本記事は、天野眞也の著書『シン・営業力』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

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(画像=PIXTA)

苦手意識のある電話営業への心構え

ここからは、商談に臨む上での事前準備についてお伝えします。

商談のためのアポイントを取る方法は様々であり、近年はSNSやコミュニケーションツールなども含めますます多様化していますが、ここではひとつの例として「電話営業」の心構えについて紹介します。

この電話営業、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。

受付担当者からあまりよい対応をされなかったり、こちらが話している間に突然ガチャ切りされたり、などの拒絶を経験していたら、「やりたくない」という心理状態になってしまうのも無理はありません。

もちろん、私もたくさん、そういった拒絶経験をしてきました。

それでも私は、電話営業は好きでした。なぜなら、営業ならば必ず必要とされる「量」をこなすことができるからです。

もちろん、電話口での喋りのうまい下手で多少の差は生まれるでしょう。しかし、誤解を恐れずにいえば、それは誤差の範囲です。基本的には、どんなに喋り上手でも口下手でも、アポイント獲得率はよくて5〜10%の域を超えないのです。

私は、キーエンスの新人時代、1日あたり100件以上、新規のお客様に電話でアポ取りを試みていました。ターゲットリストに載っている会社に電話をかけていましたので、トークもある程度パターン化されていき効率もよくなりました。それでも、アポにつながるのは、よくて10%程度でした。

私が講師を務めた営業の研修で、営業の皆さんに実際に電話でのアポ取りに挑戦してもらいましたが、やはり成功率は5~10%でした。

このように、電話営業は基本的には確率論であることを認識してほしいのです。逆に言えば、得意だろうが苦手だろうが、地道にコツコツやれる人が必ず結果を出せる手法とも言えます。

つまり、小手先のテクニックよりも、「コツコツやれるメンタリティを保ち続ける」ことのほうが、よっぽど重要なのです。

ここで、電話営業をポジティブに捉え直すために、私が電話営業の際に大事にしていた心構えを紹介します。

「お客様に価値ある提案をしようと思っているのに、興味を持っていただけないのはもったいない」

皆さんが電話でアポを取ってお客様にしたいことは、「お客様にとって利益があるご提案」のはずですよね? そもそも、お得な情報を伝えたいと思って電話をかけているのです。その電話に対して聞く耳を持たない企業は、非常にもったいないことをしていると思いませんか?

私は、電話営業でお断りや拒絶をされてしまった際には、その企業に“お客様自らチャンスを見過ごすなんてもったいない”と思いながら次の企業へ電話をかけていました。

営業の本質は「お客様が事業・ビジネスを進める一歩目をつくる仕事」です。

この心構えでいると、電話営業に対する苦手意識も変わり、コツコツやることで必ず結果がついてくるでしょう。

電話営業の目的を混同させない

電話営業といっても、その目的は大きく3つに大別されます。

それは、「テレアポ」「製品・サービスのPR(紹介)」「お客様へのヒアリング」です。

皆さんは何を目的として電話をしているのか、認識した上で電話をかけているでしょうか? それによって、成功率は大きく変わります。うまくいかなかった、あるいは電話の際にぎくしゃくした時を思い出してみてください。

「テレアポ」「製品・サービスのPR(紹介)」「お客様へのヒアリング」─この3つがぐちゃぐちゃになっていませんでしたか? テレアポは、「自社の製品・サービスが、お客様にとっても価値のある」ことが見込める企業をターゲットとして行います。

一方で、事前情報が少なく、いきなりアポイントが取れても実際にニーズがあるのか予測しづらい企業もあります。そういった企業に対しては、「製品・サービスのPR(紹介)」を目的として電話をし、ニーズがあるかどうかのスクリーニングをします。

さらに情報が少ない企業に対しては、情報をいただいてスクリーニングするために「ヒアリング」を行います。「ヒアリング」を通じてお客様の課題や計画をお聞きし、自社製品・サービスがお客様にとって価値を感じていただけたら、アポイントの打診をします。

基本的に営業電話は、「忙しいのに何の用なのか?」と相手にストレスを与えることが多いものです。

目的を明確にし、それに沿って電話営業をすることをぜひ心がけてください。

シン・営業力
天野眞也(あまの・しんや)
株式会社FAプロダクツ 代表取締役会長。1992年、キーエンスに新卒1期生として入社。工場の自動化に関わるセンサーやカメラの提案に従事し、入社1年目で同期の中で営業ランキング1位、入社2年目以降もランキング上位の実績をあげる。グループ責任者、営業所長を経て社長直轄の海外営業・重点顧客プロジェクトの初代リーダーに抜擢される。売上数百億円から2,000億円の企業へと成長するまでの期間、営業として第一線でけん引する。キーエンスで築き上げた自動車・食品・半導体などのあらゆる業界の生産現場を見てきた経験と、顧客と共に海外を含む新工場プロジェクトを成功に導いてきた実績を基に、2010年に起業。東証一部上場企業など、メーカー数十社の営業・販売支援/コンサルティングを担った。現在はFAプロダクツほか複数社の代表を兼任し、製造業のDXから生産ラインの開発・実装までを包括的に支援する

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