埋没費用は損切り思考でなくす
行動経済学には埋没費用(サンクコスト)という概念が存在する。すでに支払ってしまったが、回収不可能な無駄な費用のことである。映画を見に行ったが途中でつまらなくなった、コンサートの前売り券を購入して見に行ったがチケットを家に忘れた、といった例が挙げられる。
サンクコストが発生したらその分のお金の回収は不可能なのだが、判断によって時間の損失量が変わってくる。映画ならつまらないものを見続ければその分時間が無駄になり、コンサートの場合会場に入れないからといって周辺をぶらついていても時間の無駄だ。
【第3回】では、サンクコストに引っ張られずにお金と時間をなるべく無駄にしない考え方について紹介する。
自分のお金ではないとサンクコストに抗わない
少し大きな視点で考えてみよう。例えば新幹線や高速道路の延伸計画。あれば非常に利便性が高いのは間違いない。しかし、建設費が高額で、維持費も嵩む。そして、何十年も前から粛々と準備を進め、ようやくここまでやってきた。何とか当初の予定通りの延伸をさせたい。自分であっても最後までやり遂げたいと思うだろう。しかし、延伸したところで経済効果が見込めないとしたらどうだろうか。
経済効果は期待できる試算であって、目に見える効果は無いかもしれない。もし、これから計画を作るのだとしたら、絶対に計画自体が立案されないであろうという状態だとしても、今までかけた時間とお金と関係者の労力を無駄にすることはできないと、延伸が終了するまでひたすら計画遂行が求められる。サンクコストに抗う力がないのは、自分のお金ではないからだろうか。