はじめに

本連載では、個人事業主が知っておくべき確定申告に関する諸々について解説していく。これから個人事業主を目指す方や、すでに個人事業主だけどまだ確定申告の経験がない、という方はもちろん、確定申告の経験がある方にも目を通していただきたい。

なぜなら、とりあえず形式上は確定申告できているが、効率が悪い、もしくは申告漏れによって損をしている、といったケースも多々あるからだ。それでは、まずはそもそも確定申告が何なのか、という基礎的な部分から解説する。

確定申告とは

確定申告とは、数ある税金のうち所得税を確定させるために行う税務申告である。なお、住民税も確定申告において確定すると混同している方が少なからずいるかもしれないが、これはやや認識が誤っている。ただ、ある意味では正しいとも言える。

厳密には所得税は国税であり、住民税は地方税である。国税の申告先は税務署であり、地方税の申告先は各市町村役場となっているため、双方は本来同一視するべきではない。

しかしながら、年末調整や確定申告によって所得税を確定させた場合、税務署より各市町村役場へ申告内容の通知がなされるため、結果的に別途住民税を申告する必要がなくなるのだ。

さておき、確定申告が必要になる人とは、給与所得者の中で年末調整を受けていない人である。法人や個人事業主を始め、年末の時点でいずれかの勤務先に所属していない者、あるいは年末調整を受けるための一定の要件を満たしていない者などがこれに該当する。

またその他、年末調整を受けていても確定申告を行うべきケースが存在する。具体的には、年末調整において適用されない控除を利用する場合などがこれに当たり、この際行われる確定申告は還付申告といって通常のそれとはやや扱いが異なる。

確定申告の書き方と手続きの流れ

確定申告は、本来単純な手続きである。前述の通り確定申告を行う目的は所得税を確定させることにあるため、もっとも大切なのは「その年に得た所得の申告」だ。

だが、所得税には各種控除が設けられており、これを利用するために各種書類を用意する必要があるのだ。

確定申告の必要書類