スクワットは「深く落とす」ほど良い
3種目のうち最も重要で、かつ、間違ったやり方をしている方が多いのがスクワットです。
上体を起こしたまま膝を曲げ伸ばしすると、膝が前に出て、関節痛の原因になります。腿と胸を近づけるイメージで、背すじを伸ばして上体を前傾させ、お尻を後ろに突き出しましょう。
しっかり腰を落とすことも大切です。多くの方のスクワットは、圧倒的に落とし方が足りません。「腿と床を平行に」とよく言われますが、さらに落としてください。深く落とせば落とすほど、負荷が強まります。
腰痛がある方には、前傾姿勢を取らない「ワイドスクワット」がお勧めです。爪先を身体の外側に向け、脚を肩幅の1.5倍に大きく開き、身体を起こしたまま腰を落とせば、前傾姿勢を取らなくてもお尻の筋肉に効きます。
以上を守って行なうと、筋肉に熱さを感じるはずです。ポカポカと温かくなり、次第に熱い痛みになるでしょう。この「バーニング」が起こるくらい筋肉を追い込みましょう。最初はつらくても、慣れればその痛みが気持よくなってきますよ(笑)。
不適当なやり方では関節を傷めることも
筋トレの楽しさに目覚めて、本格的なトレーニングを始める方もいるでしょう。そのときに気をつけるべきことは、重さにこだわりすぎないことです。
ジムでベンチプレスに勤しむ方を見ていると、「何kg上げられた!」という数字へこだわりをしばしば感じます。
例えば100kgを上げても、バーベルを握る両手の間の幅を広げすぎたり、動作範囲を小さくしたり、反動を使っていては、重さの割には筋トレの効果は上がりません。それどころか、関節を傷める危険もあります。
関節は、筋肉や骨と違って、消耗品です。筋肉や骨は運動で強化されますが、関節は消耗が進むばかりです。しかも怖いことに、関節が痛み出すのは、損傷の程度がかなり進んでから。何年も経ってから痛みます。老後に備えたつもりの筋トレがかえってアダになることがないよう、重々注意しましょう。
繰り返しますが、筋トレの効果は1回1回のプロセスをきちんと行なうことによって出ます。
ベンチプレスなら、両手の間の幅を広げすぎず、丁寧に胸までバーベルを下ろすこと。そのうえで、少しずつ負荷を増やしていくことが何より大事です。
地道に丁寧に繰り返すことが、安全かつ有効な身体作りなのです。
谷本道哉(近畿大学生物理工学部准教授)
(『THE21オンライン』2020年04月10日 公開)
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