後継者の適性

こんにちは、企業の事業承継に取り組む行政書士のS.Kです。
毎週木曜日にオーナー企業のための事業承継を連載しております。

今回は企業の事業承継で欠かすことができない、事業の後継者選定のポイントについてまとめていきたいと思います。

【参考 オーナー企業のための事業承継】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」
オーナー企業のための事業承継vol5「会社の現状を把握するポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol6「企業の事業承継の際の法律上の問題点とは?
オーナー企業のための事業承継vol7「家族の絆を守る後継者以外への配慮とは?」


◉会社の後継者に必要な資質とは


企業の事業承継を実施するにあたっては、企業を承継する者、つまり後継者を選ぶことが必ず必要となります。後継者は企業の将来をになって、先代経営者様が作ってきた伝統の企業風土を活かしながら、新しい時代に対応した経営を進めていく舵取りとなります。
そのため、この舵取りとしてどのような人物を選定するかが企業の将来を左右する大きなポイントとなることはご想像に難くないと思われます。

企業の後継者選定としての必要な資質は企業により千差万別であり、唯一の正しい答えを導き出すことは不可能です。ただ、後継者として重要となる、ある程度共通した資質を提示することは可能です。企業の事業承継を進められるにあたって、後継者選定の1つの基準としてご参考にしていただければ幸いに存じます。


◉後継者の資質1 経営意欲・意識など


事業承継の後継者としてまず重要なことは、事業を引き継ぐ意欲と覚悟を持っていることであるといえます。どんなことでも共通して言えることだと思うのですが、やる気がないことに本気で取り組むことは不可能です。また、無理して取り組めばどこかで破綻が生じます。

しかし、意欲だけでも十分とは言えません。後継者として企業で働く従業員を養い、社会に役立つ会社に発展させるという意識があることが重要です。今日、コンプライアンス意識が低い企業は非常に低い評価を受けます。
従業員や下請けなどを使い捨てるブラック企業、違法行為などの不祥事を必死に隠蔽しようとする会社、顧客から不当に暴利を得ることだけを目的とする会社、これらの会社は決して成長しないような社会の目と制裁の制度が作られています。そのため、後継者は、意欲が十分にあり、法令遵守・フェアな取引などクリーンな意識を持った人物である必要があります。
もちろん、業界に精通していることや経営者としての手腕があることもある程度は大切です。しかし、これらの実務能力はサポート役をつけることで補填することが十分に可能です。むしろ、経営の意欲と法令遵守などの適正な意識を持ち、会社を正しい方向に導くことができる能力を有していることが重要です。

後継者選定にあたっては、現経営様の目から見てこのような意欲・意識が高い人物を後継者候補として選ぶことが重要と言えます。意欲や意識は日々の業務の中、コミュニケーションの中で見極めることが必要です。