「弁護士保険」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

今回は、弁護士保険の仕組みや補償内容、保険料について分かりやすく解説する。また、代表的な3社の弁護士保険を比較するので、弁護士保険への加入を検討中の人はぜひ参考にしてほしい。

弁護士保険とは

弁護士保険
(画像=PIXTA)

弁護士保険とは、弁護士に相談・依頼したときにかかる弁護士費用を補償してくれる保険だ。弁護士への依頼が必要なトラブルに巻き込まれた際に、手元に十分なお金がなく、しかるべき対応がとれないというケースも考えられる。しかし、弁護士保険に加入しておけば、いざというときも迅速に弁護士に相談できるだろう。

法務トラブルというのは、意外と身近なところにひそんでいる。

事業を経営しているのであれば、従業員が「上司からパワハラを受けた」と主張した際には、事実関係を究明し、しかるべき対処をしなければならない。商品・サービスの代金回収に苦労する経営者も多いだろう。問題のある取引先に対して、どこまで強く出ていいものか、法的な対処が可能なのか、悩むケースもある。

個人の場合であれば、子どもから突然「いじめを受けている」と告白されたとき、親としてどんな対処ができるのか。結婚相手に不貞疑惑があるとき、どのように行動し、どんな証拠を集めればいいのか。上司にパワハラを受けているとき、本当に転職以外の選択肢はないのか。弁護士に相談することで、解決の糸口が見えることも少なくない。

人生のリスクは、病気やケガだけではなく、もっと広範囲に存在している。人間関係によって生じるトラブルを解決するには、専門家である弁護士の力を借りることが望ましい。弁護士保険に加入することは、人生の重要なリスクヘッジの一つとなるだろう。

弁護士保険の選び方

生命保険や損害保険と比べて、弁護士保険にはなじみがないという人も多いだろう。続いては、弁護士保険を選ぶうえで見るべきポイントを解説する。

弁護士保険の選び方1.補償対象

弁護士保険を選ぶなら、まずは補償対象に注目したい。いざトラブルが発生したとき、補償対象外では意味がないからだ。

また、弁護士保険によって備えたいトラブルが、事業上のトラブルの場合には事業型、個人生活上のトラブルの場合には個人型に加入する必要がある。フリーランスなどの個人事業主であっても、事業上のトラブルに備えたければ事業型に加入する必要があるだろう。

事業型の弁護士保険なら、従業員トラブル(パワハラ・セクハラなど)、著作権侵害、債権回収、詐欺、クレーム、契約トラブル、不動産トラブルなどに対応しているか、よく確認しておこう。

一方、個人型の弁護士保険の場合、離婚、相続、パワハラ、近隣トラブル、労務トラブル、ネット被害、不動産トラブルなどに対応しているかチェックしておきたい。

ちなみに弁護士保険は、被害者になった場合のトラブルだけでなく、加害者になった場合のトラブルにも対応している。

弁護士保険の補償対象には、「一般事件」と「特定偶発事故」がある。「一般事件」とは、上述したような法務トラブルのことだ。「特定偶発事故」とは、不意に起きた人身傷害事故などをいう。裁判所に持ち込まれるトラブルは、「一般事件」が全体の8割以上だと言われている。

弁護士保険では、弁護士費用の種類によって、どのぐらいの金額を補償してくれるかが「補償割合」として定められている(限度額を超えた場合は、限度額が補償金額となる)。

極端に保険料が安い弁護士保険の場合、「一般事件」に対応しておらず、補償対象が「特定偶発事故」のみになっているケースがある。また、「一般事件」の限度額や補償割合が低く設定されている場合もあるので、注意が必要だ。

高額になりがちな弁護士委任費用は、基準となる弁護士費用に対して割合が定められている。この場合の基準とは、実際の支払額ではなく、各社が保険約款で定めているものなのでよく確認しておきたい。また、着手金や日当、事務手数料などについては、やはり基準額に対して5割から9割程度の補償割合が設定されていることが一般的だ。

弁護士保険の選び方2.保険料

「一般事件」と「特定偶発事故」をどちらも取り扱っている弁護士保険の場合、加入時の月額保険料の設定は事業型で1万円から6万円、個人型で1000円から5000円程度が一般的だ。

一度保険に加入すれば、その後の保険料は固定費となる。家賃などと同様、収入にかかわらず必ず発生するため、費用対効果を意識して保険料を比較することが大切だ。なお、保険の利用に応じて、保険料は多少増減することが多い。

自分にとって必要な補償が網羅されているか、補償割合のうち弁護士委任費用の設定は100%かなどをチェックしたうえで、できるだけ安い保険料の保険会社を選びたい。

弁護士保険のチェックポイント

弁護士保険を選ぶ際に注目すべきは補償対象と保険料だと述べた。そのほかにも、チェックしておくと安心なポイントを2つ紹介する。

弁護士保険のチェックポイント1.無料サービス

弁護士保険には、補償以外に無料相談サービスが付いていることが多い。実際に裁判で争うまでに至らずとも、ひとまず弁護士に相談したいというケースも考えられる。

弁護士保険に付いていると安心な無料サービスには、次のようなものがある。

・契約書のリーガルチェック
・トラブル発生時の弁護士直通ダイヤル

「契約書のリーガルチェック」を利用すれば、事業型では、受け取った契約書の内容や作成した契約書の内容に問題がないかを、専門家である弁護士に電話で直接相談できる。また、個人型では、契約書の内容を確認したり、内容証明が届いたときの対応を弁護士に相談したりできる。

「トラブル発生時の弁護士直通ダイヤル」は、事業型では、顧客や取引先・従業員との間で突然トラブルが起きたときも、ひとまずどんな対応をすればいいか、弁護士に相談できる。個人型では、離婚や相続のトラブルをはじめ、勤めている会社から理不尽な対応をされた場合、痴漢に間違われた場合、交通事故の示談などで、すぐに弁護士に電話相談ができる。

電話での無料相談には、制限時間が設けられていることが一般的だ。あまりにも相談時間が短いと、電話だけでトラブルに対処できない場合がある。制限時間が長めに設定されている弁護士保険を選ぶとよいだろう。

弁護士保険のチェックポイント2.プラン

どの程度の保険料なら事業資金や家計を圧迫しないか、どの程度の補償内容や補償割合を求めるかは、会社や個人によって異なる。自分に合ったプランを選ぶことが大切だ。

また、会社の事業ステージや個人のライフステージにおいて、支払える保険料や必要な補償内容は変化していくものだ。だからこそ、複数のプランがあり、必要に応じてプランを見直せる弁護士保険のほうが安心だろう。

弁護士保険の主要3社を徹底比較

続いて、弁護士保険の代表的な3社の情報を比較する。保険金については、契約後に保険金の支払い実績などに応じて見直しになるケースも多いので、初期設定であることに注意したい。

<弁護士保険コモンBiz、弁護士保険コモン(エール少額短期保険)>
補償対象:一般事件、特定偶発事故
補償割合:法律相談料は100%、その他の補償割合はプランによって50~90%
保険料:事業型(弁護士保険コモンBiz)は1万1800円/月、2万2800円/月、5万4000円/月
個人型(弁護士保険コモン)は1180円/月、2200円/月、5100円/月
プラン数:事業型3つ、個人型3つ

無料サービス:
<個人型・事業型共通>
弁護士直通ダイヤル(平日9時~17時、1回20分まで)
弁護士検索サポート(受付は24時間、1回20分まで)
冤罪ヘルプナビ(平日7時~22時、年2回まで)
契約書のリーガルチェック(24時間365日、電話・面接・メール可、1回30分まで)

<事業型固有>
モンスターヘルプナビ(24時間365日、電話・面接・メール可、1回20分まで)

<個人型固有>
ハラスメントヘルプナビ(24時間365日、電話・面接・メール可、1回20分まで)

<A社>
補償対象:一般事件、特定偶発事故
補償割合:法律相談料は100%、その他の補償割合は70%(特定偶発事故は100%)
保険料:2980円/月
プラン数:個人型1つ

無料サービス:
弁護士直通ダイヤル(平日10時~14時、1回15分まで)
弁護士紹介サービス
弁護士トーク(24時間365日、チャットのみ可)

<B社>
補償対象:特定偶発事故のみ
補償割合:実費
保険料:590円/月
プラン数:個人型1つ

無料サービス:
痴漢冤罪ヘルプコール(平日7時~10時、17時~24時)
痴漢被害ヘルプコール(平日7時~10時、17時~24時)
弁護士無料相談(年3回まで)

弁護士保険の活用事例

続いては、事業型弁護士保険と個人型弁護士保険のそれぞれについて、活用事例を紹介する。

事業型弁護士保険:商品代金の未払い

中小企業社長のAさん(40代)は、顧客から商品代金の支払いがないことに頭を悩ませていた。

電話をしてもつながらないことが多く、メールで督促をすると、1週間ほど経って「数日以内に支払います」と返信がある。しかし、数日待っても入金はない。このやり取りをすでに5回以上繰り返しており、商品の発送から数ヵ月が経過しようとしていた。

Aさんは、弁護士保険に加入していたものの、サービスを利用した経験はなかった。決算期が近づいてきたことから、Aさんはまず弁護士への直通ダイヤルで、状況を説明。すぐに弁護士から適切なアドバイスがあり、弁護士の指示のもと、布石としてまずは顧客に内容証明郵便を送付した。

その後、すぐに入金になることはなかったが、弁護士相談を利用して商品代金の回収に無事成功した。弁護士費用として支払った実費は、弁護士保険によって補償され、Aさんはほっとひと安心。今後、もっと積極的に弁護士保険を活用しようと考えた。

個人型弁護士保険:相手の浮気が発覚

共働き夫婦のBさん(30代)は、パートナーの行動が怪しいことに、かねてから気づいていた。

Bさんは法律に携わる仕事をしていることから、個人でも法務トラブルに備えるべきだという考え方を持っており、独身の頃から弁護士保険に加入していた。そこで、弁護士への直通ダイヤルを利用し、浮気の証拠集めを開始した。

弁護士のアドバイスを受けながら、慎重に行動した結果、無事証拠を押さえることに成功した。その後、離婚手続きや慰謝料請求に移ったが、相手が有責であることが確定しているため、スムーズに離婚の話し合いが進んだ。Bさんは納得のいく慰謝料を受け取り、第二の人生へと気持ちを切り替えることができた。

弁護士保険はいざというときのお守りになる

平穏なときは、人間はトラブルが起きることをなかなか想定できない。そして実際にトラブルが起きると、動転して冷静な対応ができなかったり、専門家に相談したいと思ってもどうやってその専門家を探したらいいのか途方に暮れてしまうものだ。場合によっては、専門家に支払う費用の捻出が難しいこともあるだろう。備えを怠った結果、損をしてしまうのは自分自身だ。

一番身近な人間関係やお金に関するトラブルを解決するには、弁護士保険が最適だ。弁護士保険に加入しておくことで、いざというときも費用について余計な不安を抱かずに、専門家に相談してしかるべき対応をとることができるだろう。

2020-OP・募-003


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