7月上旬に中国市場の各指数が急騰した。中国の信用取引の買い残と売買代金が揃って1兆元を大きく上回ったことがその背景にある。ただ、米中対立の激化など不安定要素も根強く残る。

中国, 株, MSCI
(画像=bluedog studio/Shutterstock.com)

キーワードは1兆元

 中国の上海総合指数は7月6日に前日比5.7%高となり、2年5カ月ぶりの高値となる3,332ptで引けた。同13日には一時、3,458ptまで上昇。深セン成分指数も同14日に14,150ptまで買われた。香港のハンセン指数は同6日、3月の大幅下落で開けたチャート上の窓(3/6安値:26,084~3/10高値:25,578pt)を埋めた。翌7日には26,782ptまで買われている。

中国市場グラフ
(画像=東洋証券株式会社)

ここで注目したいのは「二つの1兆元(約15兆円)」。信用取引の買い残と売買代金だ。前者は市場の過熱度の判断材料となり、概ね1兆元を超えると買われ過ぎ感が意識され始める。足元ではすでに1兆3000億元を上回っているが、2015年の過剰流動性相場の際は2兆2000億元まで積み増された。一方、後者は単純に上海・深セン両市場の1日当たり売買代金。経験則では、5000億~6000億元前後が「通常商い」、7000億~8000億元前後が「大商い」、1兆元を上回ると「超大商い」とでも言えようか。中国市場では7月に入り1兆元を超える日が続いた。

両者が1兆元を上回ると大相場になりやすい。14年12月や15年3月に両数字が膨らむと、後の指数急騰につながった。直近では「19年3月から4月前後(買い残は9822億元で止まったが)」「今年2月下旬から3月上旬」の2回が挙げられる。

商いが膨らんだ背景には、中国経済の復調傾向、信用取引制度の緩和、証券改革の進展に加え、メディアが後押しした「官制相場」という見方もある。新型コロナや米中貿易戦争などが一種の“ニューノーマル”と捉えられ、相場がそれを織り込みつつある側面も指摘できる。大商いと相場急騰の後は短期的には反動安になりやすいというのも事実。総領事館閉鎖などを伴う米中対立の激化を受け、7月下旬に売り込まれる場面もあった。ただ、信用買い残と売買代金などの指標チェックを続け、マーケットの時流を読み、次の大相場に向けた投資を心掛けたい。

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

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