脳内音読「追唱」のスピードが上がり、理解度も増す

もう少し、速聴と速読の関係について解説しましょう。

私たちは文字を読んだり、音声を聞いたりすると、打てば響くように一瞬でそれが何かを理解しているように感じるかもしれませんが、少し違います。頭の中で理解できるようになるまで、次のようなステップを踏みます。

ステップ1:文字を見ると、目を通して、その形が脳の視覚野で認識される。音声を聴くと、耳を通して、その音が脳の聴覚野で認識される。

ステップ2:目や耳から入った視覚情報や聴覚情報が、ウェルニッケ中枢(感覚性言語野)に伝えられる。

ステップ3:その情報が脳内で「音読」される。

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(画像=『潜在能力が開花する速聴インプット術』より)

この無意識のうちに行われている脳内の「音読」は「追唱」ともいい、この追唱の時間が長い人は本を読むのが遅く、短い人は速いということになります。

一文字や一言であれば、一瞬で理解しているように感じるかもしれませんが、文章や会話となると、このプロセスは情報量と情報処理能力に比例します。

介護施設では、介護士さんが後期高齢者の方に対して、非常にゆっくりに、やさしい言葉と大きな声で、話しかけています。これは耳が遠くなったことだけが原因ではありません。

加齢によって高齢者は、会話そのものに困難が生じやすくなるのです。

その理由は2つあるといわれており、1つが会話における「聞く」「話す」の二重性と、その切り替えのために生じる脳への負担。そして、2つめが追唱のスピードの遅さです。

では、高齢者の方も追唱のスピードを上げれば、会話がスムーズになるのでしょうか。

追唱のスピードを上げるために、高齢者の方に音声を聴かせて、それを声に出して追唱してもらうトレーニングをしたところ、会話における勘違いなどのミスが減ったという報告があります。つまり、追唱をスムーズに行うことが、情報の理解度の深さに直結するようです。

先にも記した眼球を速く動かして文章を読む速読術ですが、頭の中の情報処理能力が追いつかなければ、目が文章を追っているだけで内容を理解できず、頭の中に何も残りません。

したがって追唱のスピードを上げることが速読のカギになるわけですが、速聴の速い音声に慣れることで追唱時間もそれに慣れ、情報処理能力は格段に上がるのです。

潜在能力が開花する速聴インプット術
井上裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長。歯学博士、経営学博士。1963年、北海道生まれ。東京歯科大学大学院修了後、世界レベルの技術を学ぶためニューヨーク大学、ペンシルベニア大学、イエテボリ大学で研鑽を積み、医療法人社団いのうえ歯科医院を開業。自身の医院で理事長を務めながら、東京医科歯科大学、東京歯科大学非常勤講師、インディアナ大学客員講師など国内外の7つの大学で役職を兼任している。その技術は国内外から評価され、特に最新医療・スピード治療の技術はメディア(情報番組「未来世紀ジパング」)に取り上げられ、注目を集めている。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト(潜在意識の権威)公認グランドマスター。本業の傍ら、世界的な能力開発プログラム、経営プログラムを学んだ末に、独自の成功哲学「ライフコンパス」をつくり上げ、「価値ある生き方」を伝える著者として全国各地で講演を行なっている。著書累計は130万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)は、テレビ(「奇跡体験! アンビリバボー」)で紹介され、大きな反響を呼ぶ。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『なぜかすべてうまくいく1%の人だけが実行している45の習慣』(PHP研究所)など著書多数。

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