(本記事は、横山光昭氏の著書『お金の損得大全』SBクリエイティブ、2018年8月27日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

一体みんないくら貯めてるの?

お金の損得大全
(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)

一体みなさんどのくらいの貯金を持っているのでしょうか。

総務省統計局が行なっている平成29年の「家計調査報告」によると、2人以上の世帯で貯蓄現在高の平均は1812万円となっています。

これを見て「まずい!」と思った方もいるのではないでしょうか。

「家計調査報告」以外にも、平均の貯蓄額などのデータは各種あり、見るたびに一喜一憂される方もいるかもしれません。

ただし、データを見る際には「平均値」はただの「平均」であることに注意してください。

先ほどの「家計調査報告」によると、貯蓄「0」世帯を含めた中央値(データを小さい順に並べたときの真ん中の値)は1016万円で、平均値とずいぶん離れています。貯蓄を持っている世帯だけの中央値で見ても1074万円です。

なぜなら、平均値は極端に少ない人、極端に多い人に影響されてしまう計算式だからです。このデータの場合、一部のお金持ちに引っ張られているのかもしれませんし、逆に貯蓄がない層や少ない層など、極端な層に影響されることもあるでしょう。

そのため、「平均値」が「多くの人を代表とする数字」とはならないわけです。

実際、同データを見ても、1812万円という平均値を下回る世帯は67%と約3分の2を占めています。

貯蓄平均額は「1800万円」、老後資金は「3000万円」「5000万円」などと言われると、不安を覚えてしまう人もいます。

しかしそれはあくまで平均額であって、多くの人が持っている数字ではないかもしれません。あくまで参考値としてとらえましょう。

貯金は、最低限いくらあればいいの?

「貯金額がいくらあればよいか」は人によりますが、一般的には手取り収入の7.5ヵ月分と考えておくとよいでしょう。

たとえば手取りが30万円であれば、225万円になります。

このうち、1.5ヵ月分はその月の生活費です。手取りが30万円なら45万円になります。

純粋な生活費は手取額の1ヵ月分ですませるのが大切ですが、「突然、冷蔵庫が壊れた」「虫歯が悪化して歯医者に通うことになった」など、何かと出費がかさむ月もあります。

0.5ヵ月分は、これらの突発的な出費をカバーするための余裕資金と考えてください。

残りの6ヵ月分はいざというときの出費に備えるものです。病気やケガをして入院した、失業したなどといった出費に備えるもので、生活防衛資金と言えるものです。

ここは手取額が30万円なら、180万円になります。このくらいあれば、万が一にも備えられるでしょう。その他必要な教育資金などは別に貯めます。

もし、自分の貯蓄が「まだ手取額の2ヵ月分しかないな」ということであれば、あと5.5ヵ月分の貯蓄ができると、ひとまず当面の生活は安心ということになります。

当然ながら、この生活防衛資金は人によって異なります。「1年分はないと不安だ」ということであれば、1年分用意しましょう。

ただし「貯蓄」ばかりを多額にする必要はありません。生活防衛資金以上のお金は、「投資」に回して増やすことを考えます。

●一生シングルの人はいくら貯めておくべき?

シングルの人が、まず頭に入れておかなければいけないのは、「現役中に働けなくなった場合」の準備です。

病気やケガなどで長期間、働けなくなった場合、夫婦だと助け合えるでしょうが、1人だと収入が途切れてしまうのが心配です。将来の介護など不安を抱えている人もいるでしょう。

その意味では、家庭を持っている人よりシビアにお金のことを考えておいたほうがよいと言えます。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、単身世帯で老後の心配があると答えた人は、84.9%になっています(2017年)。

その理由は「十分な金融資産がないから」が最も多く、71.4%。やはり資産について不安を感じているようです。

同調査では、単身者の金融資産の平均額は942万円ですが、中央値は32万円で、かなりの開きがあります。

平均額、中央値ともにそれ以前より増加傾向にあるということですが、中央値の金額では、万が一のときを乗りきれません。しっかり貯めたいものです。

●老後資金はいくらが目安

老後資金の目安は、年金額、生活環境、持ち家かどうかなどによっても異なりますので一概には言えませんが、最低でも2000万~2500万円ほどを目標にするとよいでしょう。

都市銀行、ネット銀行、ネット証券、どことどう付き合う?

先ほど紹介した手取りの7.5ヵ月分を貯めるためにも、お金の管理をしやすくするためにも、口座は3つ用意するようにしましょう。

「なかなか貯金が貯まらない」という人ほどおすすめの方法です。

1つ目は「使う」口座です。生活費を出し入れするための口座ですから、現在、給与振り込みに使っている口座をあてます。

月々の家賃や光熱費などはこの口座から引き落としましょう。給料日後、手取り収入の1.5ヵ月分になるのが目標です。

この口座を開く金融機関を選ぶ際に重視したいのは、利用しやすい銀行です。大手銀行なら自宅、会社の周辺にもあるでしょうし、地元の地銀も近くにあるなら便利に使えます。

手数料があまりかからない銀行がおすすめです。

2番目は「貯める」生活防衛資金用の口座です。ここに手取り月収の6ヵ月分を貯蓄することを目標にします。

ただし、「余ったらこの口座に貯めよう」という考えでは、いつまでたっても目標額に到達しません。給料が入金されたらすぐに一定額を「貯める」口座に移します。

便利なのは、銀行の積立預金です。毎月、指定した日に一定額が積み立てられるため、意識することなく貯蓄ができます。

「貯める」口座はネット銀行がおすすめです。ネット銀行は店舗がない分預金の金利が高めに設定されることが多いですから。

なおかつ、引き出しの際の手数料が安い銀行を調べ、利用するとよいでしょう。

また、ネット証券会社と連携するときに使い勝手がよかったり、利率がアップするところなどもあります。

3つ目は「増やす」投資用の口座です。

手取額が30万円の場合、貯蓄に必要な7.5ヵ月分は「使う」「貯める」を合わせた225万円です。もし現在、貯蓄が300万円あるなら、差額の75万円は「増やす」投資用口座に入れましょう。

おすすめはネット証券会社の口座で、投資信託を購入することです。

自分で投資商品を選べますし、購入も覚えてしまえば難しくありません。営業されて、よくわからない商品を買うよりもよいでしょう。

●4つ目の口座はお楽しみ口座

ここまで「貯金をする・増やす」方法として3つの口座をつくることを紹介しましたが、4つ目の口座を持つ方法もあります。

私も口座は4つにしています。

この4つ目は「お楽しみ口座」です。少し値の張る欲しいものを買う、海外旅行に行くなど、自分の楽しみのための資金づくりをするのに使います。この口座も、ネット銀行がふさわしいでしょう。

このように、口座は目的に応じて使い分けると管理がしやすくなります。

ただし、あまり口座が多すぎるとかえって管理がしづらくなりますので注意しましょう。

夫婦の口座は一緒にする?別々にする?

夫婦共働きの場合でも、口座の考え方の基本は同じです。

一人暮らしの人と異なるのは、それぞれに給与振り込み用の口座があるということ。

そのうち、夫の給与振込口座を生活費用の「使う」口座にしている家庭もあれば、「使う」口座は別に用意している家庭もあるなど、バリエーションはさまざまです。

家計は1つにまとめたほうが管理しやすく、資産もつくりやすいのは事実ですが、特に共働きの場合、自分で稼いでいるのだから、自分のお金を持ちたい気持ちは多くの人が持っていると思います。

このような場合には、多少のお金を夫婦それぞれプライベート口座に入金して、お小遣いやお楽しみのために使うのは悪いことではありません。

いずれにしても、「わかりやすさ」「管理しやすさ」で口座を割り振るようにしましょう。

お金は貯められればいい?増やさないといけない?

口座の3つ目は「増やす」ためのもの、投資用の口座とお伝えしました。

なぜ「貯める」だけでなく、「増やす」ことをおすすめするかというと、将来の資産に大きな影響を与えるからです。

たとえば、毎月5万円を金利0.02%で貯め続けたとしましょう。

1年後には元金が60万円、金利が55円になります。

これが5年では300万1475円(元金300万円+利息1475円)、10年では600万5954円(元金600万円+利息5954円)です。

一方、同じく月5万円を投資に回すと、利回りが3%で運用できたとしても、1年後には60万8319円、5年後は323万2336円、10年後は698万7071円になります。

10年後には実に100万円近くもの差がついているわけです。投資に回す金額が大きければ大きいほど、投資を長く続ければ続けるほど、この差が広がっていきます。

貯金だけではインフレに対応できない点も見逃せません。

インフレはモノの値段、つまり物価が上がってしまうこと。これまで100円で買えていたものが、110円に値上がりするのがインフレです。

これは、100円というお金の価値が下がったと表現することもできます。

つまり、貯蓄が300万円あっても、インフレになってしまうと今の300万円の価値より下がっているかもしれないわけです。

将来の安心を得るためには、「投資」にチャレンジすることもよいと言えます。

短期の売買と長期の投資どちらがおトク?

投資についての誤解で多いのは、「一攫千金か破産か」という極端なイメージです。

そのため、いざ投資をはじめても、価格の値上がり、値下がりに一喜一憂して、少し値上がりすると売却したり、ちょっと値下がりしただけで不安になって損切りしたり、短期間で利益を得ようとしてしまいます。

しかし、投資は一時的な価格の変動に振り回されると、よい結果は出ません。

投資のプロではなく、一般の人が行う投資は「長期間」で行うものです。貯金と同じように、投資もコツコツと行うのがリスクを抑えるポイント。

一攫千金を夢見る気持ちは理解できますが、ハイリターンは必ずハイリスクがセットになっています。

10年、20年と長い時間を見てプラスになるような投資を目指すべきです。

そのためには、コツコツ投資するという考え方も大切です。いきなり、まとまったお金を金融商品につぎ込むのではなく、まずは少額からはじめます。

後ほど紹介する投資信託には、通常の購入ですと、1万円前後から購入できるものも多くありますし、ネット証券では100円、500円といった金額からはじめられるものもあります。

毎月、一定額を積み立てられるものもあり、購入するタイミングを意識する必要もありません。

いずれにしても、大切なことは「コツコツ投資して、長期で収益を得る」ことです。「3ヵ月でウン千万円」といったよくある煽り文句に踊らされず、長い目で資産づくりをしていきましょう。

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横山光昭(よこやまみつあき)
家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表。著書は60万部を超える『はじめての人のための3000円投資生活』や『年収200万円からの貯金生活宣言』を代表作とし、著作は累計280万部となる。お金の悩みが相談できる店舗を展開するmirai talk株式会社の取締役共同代表を務めるなど、個人のお金の悩みを解決したいと奔走するファイナンシャルプランナー。
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