(本記事は、加賀田裕之氏の著書『営業は台本が9割』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
トップセールスは「断られること」に対して、どう考えているのか?
では、ステップ4の「クロージング」にいきましょう。
営業が苦手な人は、クロージングに苦手意識を持っている人が多いです。
そして「クロージング」に対する苦手意識は、そもそも「クロージングスキル」を知らないことはもちろん、「反論(お客様の検討要望)を切り返せないので、クロージングが怖い」というのが大きな原因なことが多いのです。
「反論処理(反論解決)」は次のステップ5で体得していただきますが、まず「断り」に対するマインドセットがクロージングをする上で重要なのです。
最初に「断りとはどういうことか?」というと、単純に、お客様はあなた(営業マン)の本気を試しているだけなのです。
たとえば、恋愛心理で考えてみればわかりやすいと思います。
男性が女性に告白しているシーンを想像してください。
男性
「好きです!」
女性
「本気なの?」
男性
「本気だよ!」
女性
「遊びじゃないの?」
男性
「ずっと、好きだったんだ!」
というやり取りは自然ですよね。
このように、お客様はあなたの「本気度を試している」だけなのです。
話をクロージングに戻すと、いままでのクロージング話法は「いかに決断させるか?」という決断トークを磨いていました。だから、営業マンもお客様もお互いにストレスだったのです。
これからあなたが体得するクロージングは、「どちらを選んでいただくか?」という「選んでいただくクロージング」なので、ストレスがまったくありません。
「AとB、どちらがいいと思われますか?」というように「選ばせるクロージング」をすることで、お客様にも営業マンにもストレスなく契約へと導いていくのが、最新のクロージングテクニックなのです。
選ばせるクロージングの5ステップ
では、早速「選ばせるクロージング」を体得しましょう。
この「選ばせるクロージング」テクニックは超簡単です。
ステップ1:「予算感」をさりげなく伝える
お客様によっては、その商品・サービスの予算感をご存じない方もいるので、金額提示をしたときに、あまりに予算感とズレていると「そんなの高くて、買えないよ」と、失注してしまう可能性があります。そこで、事前に予算感を伝えるということです。
予算感の伝え方は簡単です。
たとえば住宅の営業なら、「通常、このエリアの新築マンションって、いくらくらいかご存じですか?」
のような感じでお客様にさりげなく聞きます。
ステップ2:複数プラン(松・竹・梅)から選ばせる
昔は「決断させるクロージング」が主だったため、お客様も営業マンも互いにストレスがありました。ならば「A、B、C、どれがいいと思われますか?」と、松竹梅で選ばせればいいのです。
たとえば「300万円、200万円、100万円とプランがありますが、どれがいいと思われますか?」と選ばせるクロージングです。
ステップ3:高い金額から提示する(事前に調査したギリギリ高額)
金額提示の原則は、高い金額から提示します。
なぜかというと、低い金額から徐々に高い金額を提示すると、お客様は「この後、高い商品を提示されるんじゃないかな?」と心配になる可能性があるからです。簡単な金額提示の方法は、高い金額から提示する方法なのです。
ステップ4:選択をほめて、理由を聞く(自己説得)
たとえば、お客様が「Bプランのほうがいいです」と言ったら「さすがですね」とほめます。
そして次は「どうしてそう思われましたか?」と質問します。
「○○という理由で、いいと思いました」と答えたら、「なるほど、さすがですね」とほめて、自己説得してもらうのです。
ステップ5:値引き(サービス)交渉を残して、お客様に勝たせる
「値引き」がもしできるのであれば、値引き分を交渉のカードとして残しておくやり方もあります。目的は、交渉で「お客様に勝った気持ちになってもらう」ことです。「値引き」でなく、追加サービスでも構いません。
以上が「選ばせるクロージング」の5つのステップです。
すごく簡単ですよね。ぜひやってみてください。