良い眠りのための5つの基本ルール
眠りに関する様々な悩みは、ちょっとした習慣を変えることで解決することもある。1万人以上の眠りの悩みを解決してきた快眠セラピストの三橋美穂氏に、快眠のルールについて教えていただいた。(取材・構成=林加愛)
働き盛りの日本人の半数が睡眠時間不足!
「寝ても疲れが取れない」「朝の目覚めがスッキリしない」など、睡眠の悩みを抱えるビジネスマンの方は多いでしょう。そのため仕事に悪影響を及ぼしているケースも少なくないはずです。
では、「良い眠り」とは何でしょうか。そこには「睡眠時間」と「睡眠の質」という二つの側面があります。
両者のうち、働き盛りの方々の関心は質に集中しがちです。40代ビジネスマンの皆さんからはよく、「短時間でも深く眠る方法は?」といった質問が寄せられます。
しかし、そうした方々にお伝えしたいのは、「そもそも睡眠時間が足りていないのでは?」ということです。
厚生労働省の調査によると、睡眠時間が6時間に満たない人の割合は、40代男性の48%、40代女性の52%。ほぼ半数の人が睡眠不足状態にあるのです。通勤電車で必ず眠ってしまうという方は、おそらくこの半数に入っていると思われます。
その場合、質を上げようとあれこれ工夫するよりも、まずは睡眠時間を延ばした方がはるかに効果的です。適切な睡眠時間には個人差がありますが、少なくとも6時間は必要で、7時間取れれば理想的です。時間を延ばしてもなお寝起きの辛さや疲労感が軽減しなければ、そこで初めて質のアップを検討しましょう。
時間が確保できない人は、夕食を「早めに、軽く」
質量ともに良い眠りを得るには、体内時計のリズムを作ることが不可欠です。体内時計には、脳の中の「親時計」と、全身ほぼすべての細胞に内蔵された「子時計」があります。
体内時計は1日よりやや長めのサイクルで動くため、毎朝ゼロに戻す必要があります。朝一番に、この親時計を「リセット」しましょう。
その方法は、起き抜けにカーテンを開けて朝日を浴びること。これにより、親時計が前進し調整されます。眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌も光によって止まり、寝起きの頭をしっかり目覚めさせてくれます。
次いで、朝食をとることで子時計が親時計に同調します。体内時計の観点からは、朝食:昼食:夕食のボリュームの割合は、4:3:3または3:4:3が理想的とされています。
朝食のメニューはバランスを意識しつつ、タンパク質をしっかり摂りましょう。タンパク質に含まれる「トリプトファン」は体内でセロトニンに変わり、時間をかけてメラトニンになり、睡眠の質を上げてくれます。セロトニンを脳内に取り込むには炭水化物も必要です。
日中の大敵は昼下がりの眠気。これを助長するのは丼ものなどの単一ランチメニューです。血糖値が急上昇→急降下して、強烈に眠くなります。ランチは定食にするのがベターです。
それでも眠い場合は仮眠を。ただし、「20分以内」「就寝の8時間以上前」を厳守しましょう。仮眠が長すぎたり遅すぎたりすると体内時計が狂い、夜に眠れなくなります。
夕食はできるだけ早い時間(理想は18時頃)に摂り、かつ量を軽くしましょう。就寝後に内臓が働かずに済むので、しっかりと眠れるのです。比較的短時間(6時間程度)の睡眠でも、素早く心身の疲れを取る効果があると思われます。「7時間も睡眠時間に充てられない!」という方はぜひ、「早めに、軽い夕食」から習慣にしてはいかがでしょうか。