◉プットオプションとコールオプションと全部取得条項付き株式の比較


このように様々な種類株式がありますが、種類株式の種類として似ているものとしては前回ご紹介したプットオプション(取得請求権付き株式)今回ご説明のコールオプション(取得条項付き株式)とさらに、全部取得条項付き種類株式というものがあります。

この3者を比較しますと、
プットオプション→株主側に取得請求権。
コールオプション→会社側に取得請求権。
全部取得条項付き種類株式→会社が株主総会特別決議で取得決議ができる。

という内容です。最後の全部取得条項付き種類株式は、100パーセント減資などの企業再編のために用いられたり、少数派株主の「締め出し」のために用いられます(別の機会にご説明させていただきます)。

2回にわたりご説明させていただきましたように、これらプットオプション・コールオプションには会社の資金調達を便利にするといった戦略的活用方法が期待できます。

中小企業の新株発行による資金調達は縁故募集でなければ、銀行が事実上の「目付け役」として経営に口出しをするなどのケースで理解される場合がほとんどといった現状があります。しかし、株式会社は本来、会社の将来性と投資家のリスクのバランスの中で、可能な限り株式引受による自己資本で運営されることが望ましいということができると思います。
新株発行による資金調達は上場会社だけによる特権ではありません。少なくとも会社法では、非上場会社の新株発行の手続きを詳細に定め、上場会社は例外的な取り扱いとしており、法律は、非上場の会社も新株発行によって資金調達をすることを期待しています。

種類株式の活用などを通して、可能な限り、自己資本を調達されて財務的に健全な会社運営をされることを願ってやみません。

【参考 オーナー企業のための事業承継】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」
オーナー企業のための事業承継vol5「会社の現状を把握するポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol6「企業の事業承継の際の法律上の問題点とは?
オーナー企業のための事業承継vol7「家族の絆を守る後継者以外への配慮とは?」

【参考:種類株式シリーズ】

オーナー企業のための種類株式活用戦略vol1「種類株式とはどのようなものか?」
オーナー企業のための種類株式活用戦略vol2「ヒーロー株など属人的株式の活用」
オーナー企業のための種類株式活用戦略vol3「プットオプション(取得条項付き株式制度)の活用」

BY S.K

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