(写真=Thinkstock/Getty Images)
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ETF(上場投資信託)を活用した「自分ポートフォリオ」づくり。今回は、経済的に比較的余裕のある40代の企業経営者の資産運用を考える。想定相談者は、二代目経営者で家族構成は妻と子供が2人、年収3000万円、先代から引き継いだ金融資産は数億円規模である。子供の教育・結婚資金にはほぼ目途が立ち、投資の主な目的は引退後に備えた資産形成である。

「攻め」と「守り」の運用を明確に区別する

経済的に余裕があるといっても元本は確保したい、しかしそれなりのリターンも求めたいという投資スタンスで臨むなら「コア・サテライト戦略」がお勧めだ。これはポートフォリオをコア(核)とサテライト(衛星)に分け、コアは日本や先進国の株式、債券に広く分散して守り重視の運用をする。

サテライトは攻めの運用として、日本を含む先進国の個別株や新興国株、為替、コモディティなど比較的高いリターンが期待できるリスク資産に投資する。このように「攻め」と「守り」の運用を明確に区別するのが、コア・サテライト戦略の特徴だ。

「コア・サテライト戦略」のガイドライン

手順は以下の通りだ。まず、コアとサテライトの2つのポートフォリオを別々に作る。基本的に環境の急激な変化がない限り、コアにはあまり手を加えない。一方、サテライトではその時々の経済・市場動向に応じてリスク資産を選別する。リスク許容度、つまりどれだけ値下がりに耐えられるかはサテライトの比率を増減して調整する。コア・サテライト戦略の利点は、一旦作ってしまえば、その後は効率的な運用が可能となることだ。

上記のガイドラインに沿って運用するので、コアのリスク・リターン特性はほぼ変わらない。余分な売買をしないためコストも低く抑えることができる。ポートフォリオ全体のリスクとリターンのコントロールはサテライト部分のみで実行するのがポイントだ。

コアはベーシックな資産で構成

それでは実際にコアとサテライトのポートフォリオを組んでみよう。まず、コアは先進国市場の株式や債券などベーシックな資産だけで構成する。以下はその一例だ。

(1)日本株 30% TOPIX連動型上場投資信託 <1306>
(2)米国株 20% (NEXT FUNDS)NASDAQ-100(R)連動型上場投信 <1545>
(3)米国債 50% iS米国債ETF(BARC 米10年国債) <1363>

(1)日本株を代表するインデックスに連動するETF。日本株で長期分散効果を狙うならお勧めの一つだ。デーマを絞って運用する場合は、「(NEXT FUNDS)野村日本株高配当70連動型ETF <1577> 」などで成熟企業の高配当を狙う手もある。

(2)米国企業の強さはナスダック市場の新陳代謝のダイナミズムに支えられているといっても過言ではない。だたし、もっと分散化を図りたいなら「上場インデックスファンド米国株式(S&P500) <1547> 」がある。

(3)米国の長期債に連動するETF。本来なら国内債券ETFを組み入れるところだが、現在は上場されていないのでこれで代替する。このETFは為替リスクがあるものの約2%の利回りが期待できる。

サテライトはリスク資産で高リターンを追求

サテライトは運用業界でいうオルタナティブ(代替)資産で構成する。具体的には新興市場の株式や債券、不動産、コモディティなどのリスク資産である。

(1)新興国株   30% i シェアーズエマ株ETF(MSCI エマIMI) <1582>
(2)国内不動産  30% (NEXT FUNDS)東証REIT指数連動型上場投信 <1343>
(3)コモディティ 40% WTI原油価格連動型上場投信 <1671>

(1)新興国株式のETF。中華圏を中心に価格変動の比較的小さい銘柄を組み込んでいる。もし、中国経済が反転する兆しを見せるような場面があれば、中国本土の株式に分散投資する「上海株式指数・上証50連動型上場投資信託 <1309> 」などへの乗り換えも検討したい。

(2)日本の不動産上場投信(J-REIT)指数に連動するETF。価格変動はあるが、ビルや商業用不動産の家賃が主な収入源のため、基本的には安定した収益を確保できるはずだ。

(3)原油価格はこのところ歴史的安値にある。しかし最大輸入国である中国が減速したとはいえ、インドなど他の人口大国でも比較的高い経済成長が続きそうだから原油需要はやはり中長期的に増えるはずだ。この先1〜2年で大きな価格回復はないかもしれないが、数十年先を見据えた長期投資ならではの銘柄選択である。

ライフプラン・ファンドという考え方

自分のリスク許容度に応じてこの2つのポートフォリオに投資資金を振り分ける。たとえば、コアに80%、残り20%をサテライトとすれば全体に占める日本株の割合は24%、WTI原油が8%などとなる。

銘柄分散と並んで重要なのは時間分散の考え方だ。手元にまとまった資金があっても一気に投資するのでなく、3カ月など決まった期間毎に定額を投資する。価格が高いときは少なく、安いときは多く買い付けるので平均コストを抑えられる。

さらに、年齢を重ねるにつれリスク資産の割合を減らしていく。これは欧米で一般的なライフプラン・ファンドという考え方で、引退して収入が途切れる時点で債券など元本割れリスクが小さく着実な利回りが得られる資産だけになるように調整する。

市場環境の変化に機動的に対応

上記の要領で地道に運用を続けるが、市場環境が明らかに変化した場合は対応が必要だ。今回紹介した「自分ポートフォリオ」では当面の前提として、日本の低金利が続く、急激な円高はない、米国経済は堅調に推移する、中国を中心とする新興国景気は当面大きく上向かない、などを想定している。

このいずれかが大きく崩れたときは銘柄・構成の見直しが必要だ。具体的には、米国経済に腰折れの恐れがあれば、同国株の下落や円高が進む可能性が高まるから米国株と米国債の比率を下げる。原油価格がある程度上昇したら深追いせず一旦は安全資産に置き換えることも検討したい。

中国経済が反転するようであれば同国や、その恩恵を受けるアジア新興国の株式の組み入れを増やしてもいいだろう。このような銘柄の入れ替えが機動的に行えるのもETFの魅力である。(上杉光、シニア・アナリスト)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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