中国経済,日系企業
(画像=August_0802 / Shutterstock.com、中国・上海のMUJI 2016年撮影)

目次

  1. 無印良品の中国での評価とは
  2. 無印良品が「仏系」と呼ばれるわけ
  3. 無印良品を取り巻く環境の激変
  4. 全面改革ー値下げと「MUJIホテル」
  5. O2O融合よる販売改革
  6. 中国に合わせた改革

無印良品の中国での評価とは

人民日報系メディアの環球網が「“仏系会社”無印良品の小売り改革」という記事を載せた。「仏系」とは「自然体」といった意味の最近の若者言葉だ。環球は人民日報系とはいえ、海外事情を率直に紹介することもあるメディアだが、日本関連記事で、こうした好意的なタイトルは珍しい。

「仏系」と評される無印良品の中国での展開を見てみよう。

無印良品が「仏系」と呼ばれるわけ

無印良品(良品計画 <7453> )は会社創立40年、今では全世界に800店舗を展開、中国では200店舗を展開している。その理念は、しっかり時間の試練に耐えてきた。彼らのデザインは、転がるりんごを追いかけるように、模倣され続けた。同社は2000年に業績が下降し、経営危機に陥った。このときは大ナタをふるって全面改革を施し、V字回復を成し遂げた。シンプルからハイクオリティ・ベーシックへ舵を切ったのである。

それ以外には、逆説的だが、変わらないことによって変転する事態に対処してきた会社といえる。それが「仏系会社」と呼ばれる所以である。

仏系とは、最近若者層でよく使われる言葉である。解説では、論ぜず、争わず、勝ち負けを求めない心の状態、などとなっている。これまでの中国人の在り方とは真逆である。若い人たちを中心に、中国が変わる予兆ともとれる。具体的には「仏系恋愛」「仏系男生」などと使う。プラトニックラブ、草食男子といったところだろう。「仏系従業員」という例もあった。止水明鏡の心で、喜ばず、悲しまず、笑うこともないが、勤怠と品質は確かだという。

つまり仏系会社とは、あざといところのない、自然体のしっかりしたイメージだろう。環球網の記事は、その仏系会社が販売大改革に乗り出す。「これは事件です」というわけである。

無印良品を取り巻く環境の激変