インフルエンザ銘柄の特徴
インフルエンザワクチンの製造には6か月程度かかるため、次の冬に流行するウイルス株を正確に予測することは難しい。ウイルス株が変異していればその効果はいくぶん低下するが、アフィニティーマチュレーション(抗原結合能成熟)によりある程度の免疫効果が期待できる。
日本では年末になるとインフルエンザワクチンの品不足が毎年のように起きていた。一部の医療機関による買い占めが原因で返品制度に問題があると言われてきたが、販売元がワクチンをワクチンメーカーから買取り制にしたり一部流通分を不足した場合に融通するため確保しておくなどの努力の結果、かつてのようなワクチンの品不足は解消されてきている。
インフルエンザワクチンの接種料金は医療機関によって異なり、健康保険の法定給付の対象外である。65歳以上の高齢者、60–64歳で感染した場合に重篤な症状が予想される者については、予防接種法上の定期接種に指定され、多くの自治体で公費助成が行われている。治療用の薬であるタミフル・リレンザは、予防用としても使用認可されている。予防薬としての処方は日本では健康保険の適用外であり、原則的な利用条件が定められている。
2001年頃より迅速に診断が可能な検査キットが臨床の現場で使われ始め、現在は普及している。臨床検査技師など専門家がいなくても簡便にできる。鼻の奥の咽頭に近い部分を採取すると検出率が高いとされ、検体は基本的にその部分から採取される。時間的には15–20分で結果が分かる。A型とB型の鑑別も可能である。
インフルエンザ銘柄の魅力とリスク
魅力①:安定需要
日本においては、インフルエンザは季節性の強い流行であり、医療機関を通じてワクチン・検査キット・インフルエンザ専用薬、ドラッグストアその他一般小売を通じてマスク・消毒液・空気清浄機など、一定の需要が確実に見込める。また、近年は新型インフルエンザに対する警戒も広まっている。
魅力②:消費拡大
高齢者等については行政で予防接種の費用助成が行われているため、予防接種に対する負担感が高くない。今後、高齢者世代の増加に伴い、ワクチンの接種者数が増える期待がある。また、迅速検査キットの浸透に伴い、従来は判別不可能として使用されていなかった感染初期段階においても、インフルエンザの特定が可能となり、より幅広いタイミングで使用される。
魅力③:トレンド外れが起きない
インフルエンザワクチン株は国立感染症研究所で検討され、それに基づいて厚労省が決定・通達しているため、メーカー単位で流行型の当たり外れを競わなくて済む。また、インフルエンザワクチンは半年~1年、迅速検査キット(製品)は6~24ヶ月と、いずれも有効期間が短く、複数シーズンに対応するようストックすることが困難な資材であり、例年、一定の需要が確実に見込める商品である。
インフルエンザ銘柄のリスク
例年、次シーズンのインフルエンザワクチンの製造量は、厚生労働省のインフルエンザ需要検討会で決定されるが、流行の動向によっては、大幅にずれる場合もある。実際のシーズン動向によって速やかに供給調整できない商品については、在庫が大量に残ったりチャンスロスを起こしてしまうリスクがある。
インフルエンザワクチン・試薬関連銘柄
インフルエンザワクチンの製造には6か月程度かかるため、次の冬に流行するウイルス株を正確に予測することは難しい。ウイルス株が変異していればその効果はいくぶん低下するが、アフィニティーマチュレーション(抗原結合能成熟)によりある程度の免疫効果が期待できる。日本では、北里第一三共ワクチン(株)・一般財団法人化学及血清療法研究所・一般財団法人阪大微生物病研究会・デンカ生研(株)の4社が、いずれも国内で製造し、販売している。(平成24年11月現在)
①第一三共 <4568>
生産とCMCに特化した北里第一三共ワクチン株式会社(北里研究所との合弁会社)、販売と臨床開発後期に特化したジャパンワクチン株式会社(グラクソ・スミスクライン株式会社との合弁会社)と連携し、ワクチンの創成と安定供給を推進
②カイノス <4556>
臨床検査薬の中堅メーカー。生化学、免疫血清学的検査用試薬に重点。共同開発の促進に注力している。
③栄研化学 <4549>
臨床検査薬大手。便潜血検査用試薬はシェア5割超。遺伝子関連強化中。アライアンスに積極的
空気清浄機関連銘柄
インフルエンザの感染防止には、部屋の湿度を50~60%に保つことと、換気をこまめに行うことが有効である。空気清浄機も有効である。これにより、ウイルスを追い出し飛沫感染の確率を大幅に減らすことが可能である。冬期に流行するため、暖房効率との兼ね合いなどで空気清浄機が好まれる。
④富士フイルムホールディングス <4901>
写真フィルムから液晶フィルム、医療画像等へ転換している。傘下に事務機器大手の富士ゼロックスを擁する。
⑤ダイキン工業 <6367>
エアコン世界首位。国内は業務用で断トツ。中国・格力電器と多面提携。フッ素化学事業も展開
マスク関連銘柄
インフルエンザはくしゃみは咳から飛まつ感染する。マスクを着用することによって感染拡大を防ぐことができる。マスクをする際は、鼻と口を確実に覆う必要がある。また、使用後のマスクは放置せず、ごみ箱に捨てる必要がある。2009年3月に北米で確認された新型インフルエンザ(H1N1)は感染者数の急激に拡大した。人とモノが国境に関係なく移動している現代社会においては、空気感染や飛沫感染をする感染症などは瞬く間に世界に感染が広がってしまう
⑥興研 <7963>
防塵・防毒マスク2大メーカーの一つ。防衛省向け独占供給。医療・精密機器分野へ多角化
⑦日本バイリーン <3514>
不織布国内最大手。世界首位のフロイデンベルグと国際連携。HV用電池セパレーターを育成
⑧川本産業 <3604>
ガーゼ、脱脂綿、医療用衛生材料最大手。手術用品をセットで販売。介護用の口腔ケア用品育成。
(ZUU online)
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