中国のアルコール市場におけるウイスキーは、ここしばらくの間、白酒、ビール、ワインのような人気酒とは対照的に、日陰の存在だった。しかしここへ来て様相は変わっている。都市部の若き富裕層を中心に、人気が上昇しているのだ。サントリーはこの機を逃さず、中国市場に“進攻”しようとしている。ニュースサイト「今日頭条」「界面」などがウイスキー市場の動向について伝えた(1元=17.35日本円)。

中国のウイスキー市場

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(画像=PIXTA)

フィナンシャルタイムズ紙は最近、1000人の中国人を対象にウイスキー消費について調査を行った。それによると、外国での生活経験者・旅行経験者は、ウイスキーを“偏愛”していた。このグループに限れば、59%の人が月に3回以上ウイスキーをたしなんでいた。しかし外国滞在経験のない層は21%に過ぎなかった。

収入年齢では、年収607万円(35万人民元)以上の40.7%がウイスキーを消費していた。また25~29歳のウイスキー消費は35歳以上の2倍だった。

もう一つ上海の民間調査機関・胡潤研究院の「2017中国高浄値人群威士忌消費研究白皮書」という資料がある。それによれば、ウイスキー愛好者は不動産、金融、投資、貿易、製造業、建築業の高報酬で、プレッシャーの大きい職業の人たちに集中しているという。また年齢は28~45歳が最も多い。平均は38.2歳である。高学歴で若い人が多く、この傾向が続けば、ウイスキーは偏愛されるようになると予想される。

中国市場開拓

中国海関(税関)総署のデータによると、2017年のウイスキー輸入量は、19.5%増加し1740万リットルとなった。これは反腐敗運動が始まって以降、最大である。ウイスキー輸入関税が10%から5%に引き下げられた影響もある。

しかし全体からすれば、ウイスキーの消費はまだ微々たるものだ。中国の白酒生産量は2017年1~11月の期間で12億リットル、またインドの年間ウイスキー消費量は15億リットルもある。

とはいえ、需要の伸びと減税により、2018年のウイスキー市場の拡大は間違いない。ウイスキー世界最大手のディアジオは2017年、中国市場に対する活動計画を策定した。高級品を中心に、品評会などの販促活動を通して、販売ルートを拡大する。またネット通販での販売も強化する。日本のサントリーは天猫(阿里巴巴)に出店することにした。

サントリーの戦略

「天猫」はネット通販最大手、阿里巴巴のB2Cサイトである。日本企業では、ファーストリテイリング <9983> 、シャープ <6753> 、資生堂 <4911> などが“旗艦店”を開設し、大きな売上を上げている。

サントリーはここに、米国子会社の賓三得利(Beam Suntory)の名で入店する。米国風をまとった方が有利という判断だろうか。賓三得利では、天猫のオンライン商店から、阿里巴巴グループのO2O業態の新店舗「盒馬鮮生」や「天猫超市」への展開も視野に入れている。

当面は、販売価格3万1000円の「山崎」12年、5万7000円の「響」17年などの高級品を主力とする方針だ。以下は山東省・青島市の最高級ホテル、シャングリラ大酒店で聞いた話である。主にドイツ人客をイメージして、新館に高級バーをオープンさせた。しかし来店するのは中国人客ばかりで、欧州人客はほとんど寄り付かなくなってしまったという。

中国の食習慣は90后(1990年代生まれ)以降の世代からは、ガラリと一変しつつある。高級バーも繁盛している。ウイスキーを嗜む人は増える一方となりそうだ。サントリーの進出は、ベストのタイミングといえるだろう。量販品クラスにも注力し、頑張って欲しいものである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)