親子上場銘柄の特徴
上場子会社保有企業は、非保有会社よりROE、DEBEQT、DEBASS、L_MCAPが大きい。そこで、上場子会社保有企業は収益能力が高く、負債比率が高い傾向があるといえる。
ROEとDEBASSは、明らかに親会社が子会社を上回っている。ト-ビンのQは親会社よりも子会社のほうが大きく、上場子会社のほうが親会社に比べて投資機会が十分にあることがうかがえる。
子会社の収益率に対して、親会社の収益率の影響力が強い。親会社のモニタリングによって子会社に対して影響を与えている。投資機会変数より、親会社の投資機会と子会社の投資機会には、相互関係があるといえる。収益率変数と投資機会変数より、親会社の有利子負債が子会社に影響を与えていないことが確認された。親会社が負債比率を高めたとしても、子会社への資源配分や投資機会の面で影響を与えないといえる。親会社のモニタリング、支配力、親会社自身の収益力や投資機会などが、子会社に影響を与えることになる。子会社の収益率や投資機会は親会社からの影響を受けているため、子会社の評価をする際に親会社の状態も含めて評価することが重要である。
親子上場関連銘柄
魅力①:親会社について
経営を多角化して事業リスクを減少させ、新たな収益機会を得るなど企業規模を拡大できる。企業規模が拡大すると、規模の経済が働き、外部資金調達を行いやすくなる可能性がある。また子会社の上場により、人件費などの管理コストを軽減できる。子会社株式の価値増加が期待でき、子会社株式を売却して資金を調達できる。
魅力②:子会社について
親会社の企業規模が大きく、親会社の収益率が子会社にプラスの影響を与える。また資金調達が多様化して独自の資本政策が可能になる。経営の自由度が増し、親会社とは異なる事業分野での 成長性が期待できる。インセンティブ制度の採用することにより、従業員のモチベーション向上が期待できる。ガバナンスについては、市場参加者のモニタリングによって、モラルハザードを軽減することがある。
親子上場銘柄のリスク
親子上場銘柄のリスク:親会社について
子会社が業績好調でも、連結業績には持分に応じた利益しか計上できず、少数株主の分はグループ外に流出する。IFRS(国際財務報告基準)では、子会社株式の売買を内部取引とするため売却益を計上できない。また連結納税制度の対象は100%子会社とされ、上場子会社は適用外である。株主総会や取締役会を経る必要があるので、経営のスピードを損なう。子会社を目当てに、親会社が敵対的買収の標的にされるおそれがある。
親子上場銘柄のリスク:子会社について
親会社への依存度低下により、営業力が低下し事務コストの負担が増える。株主総会においては親会社の議決権が多く、株主は支配力を持ちにくい。親会社からのモニタリングが強いと、独自性を発揮できない場合がある。親会社のモニタリングが弱いと、外部資金調達を行いやすく、過剰投資を招くおそれがある。少数株主による株主代表訴訟のリスクがあり、物言う株主による解消圧力が強まることがある。そしてグループ再編により上場廃止になる可能性がある。
イオン関連銘柄
純粋持株会社であり、2013年度の営業収益は5兆6853億円、グループ従業員数は36万人である。ショッピングセンター157モール、総合スーパー598店舗、クレジットサービス総会員数3175万人、電子マネーWAONの年間決済総額は1兆2000億円である。プライベートブランド「トップバリュ」の品目数は6,000以上で、6,816億円の売上高であった。
①イオンモール<8905>
ショッピングセンターデベロッパーであり、2007年にダイヤモンドシティと合併した。モール型で圧倒的シェア。
②イオンフィナンシャルサービス<8570>
金融持株会社で、銀行やクレジットカードを展開する。東南アジアでも拡大を進めている。
③インデライト<9787>
商業・オフィスビル等施設管理で首位で、全国に営業網を持つ。グループ依存は7割弱である。中国とASEANにも進出している。
④ダイエー<8263>
総合スーパー大手で、 2013年2月末時点で205店舗、正社員5,392名。
⑤イオンファンタジー<4343>
大型ショッピングセンター内に遊戯施設を展開し、時間制遊具など幼児部門向けを強化している。海外にも積極出店中 である。
⑥ ミニストップ<9946>
コンビニで業界5位で、関東と東海に地盤を持ち、ファストフードに強みがある。子会社で韓国にも展開している。
伊藤忠商事関連銘柄
世界66ヶ国に約130の拠点を持つ 総合商社大手で、非財閥系。
繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、保険、物流、建設、金融の分野などの国内取引、輸出入、三国間取引の他、国内外の事業投資を行っている。衣料や中国ビジネスに強く、ファミリーマートの筆頭株主である。
①伊藤忠テクノソリューションズ<4739>
伊藤忠系のシステムインテグレーション 。海外IT機器の販売を出発点にソフト、サービスに注力している。保守・運用を拡大している。
②エキサイト<3754>
インターネットポータルサイトで、顧客の女性比率が高い。広告とコンテンツが2本柱である。
センチュリー21・ジャパン<3640>不動産仲介店を4大都市圏でフランチャイズ展開している。
フランチャイズからの加盟料とサービスフィーが収入源 である。
キャノン関連銘柄
カメラや事務機器の世界大手で、一眼レフはシェア5割超である。レーザープリンタにも強みがあり、ビジネス機器、ソフトウェア、運用サービスを連携したビジネスソリューションを提供している。ITソリューションと商業印刷を強化するとともに、半導体や医療機器など新たな分野で事業を多角化する方針である。
①キャノン電子<7739>
キヤノンの製造子会社である。カメラシャッター製造や、レーザービームプリンターのレーザースキャナーの組み立てが柱 。
②キャノンマーケティングジャパン<8060>
複合機、カメラ、インクジェットプリンタなど、キヤノン製品の国内販売が主で、IT事業も育成している。