2 寿司の値段〜相対的にお得な銀座の寿司屋の海外進出?〜


ここ最近、シンガポールに高級寿司店が急激に増えています。
その勢いは凄まじく、ミシュランの星を持っている店も何店か出店されているほどです。

しかしながら、いつもそういう店に行って思うのは、日本人を顧客層として重要視はしていないなというものでした。何故なら夜のおまかせを頼むと大体一人当たり500シンガポールドル(今のレートで4万円、少し前までのレートで3万3千円)くらいしてしまい、少しお酒を頼もうものなら一人当たり5万円は下りません。

確かに味は美味しいです。しかし、日本で食べられる自分が行きつけの寿司屋と比べるとそこまで払う価値が無いなというのが正直な感想です。また、日本のビジネスマンの接待という観点からしても、それだけの接待費を自由に使わせる会社もそれほど多くはないでしょう。
カウンターを見渡しても日本人は我々だけであとは現地人、もしくは西洋人のビジネスマン達がお代をそれほど気にせず酒を飲みまくっているという光景を目の当たりにします。そのようなお店では日本人として多少肩身が狭いですね。

一方で、寿司の激戦地、銀座で食べるとしましょう。おまかせで3万円を払わせる店は、俗にいう超有名店以外はなかなか無い気がします。別に有名店に行かずとも、一人2万円ぐらいでつまみ、寿司、酒をフルに頼んで満足できる店はたくさんあるでしょう。

そのため、個人的には銀座の寿司屋は相対的にもう少し値上げ余地があるのではと思っています。もちろん、日本人顧客をメインの客層にしているため値上げが難しいというのはあるのでしょう。ただそういった有名店が、香港やシンガポールに出店を増やすことは、日本において値段をあげるという行為よりも意外とハードルが低く今後もより進むのかもしれません。


3 不動産事情~急速に動き出したREITとファンドマネー~


これまで何度かに渡って日本の不動産、または不動産株が上がるのではとお書きしました。

【参考】

日本の不動産ってどうなのよ?~高騰する海外市場との比較より~
ハゲタカは1年前に上昇を予測?〜不動産市場を支える主要プレイヤー達の実態〜

実際、ここ数ヶ月における値段の上がり方には目を見張るものがあります。 「為替をヘッジした実物投資がいいのでは?」と書きましたが、現状REITやファンドが狙いやすい100億円弱から300億円といった物件は、まともなものであれば殆ど売りがありません。もしくは、かなり高めのバリュエーションでしか売ってもらえないはずです。
先日も不動産ファンドを組成している方と話す機会があったのですが、 今はかなり小さい10億円とか20億円といったサイズの不動産ですら仕込むのが大変とのことでした。ここ半年くらいの間に、何とかして買えるだけ買っておきたいと言っていました。

果たしてこの勢いは、一般のマンションなどのマーケットにまで波及するのでしょうか。過去20年ほど我々が経験しなかった出来事が起こるのでしょうか。
もしそこまで波及するのであれば、黒田さんのインフレターゲットなど問題にならないようなインフレが発生するのではと思います。アメリカでいうところのホームエクイティ上昇(保有不動産の価値上昇)を利用して、銀行からさらに借り入れを増やし、不動産を買ったり消費に回したりといった現象まで起こるのでしょうか。

個人的にはそこまで一気に火がつく事はなさそうだけれども、身近なところにも面白い投資対象があるのではと思っています。例えば先ほど申し上げた不動産ファンドの方は、都内の古いマンションで賃貸料の割に値段の安い物件を労を惜しまずに買い進めているという話もしていました。
具体的なイメージとしましては赤坂、六本木辺りの1990年以前にできたバブル仕様の物件(サイズにして120平米くらい)で、売値が6千万円から7千万円、月の賃貸が50万円以上取れるという物件です。耐震構造など懸念するべき点は多いものの、リノベーションも当然されており、 利回りで10%弱、レバレッジをかけるので結果として優にそれを上回るようなキャッシュフローが得られるようです。

このアイデアがどれほど現実的なのかは分かりません。しかし私のお客さんに紹介してみたところ、「今からでも日本に行こうか?」というくらい反応が良かったです。また、私自身も少し検討してみようかなと思うほどです。


日本の今後の姿とは?


色々と書き連ねさせて頂きました。

最後にもう一つ個人的な見解を述べれば、日本のような高いサービスクオリティが常に提供され、対価さえ払えればありとあらゆる物が手に入る国の通貨が、5年や10年ではなくたかだか数ヶ月の間に20%以上も減価したという事実が、何の影響も生まない筈がないと思っています。
日本で暮らしている日本人の方が実感できないくらい、著しい変化が外国からの需要主導でまずは起きるのではないでしょうか。

政府はこの点を心得ているので、しっかりと国内の企業にも賃金をあげるように指導をしています。この動きは評価されるべきものなのでしょう。
しかし、起こりうるインフレは資産価値の上昇が主導するであろうため、結果として多くの方は恩恵を受けられないものに終わる公算が強いのではと思っています。

株、不動産などを買う余裕がある、あるいは買わざるを得ないいわゆる富裕層がより富んでいくプロセスが進み、結果として日本社会の一つの美徳であった国民全体が中流層であるといった仕組みが崩壊し、富裕層とその他の格差が著しく拡大する可能性は否めいないのでないかと思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。

【参考記事】
これから起こるインフレーションに備えるために~アベノミクス時代の資産保全~
アベノミクスのインフレで円安はすすむ!?インフレ・デフレはどっちがいいか??

BY N.S