会社員が会社を退職するときに支給されるお金が退職金である。退職金は、長年会社に勤めて定年退職を迎える人であれば、老後の生活を支える重要なお金である。また、転職するため会社を退職する人にとっても、転職先が決まるまでの間の重要な生活資金であるため、その額は重要であり、また、転職先が決まっている人にとっても、月給やボーナスにように日々の生活で消費する金銭と違い、全額預金することも可能な退職金は、今後の資産形成にとっての重要な一歩となる。このように、会社を退職する人すべてにとって重要な退職金について、その相場を説明する。

目次

  1. 退職金の相場はどれくらい?
  2. 公務員はどれくらい?
  3. 退職金にも税金はかかる
  4. 退職金は2種類ある
  5. 退職金は賢い運用を

退職金の相場はどれくらい?

厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査」によると、退職金制度のある企業割合は75.5パーセントであり、退職者が全員もらえるわけではない。支払われる退職金の額は、退職時の1か月分の基本給の額、勤続年数、退職理由、この3つの要素に主に影響されるところ、「平成25年就労条件総合調査」によると、勤続年数20 年以上かつ45歳以上の退職者に対する平均給付額は、定年の場合1128万円~1941万円、会社都合の場合1004万円~1807万円、自己都合の場合784万円~1586万円、早期優遇の場合1418万円~1966万円となっている。幅があるのは、学歴、職種の違いが額に反映しているためである。 一方、勤続年数20年未満、45歳未満の退職者はどうなるのか。東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情調査」(2014年)によると、大卒の退職者について、勤続年数3年であれば、自己都合の場合約24万円、会社都合の場合約37万円、5年であれば、同じく約45万円、約67万円、勤続年数10年であれば、約124万円、約168万円、勤続年数15年であれば、同じく約243万円、約313万円となっている。

公務員はどれくらい?

国家公務員には様々な職種があるが、税務、公安などの特殊な業務に従事する職員を除いた一般の職員(行政職俸給表(一)が適用される者)に対する退職金について説明する。 国家公務員の退職金も、退職時の1か月分の基本給の額、勤続年数、退職理由、この3つの要素に主に影響される点は同じである。内閣官房内閣人事局が2014年度の退職者について調査した結果によると、勤続年数20年の場合、定年であれば約1200万円、応募認定退職(早期優遇と同じ。)であれば約1531万円、自己都合であれば約815万円、勤続年数30年の場合、定年であれば約2140万円、応募認定退職であれば約2467万円、自己都合であれば約1674万円、勤続年数40年の場合、定年であれば約2252万円、応募認定退職であれば約2443万円、自己都合であれば約2209万円となっている。勤続年数20年未満をみると、勤続年数5年の場合、定年であれば約373万円、自己都合であれば約87万円、勤続年数10年の場合、定年であれば約658万円、自己都合であれば約249万円、勤続年数15年の場合、定年であれば約770万円、自己都合であれば約517万円である。

退職金にも税金はかかる

退職金に対して所得税や住民税がかかる。ただし、退職金全額に課税されることはない。 勤続年数が20年以下の場合は、勤続年数に40万円をかけた額、20年超の場合は、勤続年数から20を引いた数に70万円をかけた額に800万円を加えた額が控除される。例えば、勤続年数30年、退職金1500万円であれば、全額控除されることになる。さらに、このように控除された後の額の半額が課税対象、つまり退職所得金額として、所得税や住民税が課税される。 所得税の税率は、累進税率となっており、額が多いほど税率が高くなる仕組みがとられており、195万円以下は5パーセント、195万円超から330万円以下は10パーセント、330万円超から695万円以下は20パーセント、695万円超から900万円以下は23パーセント、900万円超から1800万円以下は33パーセント、1800万円超から4000万円以下は40パーセント、4000万円超は45パーセントである。一方、住民税は一律で、都道府県民税と市町村税合計で10パーセントである。

退職金は2種類ある

退職金には2種類あり、退職一時金と退職年金である。 退職一時金とは、退職金として支払うべき金額が一度に全額支払われる退職金である。そして、その額の積み立て方法には、確定給付型と確定拠出型がある。確定給付型は、将来もらえる金額が決まっている制度であり、勤続年数などによりだいたいの退職金の額が分かるのはこのためであり、退職金としてまっさきに思い浮かべるのはこれである。確定拠出型は、毎月退職金を支給するために積み立てする金額が決まっているが、一方で、将来支払われる金額は確定しておらず、積み立てたお金の運用結果により増減することになる。 続いて、退職年金である。「年金」となっているが、国民年金、厚生年金といった公的年金とは別に、各企業が導入しているものであり、「3階立ての3階部分」とよく言われる。これについても、確定給付型と確定拠出型があり、「日本版401K」と呼ばれる確定拠出年金制度(企業型)もこれに相当する。 退職金制度を導入している企業には、退職一時金と退職年金いずれか一方のみ導入している企業、両方導入している企業がある。

退職金は賢い運用を

退職金は、会社によって、あるいは民間か公務員かによってその額に差はあるものの、一般の会社員がその人生の中で受け取ることのできる数少ないまとまったお金であり、また、退職金に対する税金は給料に比べて低く抑えられており、実際に手元に残すことのできる額も大きく、自らの資産形成において大きな役割を果たすお金の一つと言える。一方で、退職一時金と退職年金の種類がある上、確定給付型だけでなく確定拠出型もあり、どの時点でいくら受け取ることができるかは種類によって様々となっており、これまで以上に、自分が受けとることのできる退職金の額を自ら管理することが重要である。(ZUU online 編集部)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/13/

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