本記事は、山口貴大氏の著書『年収300万円FIRE 貯金ゼロから7年でセミリタイアする「お金の増やし方」』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています
でも、日本の「お金持ち層」は増えている
給料が上がらないとか超低金利とか、不景気な話が続いて恐縮です。
こんな話ばかりすると「お金持ちはほんの一部。例外的な存在なんじゃないか」「今のような時代にお金持ちになるなんて無理」と思ってしまいますよね。
ところが意外なことに、お金持ちの数自体は増え続けています。
下の図8は、野村総合研究所が2020年12月に発表した純金融資産保有額別の世帯数の推移。この表では、純金融資産保有額の階層を次のように定義しています。
マス層 ── 純金融資産保有額3,000万円未満 アッパーマス層 ── 3,000万円以上~5,000万円未満 準富裕層 ── 5,000万円以上~1億円未満 富裕層 ── 1億円以上~5億円未満 超富裕層 ── 5億円以上
純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の富裕層の数を見ていくと、2005年には81.3万世帯だった富裕層は、2011年までは増減しているものの、2013年に95.3万世帯、2015年には114.4万世帯まで増えています。まさに、「激増」といってさしつかえないくらいの増え方をしており、2019年には124万世帯となりました。
富裕層の保有する純金融資産総額も、2005年に167兆円だったのが、2019年には236兆円と14年間で69兆円も増加しました。
富裕層のさらに上をいく純金融資産保有額5億円以上の超富裕層も、2005年では5.2万世帯だったのが、2019年には8.7万世帯に増えているというのですから驚きです。
「富裕層の4分の1が年収500万以下」の謎
純金融資産保有額が1億円以上というと、とんでもないお金持ちでめったにいないというイメージがありますが、全世帯に占める割合は2%です(図9)。
つまり、50世帯に1世帯は純金融資産を1億円以上持っているというわけです。
そう考えると「意外にいるものだな」と思えてきませんか?
そしてここが最重要ポイントなのですが、別のマネー誌のアンケート調査によると、50世帯に1世帯は存在している「資産額1億円以上」のうち、4人に1人は年収500万円以下の会社員なのだそうです。
年収500万円以下の会社員といえば、今、この本を読んでいる方たちの中にも、同じ立場の人が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
「この先、給料が上がる見込みがない」と嘆いているあなたにも、「こんな年収じゃ、とても資産形成なんかできない」とあきらめているあなたにも、富裕層になるチャンスはある、ということです。
むろん、年収500万円以下といっても親から高額の遺産を相続していたり、先祖代々の不動産を譲り受けていたりする人も多いのでしょう。
でも富裕層の4人に1人は年収500万円以下と聞いたら、なんだか、やる気が湧いてきませんか。
お金のために働くのではなく、お金に働いてもらう投資を通じて資産形成に励めば、手が届かないわけではない。それが1億円以上の資産を持つ富裕層というステイタスなのです。
当然、その結果として、望むならばFIREすることだって可能です。
これからも「お金持ち層」が増え続ける理由
スイスのチューリッヒに本社を置く欧州系金融大手のクレディ・スイスのシンクタンクが2019年に発表したデータによると、100万ドル(約1億円)以上の資産を持つ成人の数が世界で一番多いのはアメリカ、2番目が中国、3番目が日本なのだそうです(図10)。
その数は今後も増加する見込みで、2019年時点での日本における総資産額100万ドル以上の人の数は302万人ですが、2024年には516万人と71%増になるのだとか。世界全体でも34%増の見込みが立っていますが、日本の増加率が世界の中でも一番大きいという予測がされているのです。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます