red-number-4

少額投資非課税制度 、通称 NISA がいよいよ来年からスタートします。
それにあわせて、世間ではNISAの投資方法などについていろいろと話題になっています。その多くで「NISAは中長期投資が最適」と書かれているため、スイングトレードなどを得意としている人の中には「自分にはあまり恩恵がないな」とか、「これを機会に中長期投資も始めてみようか」と考えている人もいるのではないでしょうか。そんなみなさんにとってのNISA活用法をいくつか紹介してみたいと思います。


NISA(ニーサ/日本版ISA)が話題でも苦手な投資手法は避けましょう

「今までは中長期投資が苦手でスイングトレードやデイトレードをしていたけれど、資金の一部をNISAにまわして中長期投資を始めよう」と思っている方。
無理をして中長期投資にこだわる必要はありません。慣れない投資法で利益を出すのはそう簡単ではないからです。

もし、あなたがはじめて本格的に中長期投資を始めるのであれば、中長期投資を得意としている人と同じように銘柄選びができるでしょうか。
銘柄選びがうまくいったとしても、利益確定をするタイミングが問題になります。中長期投資は取引回数が少ないため、一度の取引でできるだけ大きな利益を出す必要があります。だから、短期投資では深追いしすぎないで利益確定するのが得策ですが、中長期投資では株価が多少動いた程度では手じまいしません。
短期投資で慣れている分、ポジションをとっているときのストレスは計り知れません。このストレスがあるために、得意とする短期投資の判断が鈍って、うまく稼げないなどということになってしまっては本末転倒です。

また、もし失敗した場合、NISA口座の損失は特定口座の利益と相殺することができません。特定口座で、慣れている短期投資で稼いだ利益には、特例措置がなくなった20%程度の税金がそのままのしかかってきます。NISAだからと無理をして慣れない投資をせずに、得意な投資方法でNISAを活用すればいいのです。


勝てる自信がある時だけNISA(ニーサ/日本版ISA)で投資

さて、それでは短期投資でどのようにNISAを活用すればいいのでしょうか。NISAの投資枠は年間100万円だけです。手じまい後の再投資はできません。短期投資をしている人にとって、この金額は少ないですが、なんとかこれを有効活用しましょう。

前述のとおり、NISAで損失が出た場合、特定口座の利益との損益通算はできません。つまり、利益を出してはじめて、NISAの非課税という恩恵を受けることができるのです。みなさんは今までたくさん取引をしてきていると思いますが、買うときに「これは絶対に上がる自信がある!」と普段よりも強い確信を持って投資した経験がありませんか。漠然とした確信ではなく、はっきりとした理由で自信があるときは、成功することも多かったのではないでしょうか。

こんな場合にNISA口座の出番です。そんなに強い自信が持てることはほとんどないでしょうが、それでいいのです。仮にNISAにまわせる資金が50万円なら、年に2回チャンスが来るだけで100万円になります。NISAで投資できる資金が100万円の上限まである方は、『大きく上がる』という自信があるときを選ぶのがいいでしょう。普段通りの取引をして、うまく10%の利益を手にすることができれば、2万円程度の税金が非課税になります。


定期預金のつもりで投資信託を活用

ここまでは、あくまで個別株投資に主眼を置いてNISA活用法を考えてきました。しかし、NISAは必ずしも個別株での投資にこだわらなくても構いません。J-REITやETF、投資信託も非課税対象になっています。

ここでは、100万円の上限いっぱいまで有効活用するために、J-REITやETFは投資対象から外すことにします。というのも、1口40万円のJ-REITなら2口購入すると投資枠が20万円残ってしまい、投資効率が悪くなってしまうからです。
100万円ちょうどの投資をするのであれば、1,000円単位、10,000円単位という設定が可能な投資信託が最適です。
また、1つの投資信託を購入していても、実質的には分散投資をしていることと同じになりますので、J-REITやETFと比べて暴落リスクが少なく、より確実に利益を得られる可能性があるからです。

個別株投資などと比べると利益が小さいかもしれません。しかし、個別株投資と比べて、日々の値動きに神経を使うこともありません。
いい投資信託を選ぶことができれば、5年間保有し続けることで、かなりの利益を手にすることもできるかもしれません。5年ものの定期預金に預けたつもりで、損失が出にくそうな投資信託で運用するのも選択のひとつですよ。


NISAをうまく活用して利益を最大化しよう

このように、NISAの活用方法はさまざまです。今回紹介した投資法もあくまで一例にすぎません。他にもいろいろとNISAの特長を生かした投資方法はたくさんあります。あなたが得意とする投資方法にあった活用方法があるかもしれません。来年からは、株式譲渡益にかかる税金の特例措置がなくなり、税率が20%程度に戻ります。普通口座での利益が目減りしてしまう分、NISAで非課税の恩恵を受けて利益を最大化できるようにしましょう。

>> NISAで始める賢い資産運用〜口座開設の基本を解説〜

【NISAの基礎シリーズ】

第1章 NISAとは?〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第2章 NISAの注意点〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第3章 投資初心者の方へのアドバイス〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第5章 目的別の資産運用〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜
第6章 NISA取扱金融機関の比較〜はじめてのNISA(ニーサ)/少額投資非課税制度/日本版ISA〜