短編動画プラットフォームを運営する快手科技(クァイショウ・テクノロジー、01024)が2月5日、香港市場に上場した。
初日の取引は公開価格(115香港ドル)を160.9%上回る300香港ドルで終了。一時345香港ドルまで上昇した。
売買代金は約375億香港ドル(約5100億円)、初日終値に基づく時価総額は1兆2324億香港ドル(約16兆7600億円)だ。
中国のショート動画2強と言えば「快手」と「抖音(ドウイン)」。
海外展開時、前者は「Kwai」「Snack Video」など、後者はおなじみの「TikTok」を使っている。抖音の運営会社は、米国による規制騒動で昨年話題になった北京字節跳動科技(バイトダンス)。将来的に香港などへのIPOを計画中とされる。
設立は快手が2011年と早いが、16年にスタートした抖音の勢いがすさまじい。
ユーザー数は4億2620万人と、快手の2億7590万人を大きく上回る(20年9月末時点)。
利用者の特徴は、快手は「男性やや多め、地方部中心」、抖音は「女性やや多め、都市部中心」となろう。
快手は特に内陸部の四線級都市(地方の小都市)のユーザーが目立つ。
この傾向はコンテンツにも現れている。
快手のアプリを開くと、一般人のリアリティ動画らしきサムネイルが並ぶ。日常生活のワンシーンを切り取った動画や、ヤボったいコント風のコンテンツが豊富だ。農業や健康・医薬品情報なども多く、地域密着の「コミュニティ型」という色合いが濃い。
一方、抖音は全体的に洗練されたイメージ。
ノリノリの音楽を添えた自己陶酔型の自撮り動画やアニメ顔への変身動画など、いわゆる「映え」を意識した作りが目立つ。地方政府やメディアなどの公式アカウントが多く、公式情報の発信も積極的だ。
中国ではショート動画はすでに生活の一部だ。ユーザー数はネット利用者の88.3%に当たる8億7335万人。地下鉄の中やレストランの待ち時間に楽しんでいる姿をよく見かける。
先日、中国の友人が「テレビを見る」と言って抖音アプリを立ち上げた。もはやテレビ視聴と動画閲覧の垣根はない。
快手などのアプリでは、動画投稿に加え「直播(ライブ配信)」も盛り上がっている。ただのお喋り、歌やダンスの披露、ネットゲームの実況中継など何でもござれ。
視聴者の「投げ銭」は配信者と運営側で分けるが、これが快手の収入の62.2%を占めている(20年1~9月期)。今後の主戦場は「直播電商(ライブコマース)」。口コミや商品の質(真偽の区別)を重視する中国の消費者は動画コンテンツとの相性がすこぶる良い。
快手と抖音はいずれもライブコマースを今後の注力分野に挙げている。ただのショート動画アプリではない2社の動きに注目していこう。
奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。
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