ハイイールド債,ジャンク債,投機的格付
(画像=Shutterstock)

ハイイールド債とは「格付(信用力)が低い代わりに高利回りの社債」を指す。そのメリット・デメリット、投資方法について見ていこう。

ハイイールド債とは

ハイイールド債とは、一般的に格付の低い社債(事業会社が発行する債券)で、格付機関によって投機的格付が付与されている社債のことを指す。

格付とは、格付会社が債券に付与する信用力のことだ。信用力とは債務返済能力であり、格付会社によって表記方法は若干異なるものの、アルファベットのA、B、C、Dで表され、Aに近づくほど信用力が高くなる。

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(野村PIMCO・米国ハイ・イールド債券投信 販売資料より)

一般的にBBB以上(ムーディーズ社の場合はBaa以上)の格付を持つ債券を「投資適格債」、BB以下(ムーディーズ社の場合はBa以下)の格付を持つ債券を「投機的格債」または「ジャンク債」または「ハイイールド債」と呼ぶ。

格付と利回りの関係

債券に投資するうえで、「格付」と「利回り」の関係を理解することが重要だ。基本的には以下の関係性が挙げられる。

・高格付の債券は利回りが低い(傾向にある)
・低格付の債券は利回りが高い(傾向にある)

低格付(=信用力が低い=債務返済能力が低い)債券は、高格付債券に比べて信用リスクが高いため、利回りが高くないと誰も買ってくれない。イロをつけてもらわないと投資家に振り向いてもらえないわけだ。このイロを「スプレッド(クレジットスプレッド)」と呼ぶ。このスプレッドがある分、ハイイールド債は国債などに比べて高利回りとなりやすい。

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(野村PIMCO・米国ハイ・イールド債券投信 販売資料より)

ハイイールド債のスプレッド変化幅は、低格付の債券ほど大きくなる。このため、ハイイールド債のなかでは上位格付の債券(BB格債券など)は投資適格債に近い動きをする一方、ハイイールド債のなかでも下位格付の債券(B格債券やC格債券など)はより株式など高リスク資産に近い動きする。

ハイイールド債のメリット・デメリット

ハイイールド債に投資するメリットとしては、前述のように相対的に高い利回りを期待できることである。また、景気拡大期においては、債券単価の上昇に伴うキャピタルゲイン(売買による利益)も期待できる。

ハイイールド債に投資するデメリット(リスク)としては、まずデフォルトリスクが挙げられる。いくら高利回りを享受できたとしても、発行体がデフォルト(債務不履行)して、元本が毀損したら元も子もない。ハイイールド債への投資においては、スプレッド(もしくは利回り)の相対的な水準を見ながら投資することが重要だ。

またハイイールド債は、景気後退期(信用収縮期)では流動性が低下し、発行体の本来の実力よりも債券価格が下落することがある。実際に、世界金融危機(リーマン・ショック)の直後はハイイールド債の価格は大きく下落した。

下記グラフは米国のハイイールド債の値動き(世界のハイイールド債の動きでないことには注意!)だが、世界金融危機の直後に急落していることが分かる。それも格付が低いほど下落率が大きいことが観察される。

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(野村PIMCO・米国ハイ・イールド債券投信 販売資料より)

しかし2009年以降、各国の中央銀行が金融緩和を実施すると、流動性への懸念が後退して反発。その後は一貫して上昇トレンドを描いている(2017年12月末現在)。

通常の市場環境では、国債とハイイールド債のスプレッドは、市場参加者の想定する損失率を折り込んだ水準となる。しかし、金融危機や経済危機によって、発行体の本来の実力よりも債券価格が下落すると、スプレッドも過度に拡大する場合があり、そうした環境ではハイイールド債の投資妙味が高まっているとも考えられる。

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(PIMCOホームページより)

例えば上記のグラフを見ると、どの格付債も2009年前後に、それまでのレンジを大きく上回る水準までスプレッドが拡大していることが観察される。この時期にハイイールド債へ投資した投資家は、その後、大きなリターンを得られたことだろう。

ハイイールド債の投資方法

ハイイールド債の投資には、どのような方法があるのだろうか。個人投資家が個別銘柄を売買することは様々な理由から難しいため、以下の2つに大別できる(ETFも投資信託の一種であるが、本稿では便宜上ETFと投資信託を分けるものとする)。

・ハイイールド債ETFに投資
・ハイイールド債ファンド(投資信託)に投資

どちらも個人投資家に代わって運用会社が運用してくれるため、多くの銘柄に分散投資することができる。そのため、ハイイールド債のリスクのひとつであるデフォルトリスクを分散することができる。また、少額から投資できることもメリットのひとつだろう。反対に、運用会社に支払うランニングコストが発生することはデメリットと言える。

ETFは、東京証券取引所に上場しているETFを購入する場合と、海外市場に上場されているETFを購入する場合に大別できる。後者は米ドル建てが一般的であり、為替リスクを背負うことに注意が必要だ。東証には現在、以下の銘柄が上場されている(2017年12月末現在、【1361】iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF-JDR(iBoxxドル建てLHYC)も上場されているが2018年1月22日をもって上場廃止となる)。

【銘柄コード1497】iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF(為替ヘッジあり)

ハイイールド債は、名前に「債券」と付いているものの、株式に近い特徴を合わせ持つ。そんなハイイールド債をポートフォリオの一部に加えてみてはいかがだろうか。