本記事は、山口貴大氏の著書『年収300万円FIRE 貯金ゼロから7年でセミリタイアする「お金の増やし方」』(KADOKAWA)の中から一部を抜粋・編集しています
投資信託・ETF、結局どちらがいい?
さて、先ほど私は「分配金のつき方」のところで、
・再投資型の投資信託は分配金が元本に組み入れられて増えていくので、自動的に複利になる ・ETFは分配金が払い出されて元本は増えないので、自分で再投資しない限り複利効果は期待できない
とお話ししました。
少額からタネ銭をつくって、こつこつ積み立て投資でFIREを目指すのであれば、投資信託を使うことをおすすめします。そのほうがお金の増え方が速いからです。
なぜなら投資信託は分配金を自動再投資することでETFよりも複利効果が高くなるからです(図25)。
しかし、すでにかなりのタネ銭があり、分配金という実り(現金)を手にしたいのであればETFを使ってもいいでしょう。
ただし、その場合は、分配金のすべてを使ってしまってはいけません。一部を再投資するようにしましょう。
そうしないと資産を増やすことができなくなってしまいます。
なお、FIRE達成後に一部の資産を4%ルールで取り崩しながら生活する場合には、日々の支出に使える分配金が得られて
信託報酬の低いETFが使いやすいかもしれません。
図26に投資信託とETFのメリット・デメリットをまとめましたので参考にしてください。
2種類のおすすめインデックスファンド
米国のS&P500などに投資する「インデックス投資」は、投資する市場さえ間違えなければ手堅い投資ができます。
米国株インデックスのリターンは過去の実績値で見て年利5%~7%前後。
個別株投資に比べれば地味ではありますが、一度口座を開いて設定さえしてしまえば長期積み立て投資の手間はほとんどかかりません。
投資する市場としておすすめなのが、
・米国株インデックス ・全世界株式インデックス
の2つです。
「米国株=最強」が一発でわかる証拠
なぜ米国株がおすすめなのか?その理由ははっきりしています。
図27は2021年10月末時点の世界の株式時価総額ランキング上位10社です。
「時価総額」とは、上場企業の株価に発行済株式数をかけて算出するもので、企業価値や規模を評価する際の指標です。
時価総額が大きい=現在の業績がいいだけでなく、将来の成長に対する期待も大きく、株式市場での評価が高い企業ということを意味します。
世界の時価総額トップ10の企業を見てみると、1位で時価総額が2兆5,220億ドル(日本円にして約287.5兆円!)のアップル、同社と抜きつ抜かれつのトップ争いを繰り広げる2位マイクロソフトを筆頭に、10社中8社が米国企業。
残り2社はサウジアラビアのサウジアラムコと中国のテンセントですが、世界で最も評価され、期待も高い企業10社のランキングの大多数は米国企業なのです。
これらの米国企業の収益力や成長性などをそっくり反映しているのが米国株インデックスです。
図28をご覧ください。
日米を代表する株価指数、日経平均株価(灰色)とS&P500(黒色)のパフォーマンスを、1985年を起点に比べたものです。
日経平均株価がS&P500を上回るパフォーマンスだったのは1980年代後半から1990年代はじめのバブル期のみです。その後は大きな差をつけられました。
1985年から2021年までの約37年間で、S&P500は29倍近くまで上昇しました。一方、日経平均株価は同じ37年間で約2.8倍に上昇しましたが、いまだに1989年末につけた史上最高値を超えることができていません。
日本株が悲しいくらい成長していない一方で、米国株はリーマンショックやコロナショックをたくましく乗り越えて成長を続けているのがわかります。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます