賃貸経営のクレームで件数が多いのが騒音トラブルです。対応を一歩間違えると入居者の退去につながりかねません。トラブルを拡大させないためには、管理会社に丸投げせずオーナー自身が問題に直接参加する意識も重要です。

騒音トラブルは賃貸経営の大敵 オーナー自身もしっかり状況把握すべき

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

騒音トラブルは賃貸オーナーにとって安定経営の大敵です。たとえ好立地の収益物件を所有していても騒音トラブルが頻繁に起これば退去が続出する原因になります。

公害の苦情件数をテーマ別に見ると、2014~2017年は騒音がトップです。公害等調整委員会「平成29年度 公害苦情調査」によると、2017年の公的な騒音の苦情件数は年間 1万5,743件にもおよび、悪臭や水質汚濁などを大きく引き離しています。

騒音トラブルが慢性化した場合、空室だらけの物件になりかねません。騒音と安定経営は関連しているため、トラブルが発生した際には管理会社任せにせず、オーナーも状況をしっかり把握するのが望ましいでしょう。そのうえで騒音トラブルが長期化しそうなときや騒音トラブルが繰り返し発生するときは、管理会社と密にコミュニケーションをとり適切に対応していくことが重要です。

騒音トラブルの第一段階では「公平な立場」でのヒアリングを

騒音トラブルに限らず賃貸経営のクレーム対応の基本は「公平な立場」から、両者の言い分をヒアリングすることです。

騒音トラブルは、「同じ共同住宅内で起こるパターン」と「近隣住人と入居者の間で起こるパターン」があります。いずれにしても、オーナーは公平な立場でのヒアリングを心がけることが大事です。例えば近隣住人と入居者の間で騒音トラブルが発生したとき、顧客である入居者の意見を重視したためにトラブルが拡大することもありえます。

結果的にトラブルが長期化することで当該入居者のストレスが増大したり、他の入居者のストレスになったりすることもあります。第一段階の公平な立場でのヒアリングによって、このようなリスクを軽減できる可能性が高まります。

騒音トラブルの具体的な対処でも「公平な立場」での調整を

ヒアリングを終えて具体的な対処(問題解決)にあたるときも引き続き「公平な立場」で進めることが大事です。

ひと昔前の騒音トラブル対応では、クレームをつけてきた人の意見をもとに騒音発生源とみられる入居者に注意をするケースが大半でした。例えば学生の入居者が夜中に友だちと騒いでいる状況を注意するようなケースです。

しかし今どきの騒音トラブルは複雑化しています。現代社会は近隣のコミュニケーションが希薄なため、傾向として以前は騒音と考えられなかった音がトラブルの原因になるケースも増えています。そのため「どちらか一方が悪い」と決めつけずに慎重に調整していく姿勢が求められます。基本的には、管理会社やオーナーが両者の間に立ち、丁寧かつ粘り強く調整していくことが必要です。

ケースによっては後日、騒音トラブルがなくなったかをチェックする配慮も大切になります。両者の意見が大きく食い違いトラブルが拡大するリスクがあるケースでは、機器を使った騒音測定や弁護士のアドバイスなど状況に応じた対処も必要になってくるでしょう。

ペット可の集合住宅では、鳴き声に関するルールも必要

騒音というと人の声や足音、楽器の音などさまざまですが、ペット可の集合物件では、騒音も深刻な問題です。集合住宅におけるペットにかかわる3大トラブルは「鳴き声」「糞尿処理」「悪臭」といわれています。ペット可の賃貸集合物件では、あらかじめペット飼育のルールを定めておくことが前提ですが、その内容に鳴き声に関するものも含めておくべきでしょう。

退去が頻繁に起こる場合は「隠れ騒音トラブル」を疑う

クレームやトラブルとして顕在化する前に、騒音のストレスを感じた入居者が退去してしまうケースも考えられます。退去が頻繁に起こる場合は、隠れ騒音トラブルも疑ってみましょう。退去時に簡単なアンケートを行ったり、管理会社にヒアリングしてもらったりすることなども一案です。 (提供:YANUSY

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