こんにちは、企業の事業承継に取り組む行政書士のS.Kです。
毎週木曜日に「オーナー企業のための事業承継」シリーズを連載しております。

事業承継の難しさの一つに、相続財産の分配があります。企業の事業承継にあたって子息を後継者とされた場合には、相続争いを防止するために後継者以外の相続人の方へ対する配慮が重要です。

7回目の今回は、可能な限り不公平感を生じさせないようにするための具体的な方策についてまとめていきます。

【参考 オーナー企業のための事業承継】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」
オーナー企業のための事業承継vol5「会社の現状を把握するポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol6「企業の事業承継の際の法律上の問題点とは?

【参考】

相続・承継でお悩みの方必見!大事な家族へ財産を残すための保険の活用法
閉じ込められる個人金融資産1500兆円
「オーナー経営者がこぞって企む相続税節税の㊙テクニック」


◉事業承継と後継者以外の相続人への配慮の必要性


企業の事業承継を実施するにあたっては、株式や事業用資産(土地や様々な機材など)を後継者として選定した方に集中させる必要があります。上場企業を除くと、日本の企業の実に99パーセントの会社では、会社の経営は、経営者様の「顔」によって成り立っているというのが現実です。
例えば、銀行が会社に融資をする場合には、担保などの他に経営者様を信頼して融資を実行するというのが実際のところです。また、取引先も経営者様を信頼して取引を行います。

そのため、企業の事業承継にあたっては、後継者が信頼に足る人物であることを前提として、会社経営権の根拠となる株式を後継者に集中させる必要性があります。
また、経営に不可欠の要素として「モノ」の集中化も必要です。つまり、事業用の敷地など財産も後継者に集中させなくてはなりません。

このように企業の事業承継のために株式や事業用財産を集中させると、どうしても後継者とならない相続人の方が相続する資産が目減りしてしまうこととなります。そして、このことが相続争いの火種となってしまう可能性があることは、容易にご想像いただけることと思います。
そこで、企業の事業承継を行う場合には、後継者以外の相続人への具体的な配慮をしておかれることが円滑な承継のために必要不可欠です。


◉保険金の活用


後継者以外の相続人の方への配慮の方法として、最も活用しやすい方法の一つとしては生命保険金の受取人として指定することが考えられます。
企業の事業承継を実施するにあたり、後継者に資産を集中することにより、その他の相続人の方は受け取ることができる相続財産が少なくなってしまうことがトラブルの元となるのであれば、遺産以外のお金を渡すことで公平感を保たせるということが有効な手段となると言えます。

法律解釈上、保険金は、遺産ではないと理解されています(最高裁昭和40年2月2日判決)。そのため、保険金の受取人を工夫することによって相続人間の公平を維持することが可能となりえます。
ただ、保険金を受け取ると所得税などといった税金はかかります。そのため、税金の負担も含めて相続人の方が納得いく保険商品を選ぶことが重要です。この場合にはFP(ファイナンシャルプランナー)や税理士などにアドバイスを受けながら保険商品を選ぶと良い商品が見つかりやすくなると言えます。