本記事は、木村拓也氏の著書『「会社員」のためのお金の増やし方90』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています
節税について考える 不動産は他の投資よりも格段に有利!
会社員の方々は、税金や保険などが天引きされた後のお給料を貰っているので、節税に関してはあまり意識がいかないと思います。しかし、もし不動産投資などでお金を増やしたい場合、節税についてもっと敏感になったほうがいいでしょう。
一つは相続税。条件によって異なりますが、相続税がかかるのは3,600万円以上です。3,600万円以上のキャッシュがある場合、生前贈与を検討します。1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら、贈与税はかかりません。10年で1,100万円になるのですから、かなり大きな額ですよね。
私の場合、毎年一定額を子どもに渡しています。子ども名義のファンドを開設して、その後に運用させるようにしています。子どもは20代前半ですから、合計1,000万円渡しても10年後には2,000万円になっていますね。これなら、起業したり経済的に困ったりしても、十分に対応することができるでしょう。心配なのは、このお金を頼りにして働くモチベーションが下がってしまうことですが……。願わくば、贅沢に使うのではなく、孫の世代に遺していってほしいなと思っています。
ちなみに、相続において不動産は優遇されます。なぜなら、固定資産税評価額や相続税評価額という基準があり、資産として計算したときに70%〜80%ぐらいになるからです。そのため、かかる税金が減るのです。
子どもや孫に「備え」を残すことを考える
不動産投資をしていると節税をすることができます。確定申告の際、実際のキャッシュフローではプラスだけれど、減価償却や経費などを入れると帳簿上マイナスということが多い。すると、年収700万円の人が不動産投資で300万円マイナスならば、年収400万円になるのです。
不動産投資に関わる経費というのは幅広くて、勉強するためのスクール代や本などの資料代はもちろんのこと、物件調査のために買った車の代金やガソリン代、高速代なども入れることができます。物件を探すための新幹線代や、調査などに使うためのパソコン代もです。不動産業者との会食など交際費まで計上できます。
これは、株やFXなど他の投資とはまったく違う性質なのではないでしょうか。いかに不動産が特別扱いなのか、不動産投資が節税に効果的かをおわかりいただけたかと思います。
まだ節税についてあまり縁がないという人も、これから少しずつ投資を始めたら、それを子どもや孫の世代に引き継ぐにはどうするかという視点を持ってほしいと思います。
相続税というのはゼロにはできませんが、苦労して稼いだ分を無駄にはしたくないもの。子どもや孫に何かあったときの備えを残しておきたいと考えるならば、少しでも効果的な方法で投資をすべきではないでしょうか。
詐欺に騙されない 「自分は絶対引っかからない」という人ほど注意
投資の話と切っても切れないのが詐欺です。
「自分は絶対引っかからないぞ」と思っている人ほど危ないと思ってください。意外かもしれませんが、高学歴の方や真面目なサラリーマンほど騙されやすいのです。私は不動産投資を始めて10年以上になりますが、悲惨な目に遭った人をたくさん見てきました。
チェックポイント(1)は、高配当を売りにしていたり、元本保証を謳っていたりするものです。**特に投資において元本を保証するというのは100%詐欺だと思ってください。
チェックポイント(2)は、先輩や上司から「絶対やったほうがいいよ」と勧められる案件です。権威に弱い人というのは、偉い人から強く言われると判断能力が低下してしまうもの。誰かに勧められるほど、冷静に分析するようにしてください。チェックポイント(3)は、紹介で稼ぐシステムかどうかです。
『ポンジ・スキーム』といって、まず「出資を募り、運用益を配当金として支払う」と言って資金を集めます。しかし実際の運用はなく、新しい出資者からの出資金を配当金として支払いながら、破綻することを前提にお金を騙し取るという手です。ネットワークビジネスも似たようなものですよね。
本来の事業や運用でお金が回るのではなく、紹介を前提に報酬が支払われる仕組みは、投資でよくある詐欺です。気をつけるようにしてください。
怪しい話は信頼できる周囲の人と相談する
チェックポイント(4)は、仮想通貨やクラウドファンディングなど、話題になっているテーマを絡ませていないかです。儲け話に敏感な人ほど、こういうトレンドのワードが入ってくると判断力が低下します。詐欺師は意図的にこういうワードを埋め込んでくるのです。
チェックポイント(5)は、「あと残り○名です」「残り○日です」という“限定感”を出しているものです。大きなお金が動くのに、急いで申し込んで得するものはありません。
一つでも当てはまるならば、立ち止まって冷静に確認するようにしてください。
私はファンドをやっていますが、海外のファンドには直接手を出さないようにしています。買うにしても、日本の大手証券会社を経由しています。聞いたこともないような証券会社や、個人を経由して購入して失敗する人をたくさん見てきました。
投資に成功すればするほど、詐欺師は寄ってきます。なぜならお金を持っているから。私のところにもたくさん来ますよ。私は基本的に騙されたことはないのですが、それでも失敗したなという経験はあります。「自分は大丈夫だ」などと過信せず、怪しいなと思ったら周囲と相談するようにしてください。
景気の悪化からお金を守る 優等生はやっぱり不動産!
景気の変動からお金を守ることも考える必要があります。
大前提として、景気がどのように変動したとしても、この本で紹介してきた【資産三分法】で資産を分割しておけば、リスクを分散させることができます。
資産をキャッシュ、不動産、金融商品と三つに分けておけば、景気変動から守ることができるのです。なかでも不動産は景気の変動を受けにくい安定資産ということができます。コロナ禍においても、不動産の物件価格はほぼ横ばいで推移しており、大きな下落は見られません。それどころか、東京や大阪、福岡などの都市部では上昇しています。
そもそも、景気動向と不動産価格の動きというのは連動するとは限らないです。景気が落ち込み国民の収入に影響を及ぼしたとしても、不動産需要が減少して不動産価格が下落するまで時間がかかるからです。
日本では、金融緩和による低金利状態が2013年から続いており、今後もそれが続くと予想されます。低金利ということは、銀行からの融資が受けやすいということ。自己資金が少なくとも購入資金を調達しやすいので、むしろ今は不動産投資を考える人にとって追い風が吹いているということもできます。
不動産のなかでも賃貸物件、賃貸アパートというのは、景気のいい悪いにかかわらず、常に需要があるものです。また、どんな経済状況であっても、常に需要があるような物件を購入しておけば、景気の変動は受けづらいものです。
不動産は非常に手堅い投資案件なのです。
世界株式のファンドだとリスクヘッジができる一方で、ファンドに投資しています。海外のファンドですが、全世界株式のファンドで、日本、先進国、新興国など全世界の株式に分散投資しています。こうすれば、たとえばアメリカの経済が何らかの理由でドーンと落ちても、他の国が支えてくれます。これはあまり知られていないかもしれませんが、重要なことです。
なお、ファンドにはアクティブファンドとインデックスファンドの二種類があります。私が投資を行なっているアクティブファンドは、ファンドマネージャーが銘柄を決定しているもので、リターンが大きいもの。インデックスファンドは、今すでに見えている市場価値に連動させる“受け身”の運用手法。ファンドマネージャーの腕によってパフォーマンスが左右されないものですが、リターンはそれほど大きくありません。どちらを取るかはその人の考え方次第です。
なおキャッシュエンジンとして、物販という柱を持っておくと、景気が悪くなったときも収入を支えてくれます。本業でボーナスがカットされてしまったとしても、メルカリなどで転売するノウハウを持っておけば、家計を安定させることができるのです。こういう意味でも、物販は手堅い手法と言えますね。
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