タイム・イズ・マネーの語源
「タイム・イズ・マネー=時は金なり」は誰もがよく知っている諺だ。米政治家のベンジャミン・フランクリンが1748年に若い社会人向けにしたアドバイスが語源とされている。日本では「時間をお金のように大切にする」といった比喩表現的に解釈されることが多いが、もともとはもっと直接的な意味合いを持っていた。
ビジネスシーンでのアドバイスなので、稼げるはずだった機会損失、働かなかった分の賃金の損失、といったお金そのものの損失を指しているのだ。投資で成功するには、現在の解釈よりも本来のタイム・イズ・マネーを教訓としておいた方が良いだろう。
それでは詳しく解説していく。
「時は金なり」の現在の意味は時間を有効に使うこと
『大辞林』で「時は金なり」を引くと「時間は貴重で有効なものであるから、浪費してはならない。」とある。人が持つ「時間」は限られており貴重なもので、時間をマネジメントして「有効」に使うことが大切だという教えである。時間を無駄にせずに常に一生懸命努力して物事に向かうべきだという意味合いが強い。
非常にありがたい教訓ではあるのだが、今から270年前に初めてこの言葉を使ったベンジャミン・フランクリンが意図していたのは少し違う。
フランクリンは、『若き商人への手紙(Advice to a Young Tradesman)』という著書で、当時の若い社会人に向けたアドバイスで「タイム・イズ・マネー(Time is Money.)」というフレーズを使った。
18世紀当時は、産業革命が起き、世界的に自由貿易が拡大し、植民地戦争が繰り広げられ三角貿易が華やかしかった時代である。当時の「若い商人」へと向けたメッセージは、今で言うと若い起業を目指すような人に宛てたアドバイスに近いものだろう。