信用取引は、株式投資にレバレッジをかけられるだけでなく、リスクヘッジや株主優待の権利取りなどにも使える取引手法だ。ただその分リスクも高いこと、手数料以外のコストもかかること事を意識して使いこなす必要がある。そうすれば信用取引は戦略的なツールになる。

信用取引,手数料 (写真=PIXTA)

信用取引のかんたんな仕組み

信用取引とは、株の売買において、証券会社からお金を借りて株を買うか、株券を借りて株を売る取引だ。信用を供与してもらうかわりに、担保として現金か株券(代用有価証券は通常時価の80%評価)を証券会社に委託保証金として差し入れる。

制度信用という対象銘柄(貸借銘柄)や期間、金利などを証券取引所のルールにしたがって取引するものと、証券会社と投資家との相対取引で、銘柄に制限がなく、期間なども自由な一般信用があるが、ここでは制度信用で説明しよう。

通常、銘柄の委託保証金率は売買代金の30%。したがって、現物取引をするのに比べて約3倍のレバレッジをかけて売買が出来る。レバレッジは損失の時にも効いてくるので注意が必要だが、うまく取引することで効率的な運用が可能だ。

また、現物取引は「買い」からしか入れないが、信用取引は株券を借りることで「売り」から入ることができる。したがって、下げ相場でも利益を出すことが可能となる。

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信用取引の具体例

具体的に説明しよう。判りやすくするためにここでは、手数料や税金等のコストは考慮しない。1000円の株を1000株買う場合、現物取引では100万円が必要だ。信用取引ならば、100万円の30%である30万円もしくはそれ相当の代用有価証券が預けてあれば買える。したがって100万円の資金があれば300株買えることになる。

1000円の株が1100円になったときに売ると、現物取引では10万円の利益となるが、信用取引では3倍買えるので30万円の利益となる。これがレバレッジだ。多くの証券会社では委託保証料は最低30万円以上、保証金率は30%以上としている。

売りの場合も考え方は一緒だ。現物取引では、所有株しか売れないが信用取引では、貸借銘柄については株券を借りて売る事が出来る。これを空売りとも言う。

1000円の株を1000株売ると売買代金が100万円。30万円の現金かそれ相当の代用有価証券があれば、持っていない株でも空売り出来る。1000円の株が900円に下がったときに1000株を買い戻せば10万円の利益となる。レバレッジをかけて、3000株空売りしていれば30万円の利益だ。

信用取引の注意したいリスク

信用取引には、6ヶ月以内に清算するというルールがある。現物取引では、保有株が下がった場合、上がるまで持っていれば実現損は発生しない。信用取引では、6ヶ月以内の反対売買をしなくてはならない。

評価損を抱えて期日が来た場合、買い建ての場合は売って損失を確定するか、「現引き」といって株の残りの代金を支払って現物株として引き取ることになる。売り建ての場合は、反対売買で買い戻すか、現物株を渡す「現渡し」で信用取引を清算することになる。

さらに、最も気をつけなくてはならないのは、「追い証」だ。買い建てもしくは売り建てしている信用取引の株が下がったり、代用有価証券の時価が下がったりして「最低保証金維持率」を下回った場合、「追い証」といわれる追加の委託保証金を証券会社に追加入金することが必要になる。

「最低保証金維持率」とは、信用取引をしている金額に対して、最低でも維持しなければならないという保証金の割合だ。ネット証券の場合だいたい20%。最初の例で言うと、1000円の株を1000株買った場合、100万円の売買代金に対し30万円の委託保証金が必要になる。これが20%である20万円を割ったときに追い証が必要になる。

1000円で買い建てた株が900円を下回ると評価損は10万円を超えるため、委託保証金は20万円を割り込むため追い証が入ることになる。ネット証券の場合メールで連絡が来て、翌々日の15時半までに追加入金するか、ポジションを損切りする必要がでてくるわけだ。ネット証券ではリアルタイムで保証金維持率を見ることができるのだが、自分の信用取引口座状況を常に把握しておくことは必須だ。

信用取引はどのような使い方があるのか?

信用取引はレバレッジを掛けてハイリターンを狙うこと以外にも現物のリスクヘッジ、株主優待取りのクロス取引などに戦略的に使われている。

信用取引を使ったヘッジでは、保有している個別銘柄のヘッジ、ポジション全体のヘッジ、ヘッジファンドがよく使う戦略であるロングショートといった戦略が一般的。

保有銘柄で、持ち続けたい銘柄であるにもかかわらず悪い材料が出た場合など、現物を保有したまま信用の売り建てを行うのが個別銘柄のヘッジだ。つなぎ売りとも言う。目先下がった場合、空売り分だけ買い戻してもいいし、もし思惑と違い上がってしまった場合、持っている現物株を渡す「現渡し」で対応することができるからだ。

ポジション全体のヘッジにも使える。ある程度複数の銘柄でポートフォリオを持っている場合、日経平均先物や日経インバースなどのETFでヘッジすることも可能だが、信用取引もヘッジとして有効だ。たとえば持っている銘柄のポートフォリオがマザーズなど新興市場ばかりの場合、日経の先物やETFではヘッジは効かない事が多い。

その場合、新興市場のロングを持ったままで、自分のポジションと連動性の高い銘柄で流動性が高い銘柄を空売りすることである程度はヘッジが可能だ。実際に必ず効果があるとは限らず、あくまで参考例だが、マザーズ銘柄中心のポートフォリオをヘッジする場合は、流動性のある指標銘柄であるミクシィを売り建てすると行った具合だ。

ヘッジファンドが行っているロングショートの戦略も可能だ。リスクを限定的にして利益を狙う手法だ。基本的には同セクター間など連動性の高い銘柄で割安銘柄を買い建て、割高銘柄を売り建てにする。

たとえば、住友商事が資源関連の減損の発表で大きく売られたときに、住友商事を買い、三菱商事を売ると行った取引だ。長い目でみれば同業の株価は収斂してくることが多い、両社の乖離が通常に戻れば、限定的なリスクで利益を確定することが可能だとの考え方だ。

優待取りのクロス取引も幅広く行われている手法だ。魅力的な株主優待を提供している会社の権利付き確定日前に現物株の買いと信用の売り建てを同時に行う。売りと買いのスプレッドがあるため同じ値段で出来るのかといった問題や、手数料などのコストもあるため一概には言えないが、うまく両建てができれば、値動きリスクを限定的にしながら株主優待の権利をとることが可能だ。

信用取引の「見えない手数料」とは?

今までは手数料を考慮しないで話してきたが、実際のコストを見てみよう。信用取引の手数料は、通常、現物取引より安く設定されている。ネット系証券では、信用取引の片道手数料無料といったサービスや定額制といったさまざまな手数料コースを用意しているので、自分の取引の頻度に基づいて、各証券会社で確かめてみよう。

さらに、売買手数料以外にその他の手数料がかかることにも留意したい。買建ての場合は信用取引金利、売建ての場合は株のレンタル料である信用取引貸株料などがその代表。例えば、買い建ての場合で現在年率2.85%程度の金利がかかる。売り建ての場合は1.1%程度の貸株料がかかっている。事務手数料、決算期越えの場合の名義書換料などもかかる。

もっとも気をつけなくてはならないのは「逆日歩」だ。信用取引では、通常、信用取引金利を買い方が売り方に払っているが、株が急騰して空売りが急増して株不足になると、逆日歩といって売り方が金利を払う状況になることがある。

これは1日ごとに高い金利がつくので、予想外の高いコストがかかる。逆日歩がつくと売り方は買い戻さずを得なくなり、いわゆる踏まれた状態となることも多い。空売りの時は、貸借状況を必ずチェックすることが必要だ。

信用取引というと、知識さえあればいかにも儲かりそうなイメージが多いが、リスクも高いことと、手数料以外にもみえないコストがかかることにも注意してはじめることが大切だろう。(ZUU online 編集部)

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