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保険の賢い利用法(3)

保険の「転換」はメリットなし? 保険の見直しで得する方法とは

一生を通じて同じ保険に入りつづけるのは、効率が悪いといわざるを得ません。独身時代と子どもをもってからでは、おのずと必要な保障額が違います。子どもが独立して自分たちが年金暮らしになると、もう保険はいらないかもしれません。いちばん稼いでいる時代は、稼いでいる収益を失ったときに備えなければなりませんが、年齢を重ねていけば、収入がなくなった際のリスクも少なくなります。保険はずっとかけている必要のないものなのです。「お守り」という気持ちが強いため、すっぱりとは切り捨てられないかもしれませんが、経済効率から考えるとムダがあるため保険の保障は定期的に見直す必要があります。とはいえ、見直し方で大きな損失が出ることもあれば、得することもあるのです。

(本記事は、長尾義弘氏の著書『保険はこの5つから選びなさい』河出書房新社(2016年3月5日)の中から一部を抜粋・編集しています)

保険の「転換」はメリットなし!

保険はこの5つから選びなさい
(画像=Webサイトより)

いま契約をしている保険を解約して、新しい保険に入り直すことを保険の「転換」といいます。転換は契約者にとってのメリットは何もありません。はっきりいって、損をするケースがほとんどなのです。保険を解約すれば、解約返戻金がもどってきます。それをどう活用するかですが、転換には3つの方法があります。

  1. 基本転換…終身保険部分につかう
  2. 定特転換…定期保険部分につかう
  3. 比例転換…終身保険部分、定期保険部分の両方につかう

新しい保険に入るわけですから、年齢とともに保険料も上がっていくはずです。それがこれまでと同じ保険料で入れるのは、保険会社のサービスではありません。多くの場合、2の定特転換をつかって、解約返戻金で新規の定期保険の保険料を一時払いしているのです。貯めたお金を掛け捨て部分につかったことで、保険料が安くなるわけです。逆に、1の基本転換は貯まったお金を貯蓄部分につかうので、このお金はなくなりません。ただし、保険料はあまり安くはなりません。

これが、年齢が上がっても保険料を以前と同じにできるカラクリです。もっと問題なのは、いままで入っていた保険の予定利率が高い場合です。いま入っている保険の予定利率が3%なら、これは「お宝保険」です。しかし、転換によって新しい保険に入り直すと、これまで貯めたお金がゼロになるばかりか、予定利率もが現在の1%前後に引き下げられてしまいます。

保険を見直す際のポイント

かなり以前に保険に入った方は、主契約の終身保険に、定期保険をはじめとした、いろいろな特約がついているのではありませんか。これは、定期保険特約付終身保険といって、15年以上前は国内保険会社の主力商品でした。まず、これを見直してみましょう。終身保険部分は「お宝保険」ですから残します。いっぽう特約はすべて解約して終身保険だけにすると、保険料は半額程度になります。定期保険をつけたい場合は、べつの保険会社を検討してみてはいかがでしょうか? 非喫煙者で健康優良体の人は、リスク細分型の保険を選ぶと、同じ保障なのに保険料が安くなることもあります。

また、いまは保険料が下がっていますし、新しい保険に入り直そうと考えるかもしれません。ただし、いま入っている保険と新しく入る保険をダブらせて契約することを忘れないようにしましょう。保険は申し込み後すぐに保険契約がスタートするのではありません。申し込みと告知(診査)、第1回の保険料支払いの3つが完了した時点で、ようやく契約(保障)がスタートするのです。申し込みが済んだからといって、前の保険を先に解約してしまうと、保険に入っていない空白期間ができてしまいます。この期間に病気や事故で死亡しても、保険金はどちらからも出ません。健康状態が問題になった場合は、保障内容の条件が悪くなったり、保険料が高くなることもあります。最悪、保険に入れないかもしれないのです。

がん保険では、保険会社が加入を承諾してからさらに90日間の待ち期間があるためもっと注意が必要です。この待ち期間にがんが見つかった場合、給付金が出ないうえ、保険契約は無効になってしまいます。がん保険の場合は、新旧の保険を3か月間ダブらせておくことをぜひ守ってください。

なお、あまり知られていないのですが、途中で保険の内容を変更できる商品も多く存在します。「終身保険を定期保険に」「定期保険を終身保険に」「収入保障保険を定期保険や終身保険に」変更できる、といった商品もあります。保険会社によって違いますので、確かめてみてください。

こうした契約の変更はどういったメリットがあるのか具体例で説明しましょう。「終身保険に入っているものの、リストラにあってしまい会社を退職しこれまでのような収入は見込めなくなった。子どもは、高校生になったばかりで、高額な保険料は払えないが、保障はそれなりに欲しい。でも、血圧が高くて薬を飲んでいる」という場合、終身保険を医師の診査なしに延長定期保険に契約変更できる場合があります。保険料の負担はなくなり、終身保険と同額の死亡保障で保障期間が短くなります。

そのほか、「収入保障保険に入っていたところ、脳梗塞で一度倒れてしまった。今後の死亡保障の目減りが心配→定期保険に変更する」、「収入保障保険に入っている人が、がんを宣告された。せめて、いまの保障を維持したい→定期保険または終身保険に変更する」といった具合です。ただし、いったん解約して入り直す形なので、そのときの年齢で計算されて保険料が高くなる場合があります。

国民年金加入者は「付加年金」を活用すべし!

投資よりはるかに安全で、とても簡単に老後資金を増やせる方法が「付加年金」です。この仕組みが利用できるのは、国民年金だけに加入している人。会社員、公務員や国民年金を払う必要のないサラリーマンの妻などは、残念ながら付加年金をつかうことはできません。

毎月の保険料は400円。国民年金の支給が始まると「払い込んだ月数×200円」が年金に上乗せされます。付加年金の魅力は、わずか2年で元が取れてしまうところにあります。たとえば、10年間加入した場合、400円を120か月払ったら総額は4万8000円です。65歳になって年間の受け取り額は、200円×10年(120か月)=2万4000円、2年目には合計4万8000円になり元が取れます。30年で72万円と長生きをすればするほど得をしていくのが付加年金です。条件に当てはまるのならぜひ加入をお勧めします。

「国民年金基金」の大きな節税効果

付加年金は手軽でお得ですが金額が小さいのが弱点です。もうすこし経済的に余裕のある人は「国民年金基金」を選ぶ手もあります。こちらも国民年金加入者のみを対象にした年金に上乗せをする公的な制度で、終身タイプや確定タイプなど、いくつかの種類があります。掛け金の上限は1か月で6万8000円。付加年金にくらべると大きな積立ができます。しかも、国民年金基金の掛け金は、全額が所得控除の対象になるのです。一般的な個人年金保険は最大で4万円(平成24年1月以降に加入したもの)までしか控除の対象になりませんから、このメリットは大きいでしょう。

ただし、国民年金基金も固定金利です。今後のインフレが予想される時期には注意が必要です。また、一度加入すると途中で解約することはできません。年金の支給は60歳か65歳からとなります。

「確定拠出年金」でゆとり老後を

老後資金を貯めたいなら「確定拠出年金」という方法もあります。これは自営業者と会社員が加入できる仕組みで、いまのところ公務員と専業主婦(主夫)は利用できません。確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類があります。勤めている会社が確定拠出年金を導入しているのであれば、「企業型」を利用しているはずです。個人年金保険、投資信託、預金など、いろいろな選択肢があり、そのなかから自分で運用方法を選びます。

掛け金の上限は、企業型年金を導入している企業で、厚生年金基金等の確定給付型の年金を実施していない場合は月に5万5000円まで、企業年金がある場合は月に2万7500円まで。いっぽう、会社に企業年金や確定年金がない人や自営業者は「個人型」に加入します。会社員の場合、月に2万3000円まで、自営業者は月に6万8000円までが限度額です。ただし、国民年金基金に加入しているときは、両方合わせて6万8000円が上限になります。なお、国民年金基金と同様、掛け金の全額が所得控除の対象になります。

確定拠出年金の受け取りは、原則として60歳から。そこまでは引き出すことができません。積み立てたお金は年金、あるいは一時金として受け取る形になります。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している辛口の保険評論家。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(小社刊)、『コワ~い保険の話』(宝島社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)が、監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』(宝島社)などがある。

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