本記事は、岡本康氏の著書『FIREできる不動産投資3つのルール』(standards)の中から一部を抜粋・編集しています。

キャッシュフロー
(画像=Cagkan/stock.adobe.com)

キャッシュフロー投資とは何か

大きくキャッシュフローが残る

キャッシュフロー投資とは、ひと言で言えば「キャッシュフロー自体に投資する投資法」です。ゆえに、キャッシュフロー投資法です。私がわかりやすいように名前を付けました。

不動産投資用の物件には、さまざまな形態があり、スペックがあります。さまざま形態とは、賃貸用1棟アパート、1棟マンション、区分マンション、戸建、駐車場、倉庫、店舗、土地などです。

また、その物件には、スペックがあります。スペックとは、築年数、構造体、土地の広さ、建物の床面積や間取り、住所、場所による利便性などのことです(細かいスペックはまだまだあります)。

それらの多様な物件から、キャッシュフローが大きく残る物件のみを厳選して投資する投資手法が、キャッシュフロー投資なのです。

あなたが必ずやらなければならないことは、キャッシュフローが大きく残る物件のみを厳選するためのスキルを身につけることです。

そして、キャッシュフローを大きく残す戦略のポイントは、以下の2つ。

  • 銀行融資を受ける
  • 住居用マンションを1棟まるごと買う

銀行融資を活用することで、手元に残るキャッシュが大きく変わります。銀行で融資を受ければ投資のレバレッジ(自己資金を担保にして、自己資金以上の取引を可能にする制度)を最大限に上げることができるでしょう。

たとえば、話を単純化しますが、利回り10%の1,000万円の物件を現金で買ったとします。その物件から得られる家賃年収は年間100万円となり、そこから固定資産税や管理費などの経費20%を引くと、手元に残る金額は80万円となります。

家賃年収100万円−経費20万円=手元に残る金額80万円

対して、利回り10%の1億円の物件を1億円全額融資で買ったとしたらどうでしょうか。

物件の家賃年収は1,000万円です。銀行の融資の条件を2%、融資年数25年とすると返済金額は500万円。経費率が20%として、経費は200万円です。


家賃年収1,000万円−銀行返済額500万円−経費200万円=手元に残る金額300万円

銀行の融資を受けることで、手元に残るキャッシュは大きくなるのです。現金で買うよりも、より金額の大きな物件1棟を融資で買うほうがFIREへの近道になります。

25年間に銀行に支払う利息の合計は約2,700万円。

あなたが25年間に手元に残すキャッシュは300万円の25年分で7,500万円です。

ということは、物件からの儲けを銀行とシェアすることと言えます。しかも、儲けの大半はあなたのものです。


5年間のあなたの儲け:7,500万円
25年間の銀行の儲け:2,700万円

そして、銀行返済が終わった物件からの収入はすべてあなたのものです。物件を持ち続けてさらに収入を得てもいいですし、物件を売却しても収益を上げられます。右記のシミュレーションはあくまでも投資の考え方を単純化したもので、実際の賃貸経営にかかる費用などは考慮していません。銀行の利息は確定ですが、あなたの収入は実際の物件の稼働状況によりますし、大型修繕費用などについても考慮はないです。それでも、通常の賃貸経営を続けていれば、大きく収入を減らすことはないのです。

キャッシュフロー投資法がFIREに有利な理由

キャッシュフロー投資法がFIREに有利だといえるのは、次に挙げるような4つの理由によるものです。

キャッシュフロー投資法がFIREに有利な理由(1):不労所得であること

不動産投資は、完全なる不労所得ではありません。こう言うと、「さっき、不労所得だって言ったじゃん」というお叱りが聞こえてきそうです。しかし、「ほぼ不労所得」ぐらいは言い切ってもいいかと思います。

株や投資信託などは、買ってから売るまで放置するため、完全な不労所得といえるでしょう。一方、不動産投資は、物件を買ってから自分で管理するとなれば自身の時間と労力を使わなければなりませんが、自分でやらなくても物件を管理する雑多な業務は管理会社に丸投げできます。当然、私もそうしています。不動産投資に費やす時間と労力は、会社での仕事に費やす時間と労力の1/10、いや、1/100で済むかもしれません。

物件を探すのはWebを使えば夜中でもできるので、時間に縛られることはありません。せどりなどの副業だと、常に売り買いの作業や手間が発生しますが、不動産投資は、一度買ってしまえば、後はほぼやることはありません。空室を埋めるための適正な修繕と、管理会社と連携してしっかり管理していくことくらいです。修繕も工事会社がやるので、物件の現場に行って具体的に何かをすることはありません。

時間にしばられないので、本業にも専念できます。

不動産投資の投資のサイクルは長いです。株式やFXと違ってチャートを見ることがありませんし、チャートが気になって仕事が手につかないなんてこともありません。

ですから、投資を行いながら、しっかりと本業に注力できるはずです。

不動産投資のサイクルとしては、主に次のような流れになります。


(1)物件を探す
(2)買付を入れる(「この物件を買います」という意思表明)
(3)銀行への融資依頼(1ヶ月以上かかることが多い)
(4)売買契約(銀行融資の内定が出るタイミング)
(5)金銭消費貸借契約(銀行にお金を借りる契約)
(6)決済(融資実行と所有権移転で物件があなたのものに)
(7)賃貸経営(満室経営に向けてがんばろう)

これらのサイクルはどんなに早くても1ヶ月以上はかかります。

(3)~(6)までの局面では、仕事を休まなくてはならないときもあるかもしれませんが、融資依頼から決済以外の局面では、本業を邪魔することはないはずです。

私が本業の傍ら不動産投資を10年続けてこられたのも、本業に専念できる投資であったからです。私は10年間で10棟を買いました。平均すれば1年間に1棟を買ったことになります。買う局面における約1ヶ月~2ヶ月くらいは少し時間が取られますが、そのほかの期間はほぼ、なにもすることがありません。たまに管理会社から空室連絡があるので、その対応くらいです。

現代の忙しい会社員との相性がいい投資といえるのではないでしょうか。

キャッシュフロー投資法がFIREに有利な理由(2):再現性があること

不動産投資の成功のカギは、物件を買うときにあります。いかに多くのキャッシュが残る優良物件を手に入れられるかどうかで、成否が決まるのです。

収益不動産は得られる家賃収入が決まっています。収入は購入時に判明している収入以上に増やせません。管理費や固定資産税などの支出もおおよそ決まっています。もちろん銀行への返済額も決まっています。

つまり、収入と支出が明確になっているので、買う前に物件から得られるキャッシュフローを計算できるのです。

  • 物件のスペックから得られるキャッシュフローが計算できる
  • 物件を同じ融資の条件で買ったとしたら、誰が買っても同じキャッシュフローが得られる

これら2つの理由が、再現性があると言えるポイントになります。

さて、再現性があるということは、買ってはいけない物件を買ったら失敗するという再現性もあることです。

最も買ってはいけないと個人的に思っている物件のひとつに、新築区分マンションがあります。これを買ったら、あなたが望まない結果になることは間違いありません(なぜ、ダメなのかは本書の中で追って説明していきます)。

失敗する再現性もあるので、買うべき優良物件と買ってはいけないダメ物件を見極める選球眼が必要です

キャッシュフロー投資法のルールのひとつは、キャッシュフローをシミュレーションすることです。シミュレーションは誰がやっても同じ結果となります。その結果をキャッシュロー投資法のルールに当てはめて投資の判断をします。

キャッシュフロー投資法がFIREに有利な理由(3):時間の経過が有利に働く

ポイントは「収入が積み上がる」ことと「残債が減る」こと、この2つです。

「収入が積み上がる」とは、毎月の家賃収入が入るので、必要経費以外に支出をしなければ間違いなく銀行の残高が多くなっていくことになり、毎月キャッシュが積み上がっていくということです。会社員の生活水準を維持すれば、確実にFIREに近づいていけるのです。

そして、銀行返済が終わった時点で、物件からの収入が激増すると同時に大きな資産が手に入ることになります。売却したとしても銀行への返済がありませんので、売却益も大きく取れるのです。

時間の経過が不動産投資に有利に働くならば、不動産投資のスタートが早ければ早いほどFIREに有利になります。可能な限りスタートを早く切りましょう。

2021年時点では10年前と比べて物件価格が高く、利回りは低くなっています。今は投資に値する物件が少なくなっているのです。しかし、投資に値する優良物件はゼロではありません。私も2021年9月に利回り13%の物件を買うことができました。

行動すればチャンスは巡ってきます。巡ってきたチャンスを捉えて物件を購入できるように、準備を整えておきましょう。時間の経過は、優良物件に出会う機会を多くします。チャンスをつかみ、所有物件を増やしていけば、積み上がる収入も増えていくのです。

「残債が減る」とは、銀行への融資残高が減ることです。長期的に見れば、融資残高が減ることにより返済リスクを減らせます。また、新たに銀行に借り入れることのできる枠が空くことにもなります。当然、新たな銀行を開拓する場合、長期的に堅実な賃貸経営を続けていればプラス評価となり、新たな資金調達先を確保できるのです。

融資期間は短くて10年、長いと30年です。返済が終わる10年から30年先には、物件からの利益は大きく上がることになります。

キャッシュフロー投資法がFIREに有利な理由(4):景気に左右されにくい

家賃収入は経年により緩やかに下落していきますが、適切な修繕により下落を止めることもできます。付加価値をつけたリノベーションで家賃を上げることもできます。賃貸経営のノウハウやスキルを身につければ、景気のどのような局面でも家賃を減らさなくて済むのです。

私の場合も2019年末から始まったコロナ禍にあっても、ほぼ満室を維持できたので、収入を減らすことはありませんでした。

空室を埋める対策と対応をしていれば、入居もすぐに決まります。不景気だからといって収益がガクンと落ちることはまずありません。

ただし、物件を買うことについては知っておいていただきたい関係性が2つあります。

以下のものです

  • 融資状況がよいときは、物件が高くなる
  • 融資状況が悪いときは、物件は安くなる

物件が高いと、当然利回りが低くなりますし、物件が安いと、利回りは高くなります。

2020年は、コロナ問題の対策で市中に多くの資金が流れました。当然、経済は不況であるにもかかわらず、物件は高く、利回りは低いままでした。

日本政策金融公庫を例にとれば、ここ数年の2019年までの融資実績は40万件前後で金額は2兆から2兆4,000億円でした。しかし、2020年には95万件、金額が92兆円近くになっています。このように市中に流れるお金の量が増えると、行き場を失ったお金が株や不動産にいくことになり、価格が高い水準で推移することになります。

だからといって、収益性の低い物件を買うことはNGです。数は少ないですが、優良物件が出てくるので、それまでじっと我慢です。

FIREできる不動産投資3つのルール
岡本康
1965年生まれ、名古屋市出身。愛知大学法経学部卒。
ブルー・ソリューションズ株式会社代表取締役。
営業系の転職を4回経験。不動産投資を知り勉強を始め、2021年3月に会社員生活に終止符を打ちFIREを達成。
不動産の投資総額約10億円、FIRE時点での年間キャッシュフローは8桁、保有する不動産以外の金融資産は9桁達成。友人と不動産投資家のための優良物件選別システムを構築した。
優良物件選別システムは、日本初のAIを使った不動産投資に特化した情報解析システムで、Web上に公開されている数万件の不動産物件情報の中から希望するスペックの物件を抽出することができる。このシステムを使い不動産投資家に優良物件情報配信サービスを提供している。
現在は不動産資産管理会社と不動産情報解析サービス会社を経営。不動産投資で資産を築く投資家のためにノウハウを伝えて、FIREするためのサポートを行っている。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)