REIT,おすすめ,本
(写真=PIXTA)

REITは米国生まれの仕組みで、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとったもので、一般的に「不動産投資信託」と呼ばれる。日本では頭にJAPANの「J」を付けた「J-REIT」、つまり「日本版不動産投資信託」の意味で、「REIT」と略すこともある。

多くの投資家から資金を集めて購入したオフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産等から得られる賃貸収入や売買益を、投資家に分配するというこの「J-REIT」。ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品として人気を集めているが、始める前にきちんと知識を整理しておくことが必要だ。

ここではREIT投資に関する基礎知識をまとめたものから、中級向きの投資家にも十分読み応えのある本まで、お薦めできる5冊を選んでみた。

「はじめての人のJ-REIT 基礎知識&儲けのポイント」
(北野 琴奈著、すばる舎)

2015年9月に刊行された本書は、初心者でも安心してREIT投資を始めることが出来る入門書だ。REITについての基本的な知識から、上手な銘柄の選び方、口座の開設方法、売買に際してのルール、どうすれば分配金収入をアップできるかに至るまで、投資の初心者でも安心できる親切なガイドブックになっている。

著者は日本ファイナンシャル・プランナーズ協会のCFP認定者で、資産運用、不動産投資・賃貸経営、キャリアなどに関する講演、執筆、コンサルティング等、幅広く活躍している。なお、CFPというのは世界で24の国や地域で導入されている、「世界が認めるプロフェッショナルの証」だ。著者自らがポートフォリオを組んで、金融・不動産を含めた資産を形成・運用している点も安心できる。

「REIT(不動産投資信託)まるわかり!らくらく投資術」
(日本経済新聞出版社編、日経ムック)

REITは市場全体の時価総額が10兆円を越え、政策の後押しもあってホテルや物流、ヘルスケアなど、市場の裾野も広げつつある。一方、日銀の黒田総裁が打ち出した金融緩和第2弾に基づき、2014年11月からは日銀が買入れる投資信託額が、従来の3倍にまで拡大された。まさに急変貌しつつあるREIT市場に関しては、最新の情報を押さえておくことも大切になる。

その点このムックは、入門書であると同時に「REIT全52銘柄の最新データを掲載」、「好調はまだ続く? これからの不動産・J-REITマーケット」など、市場の現状をアップデートするのにも充実した内容になっている。また「徹底比較!REIT vs マンション投資」、「NISAに合わせて投資しやすくなったREIT」といった、投資家目線での実践的な解説も役に立つはずだ。

「J‐REIT投資のすべて」
(森島 義博・小林 亨共著、金融財政事情研究会)

投資信託と不動産それぞれが持つメリットをはじめ、各種制度上の恩典に基づく優れた商品性、投資判断のもととなる情報やリスクなどについて、わかりやすく解説した良質の実務書だ。本書の初版は2004年だが、全くと言って古さを感じさせない内容になっている。

共著者がいずれも三菱信託銀行不動産コンサルティング部に籍を置く不動産鑑定士であるだけに、FFOやNOIなどのREIT特有の専門用語ついても、適格かつ簡潔な説明がなされており、投資の際にはぜひ手元に置いておきたい一冊と言える。

「入門 J-REITと不動産金融ビジネスのしくみ」
(田渕 直也著、日本実業出版社)

本書は適切な図版や解説を特徴とする「見る・読む・深く・わかる」シリーズのひとつ。初心者レベルを対象とする入門書であると同時に、単なる用語解説集に終わることなく、金融全般のテーマについて「深く・わかる」段階に至るまで、体系的に解説している。

著者は日本長期信用銀行の出身で、現在はミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。これまでにも「確率論的思考「や「入門 金融のしくみ」を始め多くの名著を生み出してきており、金融分野について「やさしく、深く」書ける著者として定評を持つ。本書も投資家にとって必ず役に立つ、「買って損はない」一冊であると言える。

「プロも驚きの安定・高利回り! 海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書」
(玉川 陽介著、日本実業出版社)

本書の著者は「不動産投資 1年目の教科書」(東洋経済新報社)、「勝者1%の超富裕層に学ぶ『海外投資』7つの方法」(ぱる出版)など、すべての本で増刷を重ねている、国内外で不動産投資と証券投資を幅広く行う個人投資家だ。15年超にわたって様々な投資を経験してきた著者が、株やFXなどの「キャピタルゲイン」でリターンを狙うのではなく、REITや海外のETFなどを長期保有して配当や分配金などの「インカムゲイン」を得る方法を教えている。

著者の知識と経験が満載されているだけに、レベルアップを目指す投資家はもとより、初心者にとっても大いに参考になる一冊だと言える。ただし、販売チャネルなど具体的な投資手続きについては詳述されていないので、実践には別の本やネットでの勉強が必要になる。また、ある程度の英語力が前提とされていることにも留意すべきだろう。(ZUU online 編集部)