種類株4

こんにちは。行政書士S.Kです。今回は前回に続いて種類株式を利用した資金調達の方法についてご説明いたします。前回お話しました、プットオプションに対して、今回はコールオプションと呼ばれる種類株式の活用をご説明します。

【参考 オーナー企業のための事業承継】

オーナー企業のための事業承継vol1「事業承継の必要性と円滑化のための法制度とは?」
オーナー企業のための事業承継vol2「後継者選びのポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol3「後継者選びのポイントは?その2」
オーナー企業のための事業承継vol4「建設業界に学ぶ許認可事業の事業承継って?」
オーナー企業のための事業承継vol5「会社の現状を把握するポイントとは?」
オーナー企業のための事業承継vol6「企業の事業承継の際の法律上の問題点とは?
オーナー企業のための事業承継vol7「家族の絆を守る後継者以外への配慮とは?」

【参考:種類株式シリーズ】

オーナー企業のための種類株式活用戦略vol1「種類株式とはどのようなものか?」
オーナー企業のための種類株式活用戦略vol2「ヒーロー株など属人的株式の活用」
オーナー企業のための種類株式活用戦略vol3「プットオプション(取得条項付き株式制度)の活用」


◉コールオプション付き種類株式とは


非公開会社の場合には、新株発行による資金調達が難しくなるという点については前回ご説明差し上げたとおりです。そして、前回は非公開会社であっても、資金調達の可能性が高まる方法として、プットオプション(取得請求権付き株式)を紹介しました。
プットオプションは株主が一方的に請求することによって、株式を会社に取得(買取等)を請求することができるという株式です。

この取得請求権付き株式の場合には、株主に取得請求権がありましたが、一方で会社に取得の権利がある株式があります。これがコールオプション付き種類株式、取得条項付き種類株式と呼ばれる種類株式です。
つまり、コールオプション付き種類株式とは、会社の一方的な請求やあらかじめ定めた会社の取得事由(理由)の発生によって会社が株主から、株式を一方的に巻き上げることができるという内容を持った種類株式のことをいいます。


◉コールオプション付き種類株式の活用


コールオプションがついてしまえば、株主としては、得がないようにも思えます。一面では、会社の一方的な請求などによって、株主は、自ら保有している株式を一方的に取り上げられてしまうのです。これは、一見すれば株主にとってはたまったものではないとも思えます。
しかし、次のように使用することで、資金調達の利便を図ることができるのです。つまり、取得条項発動によって株式を取り上げるにあたっては、取得対価を定めることができます。

この際、取得対価として一定の金額(株主が納得する金額・会社として支出することが可能な金額など様々な点を考慮して定める必要があります)を定めることによって株式引受人の最低限度のリスクを保証することができるのです。誤解をおそれずに説明すれば、一種の元本保証のようなものということになります。

つまり、最低保証額を定めることで株式引受人はリスクを考慮して引き受けることができるので、株式引受人を決めることが容易になります。
もちろん、株価は下がることばかりを考えていては仕方がありませんので、株価向上の可能性も考慮します。つまり、株価が向上すれば、最低限のリスクを回避しつつ、株価向上のメリットを受けることが可能ということになります。
このような株式であれば、新株の発行を受けて引き受けても良いと考える人や法人が出てくる可能性があるのではないでしょうか。

さらに、これは上場する予定などがある会社の場合ですが、最近では敵対的買収などといったことが問題となり、上場後は大いに対策が必要となりますが、取得条項付き株式を発行することで敵対的買収者の買い占めを防止するなどの企業防衛の手法としても意味を持つこととなります。

まとめますと、取得条項付き株式は株主に対して最低額を保証しつつ、株価向上の期待を持ってもらい引き受けを期待することができること、ケースによりますが企業防衛などの目的で使用することができることなど多様なメリットを期待することができる種類株式です。