以前の納付期間(月)+賞与を含む平均標準報酬額×乗率(生年月日により異なる)×平成15年4月以降の納付期間(月)

「従前額保証方式」の場合

平均標準報酬額×0.0075×平成15年3月以前の納付期間(月)+平均標準報酬額×0.005769×平成15年4月以降の納付期間(月)

これら二つの計算式により、高いほうが支給額となる。ただし、生年月日や配偶者や子の有無などによっても加給されることもある。

ご覧頂いてわかるように、大変煩雑な計算である。正確な金額を知りたい場合には、シミュレーションソフトを使用するか、専門家に計算してもらうことをおすすめしたい。

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