2016年,IT
(画像=PIXTA,Thinkstock/Getty Images,プレスリリースより)

2016年も年の瀬を迎え、各種媒体で「今年を振り返る」企画が始まっている。ここでは、今年IT業界に起こったトピックを、IT戦略コンサルタントの立場から振り返ってみる。

VR・AR技術 ポケモンGO認知度が高まった

IT業界で一番の話題は、やはりユーザー数が絶対的に多い「ポケモンGO」のリリースだろう。ポケモンGOは拡張現実(AR)を活用したゲームであり、スマートフォンを使い屋外でキャラクターをゲットしていくという内容。VR(仮想現実)という言葉はかなり昔から存在するが、ARという言葉がこれほど広く認知されたのは、これが初めてだろう。

屋外で移動しながらゲームをプレーするという事で、歩きスマホが問題となり、特に車の運転中に操作して交通事故を起こした……ということが頻繁に報道され問題となった。運転中の携帯電話操作が原因の交通事故は「ポケモンGO」だけではないものの、新しい物が批判されて槍玉に挙げられるのは、いつの時代も変わらない。

ARやVRは、まずキャッチーなゲーム分野から認知されたのが現状であり、ITコンサルティングの分野ではまだまだ案件は少ない。一般的に認知された現状から、医療分野などへの別分野への活用が期待される。

今後さらに拡大が期待される FinTechとIoT

FinTech(IT技術を活用した金融サービス)とIoT(モノのインターネット)も、徐々に浸透してきた言葉である。FinTechでもっとも一般的なのは、モバイル決済技術とクラウド上の会計システムと言える。

もちろん仮想通貨技術やモバイル端末上の金融取引ツールもFinTechに含まれる。ITコンサルティングの分野では、既存のオンプレミス(ITシステムのサーバなどの社内に置くこと)から置き換えが容易になってくると、主にコスト面からクライアントに薦めやすくなってくる。

IoTはすべてのモノをインターネットにつなげるという技術だが、こちらも案件としては薦めることが可能となりつつあるものの、現状ではIoTの定義そのものが固まりつつある段階。まだ広く正しい認知が必要な段階だが、キャッチーで一般ユーザーに近い技術でもあるため、今後大きく期待できる分野と言える。

ランサムウェア被害は日本でも急増 サイバーセキュリティ

今年問題となったインターネット上の問題としては、今年初めから日本でも被害が急増したランサムウェアの問題がある。ランサムウェアはその名の通り感染するとデータを「人質」に取り、暗号化して開けなくさせる。データを復元させるためには金品が要求されるため、問題の解決に金品を支払うか、データをバックアップから復元するしかない。金品を支払ってもデータが復元できるという保証も無いため、インターネット上の脅威としてはかなり深刻である。

あわせて、個人情報の流失問題も引き続き起こっており、これらサイバーセキュリティに関するコンサルティング案件は多い状態が続いている。

またネット上での「迷惑行為」も相次ぎ、有名女性声優に対する殺害予告がネット上で行われ、海外を含む各種イベントが中止に追い込まれているという事件も起こっている。これらネット上の脅威に対応する情報リテラシーも重要だが、そもそもその行為自体を犯罪として認識せず、「面白半分」で迷惑行為を行う事を防ぐための情報リテラシー教育も必要となる段階に来ているように感じる。

ただし、それを正しく教育するためには訓練された人材が必要であり、ある種「道徳」の教育にも絡んでくるため、思想の自由という問題も含めて簡単に解決できる問題では無い。

変わらず人材不足 IT業界の「2016年問題」

一般的に2016年問題と言えば、東京オリンピックに向けた各種イベント会場の改修による閉鎖に伴い、一時的にコンサート会場などが不足する問題を指す。IT業界でも「2016年問題」はあり、マイナンバーやかんぽ生命保険、みずほ銀行などの大幅なシステム刷新により、IT系エンジニアが圧倒的に不足するという問題である。

ITコンサルティングで大きく懸念していたのはこの「2016年問題」だったが、実際に蓋を開けてみると「IT系の人材が足りない状況は毎年変わらない」という感があった。

クライアント側と開発側のミスマッチの溝は依然として埋まらず、さらにこれから本格的に東京オリンピック関連の案件が増えていくのであれば、オフショア(海外開発委託)の有効的な活用も含めて抜本的な改革が必要となるだろう。小売りや外食産業などで24時間営業を中止する企業が相次ぐ中、ITの分野でも「受ける側」と「発注する側」の意識改革は、正しい方向性で進むためには必須と言える。

柔軟に、しかし慎重に前に進もう

ITコンサルティングという立場から見ると、案件の開発開始から終了までのスパンの問題もあり、比較的近い将来に必要とされるものは見えてくるが、その立場でも次に来る技術革新の中身を当てるのは難しい。ドローンやAirbnb、Uberといった新しい技術が次々と登場する中、一律で全否定や全歓迎するのではなく、その場の状況との親和性を柔軟に、しかし慎重に吟味しながら前に進むことが重要だと感じる。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

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