ETF,積立投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ETF(上場投資信託)は、銀行や証券会社が扱う一般的な投資信託が進化した投資商品である。株式のように証券取引所に上場され、取引時間中はリアルタイムに価格が変動し、自由に売買できる利便性の高さが特長だ。さらに大きなメリットとして取引・保有コストが一般の投資信託よりも大幅に安い点も挙げられる。ここでは30代の独身サラリーマンを想定し、ETFを活用したポートフォリオについて考えてみよう。

年収700万円なら毎月5万円を投資に回す

30代の長期運用は、将来の結婚や出産、子供の教育、親の介護、自身のセカンドライフなどに備えるのが一般的だろう。30代でセカンドライフを意識するのは早計と考える人もいるかもしれないが、実際問題として定年退職後は多額の備えが必要となる。公的年金制度の不透明感を考え合わせると、なるべく早い時期に運用を開始するのが賢明といえる。

まず、30代の独身サラリーマンが1年間にどれくらい貯蓄余力があるかざっと計算してみよう。たとえば、年収が700万円なら140万円程度というのが政府統計などから算出される平均的な水準だ。月額にすると12万円弱だが、不意の出費に備えた現預金や生命保険料を差し引くと、運用に回せる資金は月5万円というところだろうか。30代で月々5万円を運用に回せば、セカンドライフに備えることが十分可能である。

ETFポートフォリオで安定収益を目指す

それでは、実際にETFを活用した「自分ポートフォリオ」を考えてみよう。ここでは大きな利益を上げることよりも、元本割れを極力避けることを重視したい。そのためには、特定の対象に偏ることなく、バランスの取れた構成にしたい。銘柄や資産の数を増やせば比較的リスクの低い安定収益が期待できる分散投資を心掛けたい。

ETFは数千円から1万円台の手ごろな価格で購入できるものも多く、少額でもリスク分散の効いたポートフォリオを組むことが可能である。以下に、比較的保守的なETFポートフォリオの銘柄と構成の一例を挙げよう。

(1) 日本株式 30% TOPIX連動型上場投資信託 <1306>
(2) 米国株式 20% (NEXT FUNDS)NASDAQ-100(R)連動型上場投信 <1545>
(3) 米国債券 40% iS米国債ETF(BARC 米10年国債) <1363>
(4) 国際商品 10% WTI原油価格連動型上場投信 <1671>

TOPIX連動型上場投資信託は、東証1部に上場するすべての銘柄に分散投資するETFである。高配当狙いで「NEXT FUNDS野村日本株高配当70連動型上場投信 <1577> 」で成熟企業のETFに投資する選択肢もあるが、配当はあくまでも過去実績である点に注意したい。また、特定業種が伸びると思えばそのセクターに特化したETFに投資するのも一法であろう。

(NEXT FUNDS)NASDAQ-100(R)連動型上場投信は、米国株式の投資先として選択した。米国株といえば「上場インデックスファンド米国株式(S&P500) <1547> 」など伝統的なインデックスも候補となるが、米国企業の強さはナスダック市場の新陳代謝のダイナミズムに支えられている考え、同市場に連動するETFを選択した。

iS米国債ETF(BARC 米10年国債)は、文字通り米国の長期債に連動するETFである。本来なら国内債券を組み入れたいところであるが、日本では現在そのようなETFは上場されていない。日銀のマイナス金利政策を考え合わせると、為替リスクがあるとはいえ米国債ETFの約2%の利回りは魅力的といえよう。

長期的な観点で原油ETFを10%組み入れる

WTI原油価格連動型上場投信は、原油価格に連動するETFである。一般的に保守的なポートフォリオに価格変動の激しいコモディティーを組み入れるのはタブー視されがちであるが、あえて選択した。

ご存じの通り、原油価格はこのところの急落で、リーマン・ショック直後を下回る歴史的安値にある。これは最大輸入国である中国の景気減速や、経済制裁解除によるイランの原油輸出再開観測など、需給バランスが大幅に緩和する見通しにあるためだ。

しかし、中国経済は減速したとはいえ、当面は少なくとも5%成長を維持するのではないか。また、IMF(国際通貨基金)の報告によると人口ボーナス期にあるインドでは7%程度の伸びが続く見通しで原油需要はやはり中期的に増える可能性が高い。この先1〜2年で大きな価格回復はないかもしれないが、長期投資の観点で組み入れた。

一気に投資せず「ドルコスト平均法」で時間も分散

さて、これでETFを活用したポートフォリオは完成したが、銘柄分散と並んで重要なのが「時間分散」という考え方だ。かりに手元にまとまった資金があってもそれを一気に投資するのでなく、時間を置いて少しずつ運用資産を積み上げるのが望ましい。資産価格の変動には必ずといって良いほど行き過ぎがある。もう下がらないと思っていても、さらに有利な買いチャンスが訪れることも多い。

そこでお勧めしたいのが「ドルコスト平均法」だ。これは時間分散投資の典型的手法で1カ月、或いは3カ月など決まった期間毎に定額を投資し、価格が高いときは少なく、安いときは多く買い付けることで平均コストを抑える投資法である。

市場環境が変化したらポートフォリオを見直す

ただし、市場環境が明らかに変化した場合はそれなりの対応が必要だ。上述のポートフォリオでは、日本の低金利が続く、急激な円高はない、米国経済は堅調に推移する、中国を中心とする新興国景気は当面大きく上向かない、などを前提にしている。

これらの前提が大きく崩れたときは、ポートフォリオの見直しが必要だ。たとえば米国経済が腰折れするような状況では、米国株が下落し円高が進む可能性が高まる。そのような局面では、米国株と米国債の比率を下げるべきだろう。

また、原油価格がある程度上昇したら深追いせず一旦は安全資産に置き換えることも検討したい。さらに、中国経済が反転するようであれば同国や、その恩恵を受けるアジア新興国の株式の組み入れを考えてもいいだろう。このようなポートフォリオの入れ替えが機動的に行えるのもETFの魅力である。(シニア・アナリスト 上杉光)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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