確定申告,確定申告 個人事業主
(写真=Thinkstock/Getty Images)

消費税は、消費者が商品の購入やサービスを利用した際に課税される税金だが、個人事業主にとっては「支払う」ばかりのものではない。自身の販売する商品や提供するサービスを利用した者から消費税を「預かり」、確定申告においてこれを一括で納めなければならない。

今回は、個人事業主として確定申告を行うのが初めての方、あるいはこれから個人事業主になることを検討している方へ向けて、消費税の仕組みについて解説する。


消費税の課税事業者の基準とは?

確定申告において消費税を納める義務がある者を課税事業者と呼び、この義務がない者を免税事業者と呼ぶ。課税事業者にはいくつかの基準・要件があり、これを満たした者は納税義務が生じる。課税事業者の要件とは、次の通りである。

1.基準期間の課税売上高が1000万円を超える者

2.基準期間の課税売上高が1000万円以下で「消費税課税事業者選択届出書」を提出している者

3.1、2に該当しない場合で、特定期間の課税売上高が1000万円を超える者

これらいずれかに該当する者は、たとえ当年(申告年)の課税売上高が1000万円以下であっても申告する必要があるので注意しよう。しかしながら、単純に要件を羅列しただけでは要領を得ない部分がいくつかあるかと思うので、次項より順次解説していく。

確定申告の消費税の基準期間は前年ではない

要件において語られる基準期間とは、申告をする年のことでもなければ、その前年でもない。基準期間として計算する必要があるのは、申告をする年の2年前である。例えば平成27年分確定申告において基準期間とされるのは、平成25年1月1日より12月31日までだ。

また特定期間とは、申告する前年の半年間である。先の例で行けば、平成26年の1月1日から6月30日までが特定期間として計算されることとなる。ちなみに特定期間中の課税売上高の判定は、期間中に支払われた給与等の支払額によることもできるため、課税売上高・給与支払額のいずれかが1000万円を超えなければ納税義務は発生しない。

なお、これらの期間中にそもそも課税売上高が発生していない場合、つまり新規に開業した個人事業主に関しては、基本的に消費税の納税義務が免除されることとなる。ただ、相続や合併等によって事業を引き継いだようなケースにおいてはこの限りではないため、留意しておいてほしい。

確定申告時の税額の決まり方

課税事業者の判定に用いられる課税売上げとはそもそも何なのか。課税売上げとは、次の4つの要件を全て満たす取引の売り上げを指す。

・国内において行う取引(国内取引)であること

・事業者が事業として行う取引であること

・対価を得て行う取引であること

・資産の譲渡、資産の貸付又は役務の提供であること

およそ一般的な商店や事業所等で提供される商品やサービスについては、そのほとんどが課税売上げに含まれる。これは申告者が仕入れとして支払った金額についても同様で、こちらを課税売上げに対し、課税仕入れと呼ぶ。

確定申告時には、課税売上げから課税仕入れの金額を差し引いた残額が、納付すべき消費税額となる。預かった消費税より、支払った消費税を相殺するという、非常に単純な構造だ。

消費税がかからない取引とは?

前項でほとんどが課税売上げに含まれるとしたが、税の性格から見て課税対象になじまないものに関してはこれに含まない。課税対象外の取引を非課税取引といい、次のようなものが該当する。

・土地の譲渡及び貸付

・有価証券及び支払い手段の譲渡等

・預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等

・郵便切手類、印紙、証紙の譲渡及び物品切手等の譲渡

・国等が行う一定の事務に係る役務の提供及び外国為替業務に係る役務の提供

加えて、次のものも社会政策的な配慮に基づくとして同様に非課税取引とされる。

・社会保険医療の給付等

・介護保険サービスの提供及び社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等

・助産に係る資産の譲渡等

・火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供

・身体障害者用物品の譲渡や貸付など

・学校の授業料等

・教科用図書の譲渡

・住宅の貸付

さらに、国内から国外(非居住者)へ向けて提供される商品やサービスに関しても、消費税が免除される傾向にある。

あえて課税事業者になるという選択

ここまで消費税について解説したが、「消費税課税事業者選択届出書」に関しても最後に触れておこう。この届出書は、「あえて課税事業者になることを選択する」ための書類であり、免税事業者にとっては一見損であるように思われる。しかし確定申告に際して、もしも課税売上げよりも課税仕入れが上回っていた場合、課税事業者であればこの還付を受けることが可能なのである。

個人事業主の皆様方には、消費税の課税・非課税を正しく見極め、こういった選択肢を有効に活用していただきたい。

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