東京株式市場は歴史的な株高局面になっています。
2/15(月)には、日経平均株価がおよそ30年半ぶりに3万円の大台を回復し、翌日には一時30,714円まで上昇しました。過剰流動性を背景に世界的な株高が続く中、日本では新型コロナウイルス向けワクチンの普及による景気や企業業績への回復に期待が高まっています。
そうした中、2020/10~12期の決算発表が一巡し、企業業績の回復傾向が確認される形となりました。そこで今回は、今後の業績相場で活躍が期待される好業績銘柄をピックアップし、ご紹介します。
業績相場で活躍期待の好業績8銘柄
歴史的な株高局面となった一方、外食や宿泊、運輸など、需要の減少に苦しむ産業は多く、景気や企業業績の回復については「期待が先行しすぎている」という声も聞かれます。
もっとも、景気や企業業績が強くないにもかかわらず、過剰流動性を背景に株価が上昇する局面は、典型的な金融相場と考えることができ、今後は「調整」を経て「業績相場」につながっていくと考えられます。
そこで今回は、新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けた2020年の経済社会において好業績で乗り切り、さらに業績拡大が期待される8銘柄をピックアップし、ご紹介します。
スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)東証1部上場銘柄であること。
(2)時価総額1千億円以上の銘柄であること。
(3)業績予想を公表するアナリストが3名以上の銘柄であること。
(4)直近4週間に、市場予想EPS(1株利益)が下落していない、または、会社予想営業利益が下方修正されていないこと。
(5)3月、または12月が本決算の銘柄であること。
(6)直近3四半期がすべて、前年同期比で営業増益の銘柄であること。
(7)2020/4~12期(累計)営業増益率が、今期会社予想営業増益率を上回っていること。
(8)2020/10~12期の営業利益が事前の市場予想を上回っていること。
(9)今期、来期の市場予想営業増益率がともに10%超の銘柄であること。
(6)の「直近3四半期」とは、3月決算銘柄、12月決算銘柄にかかわらず、2020/4~6期、2020/7~9期、2020/10~12期という3つの四半期を指します。
(7)の条件を満たしているため、他の銘柄に比べて会社予想営業利益が上方修正される可能性が高く、(9)の条件を満たしていることから、中期的にも成長が期待される銘柄であると考えられます。
上記(1)~(9)すべての条件を満たした銘柄について、2020/4~12期の営業増益率が高い順に並べたものが図表1で、きたる業績相場に向け、さらに好業績が続きそうな銘柄であると評価します。
図表1 業績相場で活躍期待の好業績8銘柄
コード / 銘柄 / 株価(円)(2/18) / 決算発表後騰落率 / 営業増益率2020/4~12期 / 営業増益率来期市場予想
<3635> / コーエーテクモホールディングス / 6,530 / 8.7% / 201.2% / 12.3%
<4062> / イビデン / 4,785 / -8.3% / 107.8% / 20.5%>
<3774> / インターネットイニシアティブ / 2,346 / 3.5% / 67.1% / 12.7%
<6146> / ディスコ / 34,500 / -8.4% / 42.9% / 14.4%
<6407> / CKD / 2,390 / -4.5% / 40.4% / 78.2%
<6622> / ダイヘン / 4,590 / -9.6% / 36.1% / 16.5%
<2491> / バリューコマース(12) / 3,155 / -3.2% / 26.0% / 14.2%
<4684> / オービック / 19,630 / -6.4% / 11.3% / 12.9%
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。「決算発表後騰落率」は、決算発表日終値(取引時間中に発表した銘柄の場合は前営業日終値)から2/18(木)までの騰落率。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません
掲載銘柄の投資ポイント
ここでは図表1に掲載した銘柄の一部について、投資ポイントを簡単にご紹介します。
イビデン(4062)
半導体パッケージの大手企業で、ライバルは新光電気工業(6967)です。 2/4(木)に決算を発表し、2020/4~12期(累計)の営業利益は前年同期比で約2倍となりました。これを受けて会社側は、2021/3(通期)の予想営業利益を270億円から355億円(前期比80%増)に上方修正しました。
決算発表後に利益確定売りが増え、足元は上値が重い展開です。取引先最大手のインテルの決算がふるわなかったことや、販売先自動車大手企業の地震による生産停止の動きが影響しているようです。
半導体メーカーは採算向上に向け、微細化を極限まで進めていますが、AI(人工知能)市場が求める半導体の性能向上を実現するためには、半導体チップをパッケージ内で3次元化するなど積層技術が必要とされます。このような背景から、半導体パッケージ市場は拡大し、同社の成長も続きそうです。なお、市場では来期以降も3年程度年2割超の営業増益が続くと予想されています。
CKD(6407)
省力機器・自動機器の大手企業です。
売上構成比(2020/4~12期)は自動機器が14%で、機器部門が86%となっています。前者は国内シェア70%を誇る薬品包装装置などが知られ、後者は半導体製造装置向け機器他を製造しています。同四半期累計の営業利益は前年同期比で約40%増となり、通期の予想営業利益も49億円から65億円(前期比24%増)に上方修正されました。
微細化の進展や「3D NAND」の多層化等の流れがあり、半導体向けが既存製品・新分野ともに成長が続きそうです。市場予想では今後5年間、同社の営業利益は年3割超のペースで増える可能性があります。純利益ベースでの最高益は2018/3期の91億円ですが、2023/3期頃に超える可能性がありそうです。
コーエーテクモホールディングス(3635)
家庭用ゲームソフト大手で、1/25(月)に決算を発表。
2020/4~12期(累計)の営業利益は前年同期比で約3倍となりました。これを受けて会社側は、2021/3(通期)の予想営業利益を170億円から220億円(前期比56%増)に上方修正し、期末配当(中間配当実施なし)計画についても、1株71.5円から100円に上方修正しました。
巣ごもり消費の拡大を背景に、2020年の世界ゲーム市場は前年比2割拡大し、1,749億ドルに膨らんだ模様です。こうした中、家庭用ゲームソフト大手5社(注)は、同四半期(累計)でいずれも過去最高営業利益を記録。その中でも、営業増益率は同社が最高となりました。
同四半期(累計)の海外売上高は50%を超えてきました。約35年かけて築き上げた「三国志・戦略版」の世界観をアリババ集団傘下のゲーム会社に貸与し、ロイヤルティーを受け取るIPビジネスが軌道に乗り、新たな利益拡大局面に入ってきた可能性もあり、決算発表後も株価は堅調です。なお、市場では営業増益率は今期73%、来期12%増、再来期も2桁増を予想されています。
※家庭用ゲームソフト大手5社は同社の他、バンナムHD、スクエニHD、コナミHD、カプコンを指します。
インターネットイニシアティブ(3774)
ネットワーク接続サービスが中心的ビジネスで、法人向けビジネスに強みを有しています。
2020/4~12期(累計)の営業利益は前年同期比で約67%増となり、通期の予想営業利益も113億円から135億円(前期比64%増)に上方修正されました。新型コロナウイルスの感染拡大で、企業のデジタル化が加速したことや、IoTの拡大などが追い風になりました。
なお、市場では営業利益の伸びが5割に達するような大きな伸びとなるのは、今期が最期で、その後3年ほどは年率10%前後の利益成長が予想されています。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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