2014年からスタートしたNISA制度は、2024年に大きく制度変更されることが決まっています。新NISAにはつみたてNISAの要素も加わることから、「新NISAとつみたてNISAはどっちがいいんだろう」と悩んでいる方も多いかもしれません。

今回は、新NISAの変更点やつみたてNISAとの違いについて解説します。ぜひ新制度を活用する際の参考にして下さい。

ZUU online編集部
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新NISAの特徴

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つみたてNISAと新NISAならどっちがお得?両者の違いを徹底解説
(画像=Song_about_summer/stock.adobe.com)

新NISAの制度変更は2024年からですが、現行の一般NISAとは大きく異なった仕組みへと変更されるため、今のうちからしっかりと制度を理解しておきましょう。

一般NISAが新しくなる

まず、2024年以降に大きく制度が変更されるのは「一般NISA」です。現行のNISA制度は、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類がありますが、このうち「一般NISA」の仕組みがガラリと一新することになっています。

「つみたてNISA」については、2024年以降、非課税期間が延長される以外に大きな変更点はありません。そのため、一般的に「新NISA」と呼ばれているのは、2024年以降の一般NISAを指しています。

なお、つみたてNISAの非課税期間延長については、本記事内にて詳細を後述しています。

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2階建ての制度とは

新NISAの大きな変更点は、「2階建ての制度」になることです。

現行の一般NISAは、「年120万円の投資額に対する運用益を最長5年間非課税にする」という制度で、非課税となる金融商品は国内上場株式、海外株式、ETF、投資信託、REITなどが挙げられます。

それが新NISAでは、以下のように変更されます。

・1階部分は毎年20万円、2階部分は毎年102万円が非課税枠になる
・1階部分は積立による利用に限定
・1階部分を利用しなければ、2階部分は利用できない
・1階部分の対象商品は、金融庁の基準をクリアした投資信託とETFのみ

これまでの一般NISAは一括投資のみでも利用できましたが、新NISAでは1階部分の積立の利用が必須となりました。1階部分の対象商品は金融庁の基準をクリアした投資信託とETFのみとなっているため、1階部分につみたてNISAが入ったと考えると分かりやすいかもしれません。

ただし、過去にNISA口座にて運用経験があり、2階部分で上場株式のみに投資をする方は、1階部分を利用せずに2階部分が利用できることとなっています。

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つみたてNISAの特徴

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次に、つみたてNISAの特徴を確認していきましょう。NISA制度では1人1口座となっているため、「新NISA」と「つみたてNISA」の違いをよく理解して口座を選択する必要があります。

つみたてNISAの20年間非課税

つみたてNISAは、2018年1月より制度がスタートしました。つみたてNISAの大きな特徴は、「投資方法は積立のみ」と購入方法が限定されている点です。

つみたてNISAの非課税期間は最長20年間で、年40万円の非課税枠が用意されています。また、つみたてNISAは対象の金融商品についても、「金融庁の基準をクリアした投資信託とETF」に限定されています。

「金融庁の基準」には、「投資コストが低水準」「分配金が頻繁に支払われない」といったものが設けられており、長期投資に適している商品が選定されていることが特徴です。2022年5月現在では、213本の商品がつみたてNISAの対象となっており、投資家は豊富な選択肢の中から購入する商品を選べます。

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制度変更に伴い5年間延長に

つみたてNISAは制度変更に伴い、2042年まで投資が可能となりました。つみたてNISAの非課税期間は最長20年間であるため、2023年までに口座開設を行えば最大800万円の非課税枠を利用できます。もちろん、2024年以降も口座開設を行うことは可能です。

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新NISAとつみたてNISAの違いとは?

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新NISAは、現行の一般NISAにつみたてNISAが加わったものと考えると分かりやすいでしょう。新NISAは1階と2階に分けられており、1階部分で積立投資を行わなければ2階部分を利用できない仕組みとなっています。2階部分については、現行の一般NISAと同様に国内株式やREITなども非課税対象となっており、一括で投資することも可能です。非課税期間は最長5年間で、この点も現行の一般NISAと変更はありません。

一方、つみたてNISAは投資方法が積立に限定されており、対象商品も金融庁の基準をクリアした投資信託とETFに限定されています。非課税金額は40万円、最長20年間非課税となるため、少額投資や長期投資に向いている口座です。

つみたてNISAと新NISAならどっちがおすすめ?

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(画像=pattern4)

つみたてNISAと新NISAにはそれぞれメリットがありますが、NISA口座は1人1口座となっているため、2つを同時に利用することはできません。それぞれの特徴を理解して、自分に合った口座を選ぶことが大切です。

つみたてNISAと新NISAに向いている方の特徴について、以下で詳しく解説していきます。

初心者や若い方におすすめなのはつみたてNISA

「初めて投資を始める」という方や「将来に向けて長期投資を行いたい」という方におすすめなのがつみたてNISAです。

つみたてNISAは最長20年間非課税で保有できるため、長期投資に向いている制度となっています。また、対象商品も金融庁の基準をクリアした商品に限定されているため、「どの商品を選んだらいいか分からない」という初心者の方でも銘柄を選定しやすいでしょう。

さらに、つみたてNISAは積立による投資に特化した口座であるため、投資のタイミングに悩む必要がありません。積立投資は毎月や毎週など、あらかじめ設定した周期に合わせて自動で投資が行われる仕組みです。利用者は投資に手間がかからないことに加えて、投資のタイミングを自分で判断しなくてよいメリットがあります。購入のタイミングも分散されるためリスク分散の手法にもなり、長期投資や初心者に向いている制度です。

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株式投資をしたい方は新NISA

株式投資をしたい方には、新NISAがおすすめです。

新NISAの対象となる金融商品は、国内上場株式、海外株式、REIT、投資信託、ETFなどが挙げられます。つみたてNISAは、金融庁の基準をクリアした投資信託とETFに限られているため、株式投資は行えません。したがって、株式投資を検討している場合は、必ず新NISAを選ぶ必要があるのです。

コロナ禍以降では日本国内でも米国株や米国ETFに興味を持つ方が増えました。米国は世界を代表する経済大国であるため、その成長力は投資対象としても魅力的です。ただし、つみたてNISAでは、個別の米国株式は対象外となっているため、米国株への投資を検討している方は新NISAを選択しましょう。

また、「ある程度まとまった資金で投資を行いたい」と考えている方も新NISAが向いています。新NISAでは、1階と2階部分の合計の非課税金額は122万円となり、つみたてNISAの40万円に比べて非課税枠が大きいことが分かります。

「マーケットの状況を見ながら、下がったら一括投資をしたい」「より大きな非課税枠を利用したい」と考えている方は新NISAがおすすめです。

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新NISAを利用した後につみたてNISAへ変更する方法もアリ

「非課税期間や非課税枠を最大限利用したい」という方は、途中で非課税口座を変更することを検討しましょう。NISA口座は1人1口座となっていますが、年ごとに口座を変更することが可能です。つまり「今年は新NISA、来年はつみたてNISA」というように、年によって口座を変えられるということです。

この仕組みをうまく利用すると、非課税期間や非課税枠を最大限活用できるようになります。分かりやすく具体例で考えてみましょう。

①2024年から2028年まで新NISAを利用する
新制度が始まる2024年から5年間は新NISAを利用します。新NISAは毎年122万円の非課税枠があるため、5年間で610万円の非課税枠が利用できます。

②2029年から2042年までつみたてNISAを利用する
2029年に口座種別を変更し、つみたてNISAを利用したとしましょう。つみたてNISAは2042年まで投資可能となっているため、年40万円×14年間=560万円の非課税枠が利用できます。

③非課税枠は合計1,170万円
新NISAとつみたてNISAの非課税枠は合計1,170万円となります。もし、2024年から2042年までつみたてNISAだけを利用した場合の非課税枠は、年40万円×19年間=760万円となるため、途中でNISAを切り替えた方が410万円も非課税枠を多く利用できる計算となるのです。

もちろん上記の例では、途中でNISA口座を変更する手続きも発生するため、面倒だなと感じる方もいるかもしれません。しかし、ここで大切なのは「年に合わせてNISAを変更できる」という点です。

「NISA口座は一度選んだら、ずっと同じ口座しか使えない」というわけではないため、マーケット環境や自分の収支状況に合わせて柔軟に変更する選択肢を持っておきましょう。

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新NISAが始まるまで一般NISAはどうなる?

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2024年から新NISAが始まることが決まっていますが、それまで一般NISAは利用できるのでしょうか。新NISAへ移行するまでの間やロールオーバーの手続きについて、以下で詳しく確認していきましょう。

一般NISAは2023年まで利用可能

現行の一般NISAは、2023年まで利用可能となっています。

これまで同様に、年120万円までの投資に対して最長5年間非課税となります。一般NISAの対象商品は、国内上場株式や海外株式、ETF、投資信託、REITなどで、この点も変わりはありません。

つまり、2023年までは今まで通り一般NISAを利用できるということです。

2024年から新NISAへ移行するときの手続きについては、各証券会社のHPではまだ確認できませんでした。(2022年5月時点)

新NISAでは1階部分の積立が利用必須となっていることから、何らかの手続きが発生することが想定されます。詳細は利用している証券会社から案内が届きますので、必ずチェックするようにしましょう。

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一般NISAで保有している金融商品も新NISAへロールオーバーできる

一般NISAで保有している金融商品は、新NISAへロールオーバーすることが可能です。ロールオーバーとは非課税期間が終了する金融商品を、翌年の非課税枠を利用して非課税期間の延長を行うことを指します。

一般NISAで保有している金融商品の非課税期間が終了する場合、新NISAの2階部分を利用してロールオーバーを行います。しかし、新NISAへのロールオーバーはいくつかの点に注意が必要です。それぞれ詳しく確認していきましょう。

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ロールオーバーの金額には上限がない

一般NISAから新NISAへロールオーバーする際、非課税枠の上限はありません。

たとえば、2019年に一般NISAで投資した120万円が、非課税枠が終了する2023年末に150万円まで含み益が出ていたとしましょう。2024年の新NISAの枠は122万円ですが、その枠を超えて150万円すべてを非課税でロールオーバーできます。

ただし、2024年の非課税枠はすべてロールオーバーで利用することとなるため、1階と2階のどちらも新規投資ができなくなる点には注意しましょう。

新NISAへロールオーバーできない金融商品がある

一般NISAから新NISAへロールオーバーを行う際、以下の金融商品はロールオーバーの対象外となります。

・監理銘柄および整理銘柄に指定されているもの
・ヘッジ目的等以外でデリバティブ取引による運用を行っているもの

上記に該当する金融商品は新NISAへロールオーバーができないため、非課税期間が終了した後は課税口座へ移管するか売却を行うことになります。あらかじめ注意しておきましょう。

まとめ

本記事では、2024年以降の新NISA制度について解説してきました。新NISAは、現行の一般NISAから大きく制度が変更されるため、今のうちからしっかりと変更点を確認しておきましょう。

また、制度変更に伴い、つみたてNISAについても非課税期間の延長が決まっています。つみたてNISAは最長20年間が非課税となっており、長期投資に適している制度です。

新NISAとつみたてNISAにはそれぞれメリットがあるため、自分の投資意向や収支状況に合わせて上手に制度を活用しましょう。